ゲーミングパソコンを購入するなら、手間や価格、保証面などを考慮すると、BTOパソコンを選ぶのが限りなく正解に近い。ではなぜ自作をするかといえば、自分好みのコダワリまくったマシンを作れるからにほかならない。
レアなパーツを組み込みたい、惚れ込んだケースがある、推しのメーカーがあるなど理由は人それぞれだが、パーツ1つ1つを吟味・厳選し、端から端まで知り尽くした世界に1台だけのパソコンが作れる……といわれれば、その魅力が少しは伝わるだろう。
もちろん、「性能が同じなら何でもいいじゃん」という人も多いと思うが、そこは価値観の違い。クルマ趣味の人に「走れば何でもいいじゃん」といっているようなものだ。
さて、そんなPC自作の楽しみの1つが、ライトアップ。光らせることは性能面でプラスにならないため、単なるムダだと考える人もいることだろう。しかし、ライトアップは適当に光るパーツを買って取り付ければ完成……といった単純なものではなく、意外と奥が深い。
まずは製品選び。ファンだけでなく、LEDストリップやCPUクーラー、メモリー、マザーボード、ビデオカード、ケースなど、ライトアップパーツは数多くあり、どこを光らせるか、どのように光らせるかを考えながら製品を探していくというのも楽しみの1つだ。
また、どうやって実用性と見た目のよさのバランスをとるのか考えたり、どんなパターンで光らせるのかまで意識したりと、パーツレイアウトを考えるのも楽しいところ。色が風のように流れるようなパターンを作りたければ、ケース全体にライトアップパーツが散らばるように配置するとか、ぼんやりと底面だけ静かに光らせたいというなら、底面にケースファンを配置する、といった具合だ。
このように、想像以上に考える部分があり、思った通りのライトアップパソコンになると喜びもひとしおなのだが、1つ大きな問題がある。それが、ケーブルマネージメント。つまり、配線をどう引き回すのか、だ。
ファンを増やすほどに増殖していくケーブル
ただのケースファンであれば、マザーボードのコネクターに挿し込めばOK。しかし、ライトアップ対応のファンの場合は、これとは別にLEDコントロール用のケーブルを挿す必要がある。
単純に考えると、1つのファンあたり2本ずつケーブルを配線する必要があるわけだ。接続するのがケースファン2つくらいであれば困らないが、大型水冷クーラーの搭載やケースファンの追加などを行なうのであれば、途端にその数が増えてくる。
例えば、水冷CPUクーラーの360mmラジエーターにファン3つ、ケースファンに同じく3つファンをつなげたければ、単純計算で12本もの配線が必要となる。さらにいうと、ファンの電源が足りないので変換ケーブル、もしくは別途ファンコンが必要だし、それ用の電源も用意しなくてはならない。LEDコントロール用のコネクターも足りないので、分岐ケーブル、延長ケーブルも必要だ。
これだけのケーブルや追加機器を間違いなく接続するだけでも大変だが、それ以上に大変なのが、すべてのケーブルを裏配線で行なわなくてはならないこと。もちろん、表にベロンとケーブルが垂れ下がっていても動きはするが、中身の見えるライトアップパソコンであれば、醜い姿は見せられない。
見た目の華やかさとは裏腹に、かなり厳しい難易度の自作となるのが、ライトアップパソコンなのだ。
しかし、朗報がある。それが、必要なケーブル数を劇的に減らし、場合によってはケーブルなしでのファン増設まで可能だという、スマートコンポーネントエコシステム「iCUE LINK」だ。