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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第99回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 9月2日~9月8日

生成AIの利用を禁止する理由、インバウンド客数がコロナ前を超える、スマホ下取り人気機種は? ほか

2023年09月11日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2023年9月2日~9月8日)は、生成AIの業務利用を禁止する企業、OTを狙うサイバー攻撃とセキュリティの実態、リスキリングの効果、スマホ下取り市場の最新動向、日本を訪問するインバウンド観光客の推移についてのデータを紹介します。

■[生成AI]72%の日本の組織が業務デバイス上での生成AIの利用を禁止する方針(BlackBerry Japan、9月7日)
・72%の日本の組織が職場での生成AIアプリを「禁止」「禁止を検討」
・生成AIの業務での活用のメリットは「イノベーション」(54%)「創造力」(48%)など
・サイバーセキュリティ防御への生成AI利用については77%が賛成

 2023年6月~7月に北米、欧州、日本、オーストラリアのIT意思決定者2000人を対象に行った調査より。「ChatGPT」などの生成AIアプリの職場での利用について、日本の組織の72%が「禁止」または「禁止を検討中」であることがわかった。禁止する主な理由は「顧客や第三者のデータ侵害」「知財リスク」「誤情報(の生成)」など。58%はこのような禁止措置は「長期的」または「恒久的」なものとしている。一方で、職場での生成AI利用の利点も認識されており、「イノベーションを高める」(54%)、「想像力強化」(48%)などが挙がった。

■[セキュリティ][IoT]過去1年に不正侵入を経験したOT組織は75%、前年より改善(フォーティネットジャパン、9月6日)
・過去1年に不正侵入を経験したOT組織は75%、2022年の94%から改善
・ITとOTの両方がサイバー攻撃の影響を受けた組織は32%、2022年の21%から増加
・95%がOTセキュリティをCISO(最高情報セキュリティ責任者)の管轄下に置く計画

 570人のOT担当者を対象とした年次グローバル(日本を含む)調査「2023年OTサイバーセキュリティに関する現状レポート」より。回答者の80%近くが「自社OT環境にIP対応のOTデバイスが100台以上ある」と回答するなど、セキュリティ対策が喫緊の課題となっていることがわかった。OT組織のうち75%が不正侵入を経験しており、最多は「3~5件」の37%。インシデントは「マルウェア」(56%)が最も多く、続いて「フィッシング」(49%)、「ランサムウェア」(32%)。自社OTセキュリティの成熟度が「高い」とする回答は13%で、2022年の21%から現状した。

「不正侵入ゼロ」は前年の6%から25%へと大きく増えたが、それでもまだ75%は1回以上の不正侵入を経験している(出典:フォーティネットジャパン)

95%がOTセキュリティの責任をCISOに統合する計画(出典:フォーティネットジャパン)

■[学び][スキル]リスキリングの効果は「スキルが身についた」が75%、効果につながった最大の要因は「効率的な学び方」(Waris、9月6日)
・リスキリングの目的は「仕事の領域を広げたい」(59%)「必要とされるスキルの変化に対応」(58%)
・リスキル経験者の83%が「効果を感じている」、16%が「感じていない」
・効果につながる要因は「効率的」(53%)「学習内容を選択可」(44%)「コミュニティ」(41%)

 リスキル情報を提供する「Warisキャリアシフトプラットフォーム」登録者239人を対象に、リスキリングについて調べた。リスキル経験者は「仕事の領域を広げたい」(59%)、「必要とされるスキルの変化への対応」(58.5%)などの目的でリスキリングをしており、83.6%が「効果を感じている」と回答した。具体的な効果としては「新しいスキルが身についた」(75.2%)、「視野が広がった」(71.9%)が多く挙がった。効果を出せた要因としては「効率的な学び方を選択できた」(53.6%)が最多。

リスキリング経験者が挙げた目的。「仕事の領域を広げたい」(59%)「必要とされるスキルの変化への対応」(58.5%)などが多い(出典:Waris)

リスキリングの効果は「新しいスキル」「視野が広がった」が共に7割を超えた(出典:Waris)

リスキルの効果につながった要因。最多は「オンライン/通学など効率的な学び方を選択できた」(53.6%)だった(出典:Waris)

■[生活][モバイル]下取りスマホ人気トップは日米ともに「iPhone」、米国はiPhone下取り価格が214.75ドルと最高値(Assurant、9月7日)
・米国でのiPhoneの平均下取り価格は215ドル、過去最高
・日本の下取り機種トップは「iPhone SE2」(16%)
・下取りされる端末の平均使用年数は3.56年

 2023年第2四半期(4月~6月)のスマートフォン下取り市場の調査。米国のスマートフォン下取り価格は平均135ドルに。この下取り価格は5四半期連続で上昇しており、中でもiPhoneは平均215ドルで過去最高額となった。日本での下取り上位5機種は「iPhone SE2」(16%)、「iPhone 8」(15%)、「iPhone 11」(9%)、「iPhone 7」(8%)、「iPhone XR」(8%)。下取りに出されるスマホの使用年数は平均3.56年で、長くなる傾向にあるという。

米国におけるスマホ下取り上位5機種は全てiPhoneとなった(出典:Assurant)

米国におけるスマホ平均下取り価格。iPhoneはAndroidの3倍近くとなった(出典:Assurant)

■[インバウンド][トレンド]インバウンドは2023年10月よりコロナ前を上回り、年累計2511万人を予想(インデンエンターテイメント、8月30日)
・2023年7月の訪日旅行者は2019年比77%まで回復
・国籍別では韓国(111%)と米国(114%)が2019年を上回る。中国は29%
・宿泊者数の13%が外国人、東京などトップ10都道府県が81%を占める

 日本政府観光局(JNTO)や各社の決算に基づきインバウンド市場を調べた。訪日外客数は2023年7月時点で232万人で、2019年の77.6%。現時点では、韓国と米国からの旅行客が2019年を上回り、中国は2019年の29.8%の31万人。しかし、8月に中国が団体旅行の規制を解除したことで、全体としては10月に2019年の数を超えると予想している。2023年の累計予想は2511万人。宿泊者全体の13.9%を外国人が占めている。

日本を訪れた外国旅行客は232万人(2023年7月)。これはコロナ前2019年の77.6%に相当する(出典:インデンエンターテイメント)

インバウンドは10月より2019年比100%を超えると予想している(出典:インデンエンターテイメント)

都道府県別の外国人宿泊数。トップ10が81%を、トップ20が94%を占めている(出典:インデンエンターテイメント)

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