「空が見えれば、どこでもつながる」が実現!
KDDIとスペースX(Space Exploration Technologies Corp.)が8月30日に東京都内のプラネタリウムで共同会見を開催。2024年内をめどに、スペースXが開発したStarlinkを利用し、衛星とスマートフォンが直接つながる通信サービスを開始することを発表した。
共同会見では、KDDIからは代表取締役社長 CEOの髙橋 誠氏、スペースXからはSenior Vice President of Commercial BusinessのTom Ochinero氏が登壇し、プレゼンテーションをした。
髙橋氏は「KDDIの4G LTEの人口カバー率は99.9%を超えているが、さらに拡充していきたい」と話し、現在は「非日常をつなぐ」エリア展開を進めていることをアピール。2021年からはスペースXとの業務提携により、Starlinkをバックホール回線とするau基地局を順次展開しており、今回、衛星とスマートフォンの直接通信の実現に向けて、新たに業務提携したと発表した。
このサービスによって、国内のどの通信事業者にとっても提供が困難だった山間部や島嶼部を含む日本全国がauのサービスエリアとなり、「空が見えれば、どこでもつながる」体験が実現することのこと。まずはメッセージ(SMS)の送受信から開始し、Starlink衛星のケイパビリティに合わせて、音声通話・データ通信にも順次対応させていく予定。なお、既存の周波数帯を用いるため、利用のために新しい端末やアプリは必要なく、今使っているauスマートフォンで利用できる。
Ochinero氏は、世界をリードする航空宇宙企業であるスペースXのこれまでの取り組みを紹介。衛星との直接通信サービスは、日本だけでなく、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、スイスの通信事業者ともパートナーシップを結んで実証実験を進めていることが紹介された。サービス開始は日本と同じく2024年になる見通しだ。
発表会の後に、質疑応答の場が設けられ、メディアからの質問にKDDI 取締役執行役員 パーソナル事業本部 副事業本部長 兼 事業創造本部長 松田浩路氏とスペースXのTom Ochinero氏が答えた。
Starlink衛星との直接通信サービスの利用料金について、松田氏は「通常の料金プランに含まれて提供されるのが望ましい」としつつも、現段階では「料金プランに含まれるのか、オプションサービスとして提供されるかは未定」とのこと。なお、auだけでなく、UQ mobile、povoでも同じように利用できるようになるという。
業務提携先としてKDDIを選んだ理由を問われたOchinero氏は、「KDDIは長きにわたって良きパートナーだった」と、今回の業務提携が自然な流れであることを話しつつ、「スペースXはオープンな会社なので、どことでも契約できる」と、今後より多くの事業者との関係を広げていく計画があることも示唆した。
衛星通信サービスはKDDIだけでなく、ほかの携帯電話事業者もサービスの実用化に向けて取り組んでいる。今回、KDDIが衛星とスマホの直接通信サービスを発表したことは、他社を一歩リードしたと捉えることもできるだろう。