Panel-Semicon研究所
シャープは、「開源」に向けて、組織体制の強化に取り組んでいる。
2023年度から、各BUに新規事業専門組織を設置し、それぞれの組織における新たな事業の創出を推進する一方、光学エンジンの開発加速や、センサー技術などの活用によるOne SHARPでの新事業創造を目指すデバイスビジネスコミッティを新設。6月には、ディスプレイ技術や半導体技術を応用し、新たなデバイスの開発や技術革新を実現し、商品事業の成長に寄与するPanel-Semicon研究所を新設した。また、7月1日付で、研究開発を担当するイノベーショングループ傘下に、イノベーションインキュベーションコミッティを設置し、同組織が中心となって、新たな事業への挑戦を加速することになる。
さらに、新たな社外取締役として、胡立民氏と、YouTubeの共同創立者の一人である陳士駿氏が参画。新規事業の立上げや企業経営に関する豊富な経験、幅広い知識を生かし、「開源」の取り組みを中心に、さまざまな観点からアドバイスを受けるという。また、7月1日で副社長に昇格した陳信旭CFOがイノベーショングループを統括。これも新規事業の創出に向けた体制づくりのひとつだといえる。
このように、「開源」に向けた体制づくりを一気に強化したことがわかる。2023年度は、この成果がどこまで表面化するかが注目される。
シャープの未来はテクノロジーにある
3日間の渡るシャープ本社での意見交換を終えた鴻海科技集団の劉会長は、「シャープの未来を描いたときに、真っ先に頭に浮かんだのはテクノロジーである。今回の意見交換のなかでも、魅力あふれる技術が多数あると感じた」と総括。「シャープの皆さんの情熱を感じた。さらに、蓄積した技術同士を融合することができれば、シャープは成功すると信じている。叡智を結集して、スピードを上げ、社内外の信用を高めていくことで、この難局を乗り越え、栄光を取り戻すことを期待している。鴻海としてもサポートすることでシナジーを出せることを考えていきたい」と述べた。
シャープの創業者である早川徳次氏は、「他社がまねするような商品をつくれ」と言い続けてきた。それがシャープのDNAである。
2023年11月11日には、創業111周年を記念した「Sharp Technology Day」を、東京・有明の東京ビッグサイトで開催し、シャープの技術戦略を明確化するとともに、独自技術を採用した革新的な製品やソリューションを展示する予定である。
劉会長が掴んだ「蓄積した技術を融合することで、シャープは成功する」という手応えが、現実のものになるか。その一歩が、11月に示されることになりそうだ。
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