KDDIは7月18日、同社が提供する法人・自治体向けの衛星ブロードバンド「Starlink Business」の海上利用向け通信サービスにて、学校法人東海大学の海洋調査研修船「望星丸」に搭載すると発表した。
望星丸は大学独自の研究はもとより、日本の海洋調査船の中でも総合的海洋調査機能をもつ調査船。海上を航行する船舶では航海に必要な海洋気象情報や水路通報・航行警報など、さまざまな情報を収集する用途で通信を利用しており、長らく海上における通信は静止軌道衛星を用いた衛星通信サービスが担ってきた。近年、船舶が受け取るデータ量の増加や、発信情報がファクシミリからウェブサイトに変化するなど、リアルタイムの情報収集が難しくなる状況になりつつあるという。
また、望星丸は船員だけでなく、多くの海洋学を学ぶ学生も搭乗する。これまで航海中は授業への参加が難しく、帰港して調査データの共有・報告する必要があった。さらに、2022年11月には離島部などでの医療難民のサポートを目的とした国内初の災害医療実証訓練を実施し、訓練では陸の孤島となった沿岸部地域の被災者に対する支援を想定して望星丸船内で診療しながら非被災地の医療機関まで搬送するシナリオで実施し、望星丸利用の有用性と課題を明らかにしたという。
望星丸にStarlinkが導入されることで、航海中にダウンロード速度最大220Mbpsの通信環境が利用可能となる。航海に必要な情報の収集のほか、学生は船上からのオンライン授業の参加や調査結果を活用したリアルタイムなミーティングの開催など、さまざまな用途での活用試験を進める。