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業務を変えるkintoneユーザー事例 第192回

16年5ヶ月のブランクを経て、社長として経営をリードする髙城氏の改革

マイカンパニーからアウアーカンパニーへ、働き方と働く環境を改革しDXを推進するタカギ

2023年10月11日 09時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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自由な発想で、やり遂げるまであきらめないのがタカギのスピリッツ

 ここからは、青野氏の対談がスタート。

青野氏:髙城社長ご自身が結婚し、16年5ヵ月のブランクの後、社長をされてるという経歴は見たことがありません。この辺り、髙城社長としては自然なことなんですか?

結婚で16年5ヵ月のブランク後に社長になった人は見たことがない、と青野氏

髙城氏:私の実家も事業を行っていて、継がなければいけないと、幼い頃から育てられてきました。あと、創業者である主人が毎日帰ってきたら、苦しいことなどを全部で喋っておりましたので、会社の状況もよくわかっていました。それで、すぐに戻れたところはあります。盛和塾で学ばせていただいたこともあります。

青野氏:(盛和塾で学んだのは)経営者になる前からですか?

髙城氏:私の実家は京セラの仕事をしておりまして、若い時から稲盛会長のお話を聞くことがありました。たまたま、稲盛会長に「お前、経営者にならなあかんのやろう、そんなら盛和塾に入れ」とお声をいただいて、盛和塾に入りました。そこで経営者として、あらゆることを学びました。

青野氏:ダイバーシティアンドインクルージョンの話がありましたが、衝撃的なのが2020年度に男性の育休取得率3%が、2年後に92%。平均取得日数も26日と、すごすぎます。V字回復どころか、垂直回復ですね。

髙城氏:本当は育休を取りたい人がいっぱいいたのだと思います。40代、50代の上司がいると、なかなか言い出せなかったと思います。たまたま、会社が推進してくれたので、よし取ろう、となった感じです。

青野氏:こんな変化率が大きい会社は見たことがないです。

髙城氏:上司が変わったんです。役員と話していると「俺たちは家に帰ったら場所がない」と言うので、「40代、50代はずっとイクメンをしなかったから、今居場所がないんだよ」という話をするわけです。「確かに、その時、俺たちは家に帰ってなかったな」と言ってくれたので、だんだん、みんなの中にも浸透していきました。やっぱり上から変わっていかないと、下からはなかなか変われません。

青野氏:普通の会社だと、どちらかと言うと中間管理職が足を引っ張る場合も多い。ダイバーシティの話をしても、いやいや、若いやつは頑張って働いてね、という人が多そうなのですが、これを変えられた理由は何ですか?

髙城氏:新しくオフィスを作った時に、制服をなくしました。九州では、結構女性が制服を着せられている会社が多いのです。まず、女性の制服をなくし、男性も自由な恰好にしたのです。そうしたら、おじさんたちが取り残されたんです。

青野氏:困るでしょう、何着ていくんだと。

髙城氏:そこから、なんか会社の雰囲気が(みんなも)変わらないといけない時に来たんだと感じ始めたのだと思います。

青野氏:それにしても、このスピード感で変われるものですかね。もともと女性が活躍する会社だったのですか?

髙城氏:現場は女性が活躍して成り立っています。たとえば、製造の現場では、パートのおばちゃんのほとんどが10年以上働いています。だから、新入社員は何年経っても、ずっとおばちゃんに叱られているんです。

青野氏:やっぱりベースとなるカルチャーがあったのだなと思いました。多様な社会に対応するためにも、自社の中でもダイバーシティをやっていかないといけませんね。

髙城氏:そうです。本当に、特に中小企業には必要だと思います。男性とか女性とか言ってられません。募集する時に、いろんな方たちをいろんな形で才能を活かしてもらうっていうのが、会社が伸びる一つの要因だと思います。本当にうちの会社は変わったと思います。共通の言葉で話せるので、風が通るようになり、しかもすごく早くなりました。

青野氏:オフィスも非常に戦略的だと思いました。小倉駅の商業施設にオフィスとして入ったということですか?

髙城氏:駅前のビルからデパートが出て行ってしまい、空きビルになっていました。私は、新幹線が停まる駅の前でこんなことがあってはいけないと思ったので、北九州のためにも、ここにオフィスを入れさせてくださいと願いしました。

中にはスーパーやユニクロがあって買い物が便利です。街の中にあるので、今日どこに行こうかなっていう楽しみがあります。皆さん、本当に生き生きしています。

でも、このようなことをするには、稼がなければなりません。みんなが一生懸命頑張って利益を出してるからこそ、できることでです。私は本当に社員は感謝してます。

「DXはIT部門がすべきことです」という拒否反応が出た

サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏

青野氏:DXのお話もお伺いしたいのですが、営業の現場の方からDXが進んだというのはユニークですね。

髙城氏:私が社長になりたての時に、DXという言葉が出てきたので、みんなに言ったのですが全然通じませんでした。社内で話しても、製造からもハテナが出ました。自分たちは違います、自分たちがするべきことではないです、IT部門がすべきだことです、という拒否反応が出ました。

私が拒否反応を溶かすのに時間がかかってた時に、営業から、自分たちの中で共有するアプリみたいなのが必要だ、とkintoneを探してきてくれたんです。そこから動き出して、今は、自分たちの情報をオープンにしているところが、ものすごい成長に繋がると思います。

普通は上からこれを使いなさいと言うのですが、そうするとやらされた感で、なんとなく進めてしまうと思います。今は勝手にやってくれているので、自分たちで考え、使いやすいように変化させようとしているところが大事なところだと思います。

青野氏:普通は猛烈な創業者がいる会社っていうのは、トップダウンになると思います。それがこんな短期間に、ボトムアップで自分たちで企画してオフィスを作り、DXを進めています。どうしてこれほどまでにボトムアップのカルチャーができあがったのか、秘訣をお聞きしてみたいです。

髙城氏:みんなの中に、基本は自由な発想でいろんなものにトライし、やり遂げるまであきらめない、というタカギのスピリッツがあるからだと思います。

青野氏:今日のお話はとっても参考になりました。ダイバーシティアンドインクルージョンやオフィス作り、働き方改革、そして、デジタル。全然、現場主義を変えるつもりはなく、むしろ、現場主義の延長で時代にあったことにチャレンジしようとされていました。最後に、皆様にメッセージをいただければと思います。

髙城氏:今、予測がつかない時代になっています。だからこそ、五感を研ぎ澄ませて、感じる心を大事にしてほしいと伝えています。皆さんも、本をたくさん読めば本当にいい感動を覚えると思うので、そういうところも大事にしてほしいと思っています。

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