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HPE Discover 2023、「HPE GreenLake」ハイブリッド/マルチクラウド機能強化など多数の発表

HPEのネリCEO「エッジ、ハイブリッドクラウド、AIの時代でも最前線に立つ」

2023年07月04日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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「HPE Discover 2023」は6月18日から20日まで、ラスベガスで開催された

 Hewlett Packard Enterprise(HPE)は、米ラスベガスで開催した年次イベント「HPE Discover 2023」において、「HPE GreenLake」を中心とした最新の戦略を発表した。そのキーワードは「エッジ」「ハイブリッドクラウド」「AI」。本記事では、同社CEOのアントニオ・ネリ氏が行った基調講演より「エッジ」および「ハイブリッドクラウド」に関する発言をまとめる。

「HPE Discover 2023」基調講演に登壇したHPE CEOのアントニオ・ネリ(Antonio Neri)氏

ハイブリッドクラウド、エッジ、AI ― その中核をなす「HPE GreenLake」

 HPEは2015年の分社化以来、一貫してクラウド時代に向けた転身を進めてきた。その戦略を固め、2018年からCEOを務めるのがネリ氏だ。

 ネリ氏のCEO就任以来、HPEではおよそ5000件の特許を取得し、さらに戦略を加速させるために19社を買収/統合した。こうした投資と優れた社員の力をベースに「ビジョンと戦略を実現してきた」と、ネリ氏は胸を張る。

 その大きな成果が、ハイブリッドクラウド戦略の要となるHPE GreenLakeだ。GreenLakeは「エッジからクラウドまで(Edge-to-Cloud)、エブリシング・アズ・ア・サービスのプラットフォーム」であり、「われわれがこの(エブリシング・アズ・ア・サービスの)カテゴリを創出した」と胸を張る。

 HPE GreenLakeは2桁成長を続けており、そのリテンション率は98%に及ぶという。2023年第2四半期の決算では、ARR(Annualized revenue run-rate)が11億ドルと前年同期比38%成長を遂げ、契約総額が100億ドルを突破したと発表した。「(GreenLakeには)6万5000の顧客インスタンスがあり、世界2万2000の企業/組織が250万台のデバイスと17エクサバイトのデータを管理している」(ネリ氏)。

現在のHPE GreenLakeはエッジからクラウドまでを包含するプラットフォームとなった

 エッジについては、「HPEが最初に『エッジが次のフロンティアになる』と宣言し、それを実現した。われわれはインテリジェントエッジに55億ドルを投資し、HPE Arubaは分散型エンタープライズを実現するにあたって顧客に選ばれるネットワークになっている」と語る。HPE Arubaの事業規模は3倍になり、さらに今年に入ってからはプライベート5GのAthonetや、SASE/SSEのAxis Securityを買収している。

 AIに関しては、2019年に買収したスパコン大手のCrayを紹介した。「HPEは当時から、スパコンで動く最大のワークロードはAIになることを理解していた」と振り返るネリ氏の言葉どおり、今回はCray XDシステムに「NVIDIA H100 GPU」を搭載し、事前トレーニング済みのLLM(大規模言語モデル)として独Aleph Alphaの「Luminous」を用意した「HPE GreenLake for Large Languge Models(LLM)」を発表した。

 エッジ、ハイブリッドクラウド、AIという3つの要素は、HPE GreenLakeにより結びついており、「顧客は統一した体験が得られる」と語る。

 「(現在の企業は)収集したデータのうち50%しか活用できていない。ビジネスや社会にとって重要な課題に答えるためには、データをフルに活用して、成果を高める必要がある。AIの真の力は、疑問を発見に変え、洞察を行動に変えるところにある」(ネリ氏)

ハイブリッドクラウド:OpsRampでIT管理を強化

 ハイブリッドクラウド分野でネリ氏が紹介したのが、3月に買収を発表したOpsRampだ。ハイブリッド/マルチクラウド環境向けのIT運用管理サービスで、マルチテナント型、AIOpsのサポートなどを特徴とする。

3月に買収したOpsRampを紹介。キーメッセージは「発見し、監視し、修復する」

 ネリ氏はまず「現在の企業は『結果としてハイブリッドになった』に過ぎない。このままでは複雑性が増し、俊敏さが得られない」と指摘する。必要なのは「設計段階からのハイブリッド環境」であり、ワークロードやデータについて可視化、制御、予測性を得ることが必要だという。エッジ、オンプレミス、コロケーション環境、パブリッククラウドと、すべての資産がどのような状況にあるのかを把握できるようにするために、OpsRampを買収したという。

 OpsRampは2500以上の管理対象との接続が可能であり、「ベンダーニュートラル/クラウドニュートラルで、最も包括的なヘテロジニアスソリューション」、なおかつ「AIを活用した観測が可能」だとネリ氏は説明する。買収完了を受け、現在はHPE GreenLakeプラットフォームやHPEサービスポートフォリオへの統合を進めている。なお既存のOpsRamp顧客には、引き続き独立したSaaSとして提供することも約束した。

