後輩に伝えたいiPad YouTuber成功の秘訣とは?
amity_senseiはこの日の特別授業に集まった生徒たちから寄せられた、たくさんの質問にも答えました。amity_senseiは美工の卒業生であることから、可愛い後輩たちへのアドバイスにも熱がこもります。
現在はiPad YouTuberとしても活躍するamity_senseiは、大学生の頃にiPadとApple Pencilに出会い、その後、自身が興味を持って学んでいた英語を極める目標を兼ねて、イギリスの大学に留学します。当時、iPadによるデジタルクリエーションの知識と技術、経験を深めたことが、唯一無二であるamity_senseiの個性を形成したそうです。
ひとりの生徒から、ユーチューバーとして活躍するamity_senseiが「たくさんの動画のテーマをどのように企画して、内容を深く掘り下げているのか?」という質問が寄せられました。
インターネットで海外の様々な情報を検索する段階でも、英語がとても役に立っていると答えたamity_senseiは、外国語を使って自分の伝えたいことを世界に発信したり、海外のコミュニティにつながることにもぜひ挑戦してほしいと、amity_senseiの言葉に耳を傾ける後輩たちに向けてエールを送りました。
美術専門高校も「iPadで学ぶ環境」を採り入れた
amity_senseiは授業の中で、「私が高校生として銅駝(美術工芸高等学校)に通っていた頃は気が付いていなかったけれど、卒業してイギリスの学校にも通ってみて、この学校の教育と、ここで学ぶ生徒の皆さんのレベルはとても高いことを思い知らされました」と語っていました。
京都市立美術工芸高等学校では現在、iPadを使ったICT教育の取り組みにも力を入れているそうです。名和野新吾校長に詳細を聞きました。
同校では平成27年(2015年)に京都市の補助を受けて、40台のiPadを教具として初めて導入しました。名和野氏は「当時は教員も手探りでしたが、授業へのICT活用は期待を超えるほどの大きな成果につながった」と振り返ります。
京都府と京都市が、ともに国のGIGAスクール構想に基づいて教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)に力を入れてきました。結果、美工の在校生の中には中学生の頃からiPadに慣れ親しんでいる生徒が多いといいます。現在、同校では生徒たちが個人で購入して所有するiPadを学校に持ち込み、授業に活用するBYOD(Bring Your Own Device)の方針を採っています。
同校では、例えばデッサンの時間に絵を描くためにiPadとApple Pencilを活用する機会もありますが、ほかにもデジタル化された絵画や資料などを閲覧するためのビュワーとして、あるいはレポートやプレゼンテーションを作成するためのエディターとしても幅広くiPadを活用する生徒が大勢いるそうです。教師と生徒の連絡ツールとしてもiPadは徹底活用されています。
生徒たちが美術を学ぶだけでなく、普通科の高校で学ぶべき基礎的な学問も、美術を通して幅広く身に着けられる環境を提供することが学校の教育方針であると名和野氏は語ります。「京都にある美術専門学校」の強みも活かせるように、京都の伝統美術・工芸に生徒たちが触れる機会、京都の企業や作家・団体とのインターンシップ交流を数多く実現することにも同校は注力しています。
この日の特別授業を参観した名和野氏は「アートの第一線で活躍するamity_senseiのような“先輩”と直に交流できる機会が、生徒たちにはかけがえのない経験になったはず」と目を細めました。
生徒たちが“好きなこと”に対して熱心に打ち込める学校に対する、保護者の関心が近年高まっていることを名和野氏も実感しているそうです。美術の専門教育だけでなく、美術を通して社会を知る教育や、iPadなどデジタルツールを活かしたICT教育にも注力する美工の教育方針にも注目が集まり、一昨年から同校への入学を希望する受験者数がさらに増えたそうです。
名和野氏は「移転を機に、今後も時代を先導する新しい学校として期待に応えていきたい」と意気込みを語りました。