インテルは9月12日、高速データ伝送技術「Thunderbolt」の最新バージョンとなる「Thunderbolt 5」の情報を公開した。
ThunderboltはインテルとAppleが共同開発した技術で、2011年の登場から5世代目となる。Thunderbolt 3以降はUSB Type-Cのコネクター形状を採用している。通常、形状がUSB Type-Cだとしても、内部の接続規格次第で伝送速度や機能も異なってくる。例えば、USB PDや映像出力など同じUSB Type-Cのコネクターでも対応状況は異なり、一目見ただけではわからないことも多い。
しかし、Thunderboltのブランドに準拠したコネクターには一定の基準が設けられている。同じUSB Type-C形状でも、“Thunderbolt”と表記されていれば確実に基準となる機能を持っていることが保証される。
今回のThunderbolt 5において、Thunderbolt 4からの主な進化ポイントは画像の通り。まずアクセサリー類を接続する際の伝送プロトコルの進化だが、Thunderbolt 4ではDisplayPortのバージョンが1.4だったのに対して、Thunderbolt 5では2.1に。同じく、PCIeのバージョンが3.0から4.0にアップデートされている。
これにより、外部接続のSSDやGPUボックスなどを使用した際のデータ帯域は、理論値で64Gbpsとなり、従来の32Gbpsから2倍となっている。
データ伝送速度は、Thunderbolt 4では最大40Gbpsだったところ、Thunderbolt 5では80Gbpsの通信が可能となっている。また、高解像度や高リフレッシュレートのディスプレーなどに接続された際には自動で検出し、最大120Gbpsで映像出力できるブースト機能も搭載されている。
このブースト機能は、通常40Gbpsの4本のラインが2本ずつ送信と受信に使われることで双方向80Gbpsで通信しているところ、高機能のディスプレーを検出した場合には3本が映像送信のラインとして使われることで、120Gbpsになるという。
これにより、8Kや540Hzのディスプレーを使用したり、4K/144Hzのディスプレーを複数使用したりといったことが可能。さらに、リフレッシュレートなど異なるディスプレーを接続しても、それぞれ最適な通信量を使用することで、余計な帯域幅を取らないようにしてくれる機能も搭載されているとのこと。
その他、Thunderbolt 4ではUSB PDに準拠してポートから100Wで充電が可能だったが、Thunderbolt 5では最大240Wで充電できるようになっている。これにより、ゲーミングノートPCのような通常より多くの電力を使うマシンでもケーブル1本で充電が可能としている。
また、2台のPC同士を接続できる「Thunderbolt Networking」における通信帯域が、Thunderbolt 4時点の2倍、64Gbpsになるといった違いもある。ケーブル長は最大1mまで対応。帯域を大きく拡張しながらケーブルが短くならないのは、新たにPAM-3という信号技術を活用したことによるものだという。
Thunderbolt 5は、PCゲーマーやクリエイターといった、コアなPCユーザーに向けたソリューションとなっている。そのため、ハイエンドなPC向けに搭載される形となり、一般のノートPCにはThunderbolt 4も引き続き搭載されるという。
Thunderbolt 5搭載製品は2024年にリリースされる予定とのこと。