同じWQHD向けでも足回りが違う
RX 7700 XTとRX 7800 XTは“WQHDゲーミング向けのGPU”という括りだが、両者のスペックは微妙に異なる。RX 7700 XTはメモリーバス幅192bit、VRAM 12GB構成で前世代のWQHD向けであるRX 6700 XTやライバルのRTX 4070と比較するとスペック上の類似点が認められる。
その一方で、RX 7800 XTはメモリーバス幅256bit、VRAM 16GBと格上のスペックを備えており、前世代のRX 6800に近い(さらにどちらもCompute Unit数は60基である)。
動作クロックは、RX 7700 XTのゲームクロックが前世代に比べてやや下に設定されているのに対し、RX 7800 XTはRX 6800よりも高クロック動作となっている。
RX 7700 XTおよびRX 7800 XTはRDNA 3世代であるため、RDNA 2よりもInfinity Cacheがより1世代新しいほか、“用途について謎の多い”AI Accelerator、AV1ハードウェアエンコードに対応したRadeon Media Engine、DisplayPort 2.1対応など、既存のRX 7000シリーズと同じ機能を搭載している。
また、RX 7700 XTおよびRX 7800 XTに搭載されたRadeon Media Engineの数については、プレス向けのブリーフィングや資料にも明確な解説がなかった(AMDに問い合わせているが、まだ回答は得られていない)。
ただタスクマネージャの内容を見るかぎり、どちらのGPUも上位モデルと同様に2基のVideo Codecが出現することから、デュアルエンコーダー仕様ではないかと推察される。
さらに、今回提供された検証用βドライバーでは、新機能「HYPR-RX」の姿が確認できた。この機能自体は昨年RX 7000シリーズ発表時にアナウンスされていたが、実装が遅れようやく日の目を見たという感じだ。
PCゲームのフレームレートやレスポンス(システムレイテンシー)を向上させる「Radeon Anti-Lag」「Radeon Boost」、さらに「RSR(Radeon Super Resolution)またはFSR 1」を1クリックでまとめて有効化できる。
HYPR-RXを通じてFSR 3の核心機能である「AFMF(AMD Fluid Motion Frames Technology)」が利用可能になり、DirectX11/12のゲームでフレーム生成が可能になる機能は来年Q1実装予定なので、Radeonユーザーは楽しみに待ちたいところだ。
ただこのHYPR-RXは現時点では対応ゲームが限られている(昨年説明を受けた段階ではそういう表現はなかった記憶があるのだが……)。現時点では以下のタイトルが対応しているとのことだ。
また、AMDはRadeon Anti-Lagに続くシステムレイテンシー抑制機能として「Radeon Anti-Lag+」を追加したようだ。AMDは公式のニュースリリースにて「AMD HYPR-RXには、新しいAMD Radeon Anti-Lag+テクノロジが搭載されており、ゲームのプロファイルごとにAnti-Lagを導入することで、入力ラグを最小限に抑え、応答速度が求められるゲーム体験を強化します。」(https://www.amd.com/ja/newsroom/press-releases/2023-08-28-amd-radeon-rx-7800-xt.html)と紹介しているが、AMD Software: Adrenalin Edition上ではAnti-LagとAnti-Lag+は別のスイッチで有効化される機能だ。
NVIDIAの「Reflex」のように専用のAPIを通すことでシステムレイテンシーを減らす機能の可能性もあるが、これは推測の域を出ない。AMDの公式なドキュメントを待ちたいところだ。
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