SaaS型ERP「S/4HANA Cloud PE」やベストプラクティス、移行支援メソッド&ツールなどをまとめて提供
中堅中小企業の成長と変革を支援、「GROW with SAP」国内提供開始
2023年07月13日 07時00分更新
グローバル展開する中堅メーカーが先行導入、Fit-to-Standardを推進
GROW with SAPの国内先行導入事例については、SAPパートナーであるアイ・ピー・エス(IPS)の赤松洋氏が登壇して紹介した。
GROW with SAPを導入したNKKスイッチズは、信頼性の高い産業機器用のスイッチを開発、製造、販売する、創立70周年のメーカーだ。日本本社のほかアメリカ、ドイツ、中国、フィリピンに合計8法人を展開しており、社員数は288名(単体148名)、売上は103億2000万円(単体87億9000万円)の中堅企業である。
同社ではこれまで国産ERPパッケージ、海外ERPパッケージを採用してきたが、「これからの成長戦略に適したパッケージとして、S/4HANA Cloud PEを採用した」と、赤松氏は説明する。適用範囲はグループ企業全体のサプライチェーン管理、および財務会計/管理会計だ。
導入プロジェクトにおいては「業務の標準化」と「グローバル対応」の2つが目標になったという。これまでの事業拡大と拠点拡大の結果、業務やマネジメントの複雑化が進み、業務効率が損なわれた部分もあったという。「特にサプライチェーンが国と法人をまたいで形成されているため、その運営や管理会計はどうしてもどんどん難しくなる傾向にあった」(赤松氏)。そこで、ERPの刷新プロジェクトを通じて会社全体の業務を見直し、業務標準化とシステム適用による自動化を推進することになった。
国内外10社以上のERPを比較検討したうえでGROW with SAPを採用した理由は、まさに上述した目標にかなうものだったからだという。ベストプラクティスとして搭載されているグローバル共通の業務手順やシステムを活用して、全社的な業務の見直しを図り、合理化とシステム化を推進しているという。
「日本の中堅成長企業の多くは国際対応力を高めていくことが至上命題になっているが、(NKKスイッチズでは)それに対応できる業務標準のひな形として、SAPが提供するベストプラクティスが有効に機能すると意思決定された」(赤松氏)
もうひとつ、将来的なサービス提供と製品開発投資の「継続性」も評価したという。今後もビジネス環境や各国の法制度、会社組織、ITの技術が変わり続けていく中で、基幹システムの側にも変化しながら継続していくことが求められた。ここにおいて、長期的なサポートと継続的なアップデートが期待できるSAPを選択したという。
なお、業務のFit-to-Standardを推進する取り組みにおいては、IPSが伴走型でサポートを行っているという。グループ全拠点の業務を細部にわたって評価し、グループ内でのギャップや課題を洗い出し、システムのStandardに合わせて業務手順を再設計し、会社全体に定着化させていく取り組みを行ったという。
「やはりこのGROW with SAPというオファリングモデルが、ただシステムを導入するということではなくて、業務の標準化や定着か、改善活動まで含まれたサービスだからこそ、こういう取り組みができる」(赤松氏)