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Microsoft Build Japan基調講演レポート GitHubもNVIDIAも登壇

生成AIと大規模言語モデルで激変した開発現場にマイクロソフトはなにを提供できるのか?

2023年06月30日 11時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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CopilotとPluginsとの関係は? そのエコシステムは?

 続いて、野崎氏は先月のBuildでの発表内容として、Copilotについて紹介する。副操縦士を意味するCopilotは「次世代言語モデルを利用することで複雑なタスクをアシスタントしてくれるアプリケーション」と定義される。ユーザーとの対話を通して、ビジネスやライフスタイルにおいて、大きな役割を持っているという。マイクロソフトでは、すでにMicrosoft 365、Dynamics 365、Power Platform、Microsoft Security、Windows、GitHubなどの各サービスにCopilotを組み込んでいる。

 また、今回のBuildでは、Pluginsにもフォーカスされた。野崎氏によると、Pluginsは「ユーザーに代わって新しい計算処理や、有益な情報をAPI経由で取得する機能」を指すという。Pluginsはユーザーの手前に位置するCopilotとデジタル世界の仲立ちを果たすとともに、ChatGPTを中心にしたPluginsのエコシステムも拡がりつつある。今後はChatGPT PluginsやさまざまなCopilotとのやりとりを共通に行なえる統合Pluginsも登場し、開発キットもGitHub上で公開されているという。

Pluguinsの拡張モデル

 このPluginsエコシステムは国内でも始まっている。価格.comや食べログでは希望の商品やプランを店側が提示することが可能になるほか、ライフルでは漠然としたリクエストを検索条件に変換し、物件を提案してくれるという。

 そして、マイクロソフトでの実装がOpenAIのチャット機能を実装した検索サービスのBingだ。最新のGPT4.0とBingの検索エンジンを用いることで高い精度を実現。リリースから5が月の間で機能強化も図られており、先月も画像生成や履歴管理、Edgeブラウザとの統合などのアップデートを提供している。

 登壇したマイクロソフト ディベロップメント Bing開発統括部 プロダクトマネージャー 篠塚祐紀子氏は、「おかげさまで71%以上のお客さまがBingの検索結果や回答に満足しています。デイリーユーザーも1億人を突破しました。これは開発者のみなさまにとってはとても素晴らしいチャンスです」と語る。

 最新のアナウンスとしては、ChatGPT内からBingを呼び出し、最新のWebデータを得ることができるようになった。Bingの検索画面からは引用元や出典も調べることができるという。さらにBingもChatGPTのPluginsをサポート。篠崎氏はZillowのPluginsで物件の詳細検索を行なったり、Edge+Bingの組み合わせでInstacartのPluginsで商品追加を行なう様子を披露した。

ZillowのPulugin活用を披露するマイクロソフトの篠塚祐紀子氏

Copilot Stackを使った生成AIの開発シーンをデモ

 続いて野崎氏は、Copilot Stackについて説明した。Copilot StackはLLMを用いたAIアプリケーションを開発するユーザー向けのフレームワークを指す。大きく分けると、CopilotとPluginsなどのフロントエンド、プロンプトの生成とレスポンスのフィルタリング、データグラウンディング、Plugins実行などを担うミドルティア、大規模言語モデルやモデルを学習させるGPU群からなるバックエンドの3つのレイヤーから構成。ミドルティアはBuildで発表された「Azure AI Studio」を利用できるという。

Copilot Stackのレイヤー構造

 野崎氏の紹介で登壇した日本マイクロソフト クラウド&ソリューション事業部 Azure App Innovation Specialistの大森彩子氏は、このCopilot Stackを使うことで、開発者がどのように生成AIアプリ開発に取り組めるのか解説。Azure AI Studioを開いた大森氏は、食事の献立を作ってくれるアプリを例にデモを披露した。

 大森氏が家族の好きなモノや冷蔵庫にあるものなどを生成AIに投げ込むと、献立や作るポイントまでを教えてくれる。そこでアプリで組み込みやすいよう、JSON形式に変換するための指示を行なう。さらに栄養のアドバイスをリクエストすると、献立で足りないアドバイスまで出してくれる。その後、画面を元にここまでで生成されたプロンプトを、Semantic Kernelを用いてカプセルして、Plugins化するまでの手順を披露。神戸デジタル・ラボがAzure OpenAI Serviceで作ったアプリも紹介した。

 大森氏に続いて登壇したギットハブ・ジャパン リージョナルセールスディレクターの山銅章太氏は、今までのアプリがAIで生まれ変わり、さらに今までにないアプリが生まれるとアピールする。「AIが開発者体験を左右するようになったのが今年」と山銅氏は語る。GitHub Copilotのユーザーにヒアリングすると、すでに46%以上のコードがAIによって書かれているという。

マイクロソフトの大森彩子氏はCopilot Stackを用いたソフトウェア開発についてデモを披露

ギットハブ・ジャパンの山銅章太氏はGitHub Copilotの満足度をアピール

 2021年に発表されたプログラミング支援ツールのGitHub Copilotは、すでにブラッシュアップが進み、多くのユーザーが利用している。「バグが減る」「学習体験の向上」「生産性の向上」などのコメントも得られているが、開発者から一番言われるのは「集中度が上がった」だという。GitHub Copilotのユーザーの75%は仕事に集中できるようになり、96%は反復作業から解放されたという。

 山銅氏曰く、「Copilotはまだ序章に過ぎない」という。現在のCopilotは次に入力するコードを提案してくれるオートコンプリート機能だが、最新のCopilot Xはチャット、プルリクエスト、ドキュメントの自動生成などが可能になる。壇上に戻ってきた大森氏は、Copilot Chatでシューティングゲームの作成を依頼すると、Copilotがコードを生成してくれる。クラスやメソッドも日本語から生成できるほか、コードやメソッドの説明、多言語への変換も可能だという。

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