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自然言語による質問応答機能、チームのタスク管理を行うリスト機能、新しいワークフロービルダーも

Slack、生成AIがチャンネル/スレッドを要約する「Slack AI」など新機能発表

2023年09月07日 06時30分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 Salesforce傘下のSlackが2023年9月6日(米国時間)、生成AI技術を活用した「Slack AI」など3種類の最新機能を発表した。

 Slackでは今年5月に「Slack GPT」を発表し、生成AI技術をSlackに組み込んでいく方針を示していた。今回は、生成AIを利用してチャンネルやスレッドのサマリ(要約)や自然文での質問応答を行う「Slack AI」が発表されている。そのほか、作業/タスクをリスト管理してコラボレーションを支援する「Slack Lists(リスト)」、従来のワークフロービルダー機能を強化する「Slack Automation(自動化)」も発表された。

生成AIがチャンネル/スレッドの内容を要約したり、自然言語での質問応答を行う新機能「Slack AI」を発表

Slackの製品管理担当SVP、アリー・レイル(Ali Rayl)氏

Slack AI:スレッド/チャンネルのサマリ、自然文による質問応答まで

 Slackの製品管理担当SVP、アリー・レイル氏によると、ここ数ヶ月間、Slack社内では「どのように生成AIを活用するか」の議論が重ねられてきたという。出てきた10ほどのアイディアのうち、今回のSlack AIではまず3つの機能を実現した。

 1つめは「スレッドのサマリ」機能。出張や休暇、離席などでスレッドから目を離した間に、大量のメッセージがやり取りされていて、さかのぼるのが大変――というのはよくあることだ。ここで「Summarize」ボタンをクリックすると、Slack AIがやり取りのポイントを要約してくれる。

 2つめは「チャンネルのサマリ」機能。これはスレッドではなく、チャンネル単位で要約してくれる機能となる。

 これらのサマリ機能についてレイル氏は、サマリの内容が誰の発言かという属性を付けていること、そして「Read More(さらに読む)」をクリックすれば元の発言(ソース)をたどれるようにしていることが特徴だと説明する。

 「生成AIのハルシネーション(誤った内容をもっともらしく提示すること)を心配したり、要約が正確ではないのではと不信感を持ったりする人も少なくないだろう。安心してもらうために、ソースをたどれるようにしてある」(レイル氏)

Slack AIで、1週間分のチャンネルでのやり取りを要約した画面。発言者ごとに分類され、ソースも表示されている

 3つめは「サーチアンサー」機能。従来の検索機能とは異なり、Slack AIに自然言語で問い合わせると、Slack上に蓄積された情報に基づいた回答や要約が得られるというものだ。たとえば「進行中のプロジェクトについて質問する」「社内の申請手続きについて質問する」といった利用法を想定しているという。

デモ画面。「ElevateはいつGA(一般提供開始)されるのか?」という質問に対して、Slack AIは検索結果を参照/分析したうえで、自然文で回答している。元の質問文には含まれない「Slack Sales Elevate」という製品名をAIが導き出しているのもポイントだ

 Slack AIは、今年冬から一部顧客向けのパイロット提供を開始する。レイル氏は、将来的にはハドルミーティング(Huddle)の内容もサマライズできるよう、機能を拡大していきたいと語る。

Slack Lists:タスクリストをチームで共有、コラボレーションを支援

 Slack Lists(リスト)は、多数の作業/タスクをリスト化して整理し、追跡/分類/モニタリングを容易にする新機能だ。レイル氏はその開発背景について、「これまでのSlackでは会話とファイルが情報の中心で、より構造化された情報を取り込むことができていなかった」と説明する。

 「構造化されたデータは、ほぼすべての仕事で使われている。Slackでそのような構造化されたデータを使うのは、コラボレーションだと考えた」(レイル氏)

デモでは「Slack Sales Elevate」ローンチに向けて、開発チームがLists(リスト)を使って進捗を整理、追跡する様子を見せた

モバイルチームをクリックすると、プロジェクトのオーナー、ステータス、プライオリティなどが並び、情報を整理したCanvasも添付されている

 Slack Listsは今年冬にパイロット提供を開始し、2024年には一般提供を開始する予定だ。

Slack Automation:ワークフロービルダーがさらに強化

 ノーコードワークフロー自動化ツールの「ワークフロービルダー」は、さらに強化される。Salesforce、強化されたワークフロービルダーでは、Notion、Google、Atlassianなどのコネクタを利用して、クリックベースの操作で複数のツールをつなぎ合わせた独自のフローを構築できる。管理者が動作を制限してガバナンスを効かせることも可能。フローのテンプレートを提供したり、社内で構築されたワークフローを一覧したりできる「Automation Hub(自動化ハブ)」も新たに用意される。

※注:掲載当初、「Slack Automation(自動化)によりワークフロービルダーが強化された」との記述がありましたが、機能名としては「ワークフロービルダー」のまま変更はありません。表現を一部修正しました。(2023/09/12 編集部)

「Slack Automation」のイメージ

 現在のところ、ワークフローのテンプレートとしては「フィードバック」「トピックス」「AMA(Ask Me Anything)」「リマインダー」「インシデントレスポンス」「有給申請」の6種類がある。

テンプレートから「フィードバック」のワークフローを構築するようす。クリックベースの操作で誰でも簡単に構築できる

 また、開発者向けの機能として、Slack向けに構築したアプリをホスティングできるオプションも加わった。これまでは自分たちでサーバーを用意する必要があったが、その作業が不要となる。

 新しいワークフロービルダーは有料顧客向けに提供を開始している。Automation Hubは今年9月中に利用できるようになるという。

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