OpsRampのデモではデル・テクノロジーズ、シスコなど他社製機器の情報も取得する様子を見せた

オンプレミス/クラウドインフラからOS、アプリケーション、さらにサードパーティの管理/監視ツールなど幅広い連携が可能

 このほか、AWS(アマゾンウェブサービス)、ヴイエムウェア(ブロードコム傘下)、エクイニクスの幹部を交えて、発表を行なった。

 まずは「HPE GreenLake for Private Cloud Enterprise Business Edition(PCEB)」。これは、昨年発表したプライベートクラウド向けの「HPE GreenLake for Private Cloud Enterprise(PCE)」に加わるもので、ハイブリッドクラウドをまたぐ仮想マシンをオンデマンドでスピンアップできる。まずはAWSをサポートする。

「HPE GreenLake for Private Cloud Enterprise Business Edition(PCEB)」のダッシュボード

 PCEについても、エッジの対応、Red Hat OpenShift Container Platform上のコンテナのサポート、主要パブリッククラウドのセルフプロビジョニング機能などの強化が加わった。

 続いて、AWS Marketplaceにおいて、不正リスク管理の「HPE Fraud Risk Management」などをSaaS提供すること、「HPE NonStop Development Environment」をAMI(Amazon Machine Image)として提供することなども発表した。「HPE GreenLake for Backup and Recovery」で、「Amazon Relational Database Services(RDS)」「Amazon EKS Anywhere」をサポートすることも発表された。

 AWSのテクノロジー担当バイスプレジデント、マット・ウッド(Matt Wood)博士は「ゆくゆくはすべてのワークロードがパブリッククラウドに移行するが、データ主権などの障害がある。顧客からは、オンプレミス環境にクラウドを拡張することで、パブリッククラウドへの移行を支援してほしいという声をもらっている」と語った。

 ヴイエムウェアとは「HPE GreenLake for VMware Cloud Foundation」の強化を発表した。「VMware Cloud Foundation(VCF)」に最適化したクラウドモジュールを、事前検証済み/事前設定された形で提供する。

 VMwareのCEO、ラグー・ラグラム(Raghu Raghuram)氏は、「すべてをクラウドに移行するという“攻撃的”なアプローチから、現在はコスト効率に優れた“守備的”な方法に変化し、バランスの取れたアプローチが主流になりつつある」と述べ、ハイブリッドクラウドの重要性を強調した。

 エクイニクスとはこれまでの提携をさらに拡大し、エクイニクスのデータセンターにおいて、事前構築された「HPE GreenLake Private Cloudポートフォリオ」を利用可能にする発表が行われた。PCE、PCEBの両方が対象であり、まずは世界7カ所のエクイニクス拠点で提供開始する。

 エクイニクスのEVPで、データセンターサービス担当GMを務めるジョン・リン(Jon Lin)氏は、「以前からハイブリッドクラウド領域でHPEと提携してきたが、顧客からは複雑だという声が挙がっていた。提携拡大により、短期間で容易にPCEとPCBEを利用できる」と述べた。またネリ氏は、「見積もりから本番稼働まで、わずか数日で進めることができる。その後もオンデマンドでキャパシティとスケールを追加可能だ」とメリットを強調した。

エクイニクスデータセンターで、事前構築済みのHPE GreenLake PCE/PCBEを利用可能にするサービス

エッジ:ネットワークとセキュリティは融合、今後はAIオペレーション機能も予定

 エッジ領域は、ネリ氏がCEO就任後初めてとなった2018年のHPE Discoverにおいて「今後4年間で40億ドルをインテリジェントエッジに投資する」と宣言した分野だ。「HPEのエッジ戦略は最もインテリジェントでセキュア、そして先進的なクラウドネットワーキング体験を提供している」(ネリ氏)。

 ここではHPE Arubaが大きな軸となっている。2700万台以上のWi-Fiアクセスポイントを出荷し、「HPE Aruba CX」ブランドでキャンパススイッチやブランチスイッチなどにも拡大した。先には12のスイッチ製品を発表しており、ポートフォリオの拡大が続いている。そして、2020年にはSD-WANのSilver Peakも買収した。

 「われわれのネットワーキング製品はすべてクラウドベースのサブスクモデルで提供し、HPE GreenLakeで利用できる」(ネリ氏)

 ネットワーキング戦略については「AIOpsを活用してモバイルファースト、クラウドファーストの体験を提供する」と語り、今後はネットワークオペレーションに自然言語処理モデルを活用する計画だと明かした。

 SASE/SSEのAxis Securityを買収した狙いについては、「ネットワークとセキュリティ市場が融合しつつある。共通のプラットフォームで提供することで、最高の体験が得られる」と語る。

 ネリ氏は最後に、「5年前に『エッジとクラウドのリーダーになる』と宣言した。HPEは、サービス戦略によって他社と明確に違う方向性を示すことができた」と語った。「HPE GreenLakeにより、単一の統合されたハイブリッドクラウド戦略を実現している。だが、ここで終わりではない。80年の歴史で我々は常に最前線を走ってきた。今後はエッジ、ハイブリッドクラウド、AIの時代で最前線に立つ」(ネリ氏)。

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