エリアLOVEウォーカー総編集長・玉置泰紀の「チャレンジャー・インタビュー」第27回

動画撮影をもっと気軽で簡単に! 革新的 Vlogカメラ「PowerShot V10」で 「キヤノン」が描くカメラ市場復活への道

文●土信田玲子/ASCII、撮影(インタビュー)●曽根田元

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 昨今、YouTube上でよく目にする「Vlog」(Video Blog=ブログの動画版)。人口急増中のVlogユーザー&ビギナーに向けて2023年6月22日、キヤノン初のVlog専用カメラ「PowerShot V10」が発売された。これまでのVlogカメラとは一線を画すコンパクトなサイズ、かつ回転式スタンド付きで自撮りでも三脚要らずと、際立った使いやすさだ。この画期的な新製品の誕生秘話と、同社が目指すカメラのあるライフスタイル、そしてカメラ市場復活への展望について、キヤノンマーケティングジャパン株式会社のカメラマーケティング担当メンバーに、エリアLOVEウォーカー総編集長の玉置泰紀が聞いた。

今回のチャレンジャー/キヤノンマーケティングジャパン株式会社 カメラマーケティング本部 カメラマーケティング第二課課長 阿部俊介(写真左)、井沼満里奈、チーフ 島田正太

「PowerShot V10」のコンセプトは ‵‵365日、Vlogしよう‵‵

「PowerShot V10」(シルバー/ブラック)。公式オンラインショップでの価格は5万9950円と、6万円を切る廉価に抑えている

――今、Vlogカメラ市場がすごく熱いですね

阿部「Vlogもそうですし、現在、動画市場が大変な活気を見せています。プラットフォームが動画中心になってきていて、撮影デバイスも動画用機器が注目され、市場も盛り上がっていますね」

――そんな中で「PowerShot V10」(以下、V10)がついに発売されました。そのコンセプトとは?

阿部「『365日、Vlogしよう』ですね。211グラムで、手のひらに収まる小型軽量タイプだから、いつでもポケットやバッグに入れておいて、サッと出してすぐ撮れる。いろいろなシーンで使ってもらえる『動画を、かるがるキレイに。きっと毎日撮りたくなる』カメラです。このキャッチコピーには、まさに我々の願いが込められています」

――キヤノン初のVlog専用カメラです

阿部「実は、Vlogという言葉を使うかどうかも迷いました。‵‵動画撮影‵‵とした方がお客さんに分かりやすいのでは? という意見もありましたが、それだと幅が広すぎてエッジが効いていない。それで結局‵‵Vlog‵‵を使うことにしました」

島田「すでにVlogをされている方は、かなり投稿熱が高い方々です。なので、このV10の登場で動画を撮って配信するという行動が、もっと一般化してくれるのではないかと期待しています」

阿部「でもVlogとは何かを知らない、どこでどう使えばいいのかよく分からない人もまだ多くおられるので、旅行や食事、音楽、日常の生活など、Vlogユーザーでよく使われるシーンのイメージ画像を、カタログやブランドサイトに載せています」

音楽の配信もこの通り簡単に

調理シーンでの自撮りにも

――名刺入れ程度の大きさで軽いから、いつでもどこでも持ち歩ける

阿部「携帯性の良さですね。既発のVlogカメラは、三脚を使わないと安定しないので、サッと取り出してパッと撮る感覚がないんですよ。

 またポイントなのが、この形状。一般的なVlogカメラは、液晶モニターが横にあるので目線も横に逸れてしまいますが、V10はモニターが上部にあって(目線が)縦に動くので、目線も正面に来るんです」

約63.4×約90.0×約34.3ミリの手軽なサイズで、液晶モニターが上部にあるのも特徴

――他社の製品も横長が多いですね

阿部「各メーカーがVlog向け製品を出していますが、それぞれコンセプトやターゲットが異なっていると思います。キヤノンの場合は『Vlogの裾野を広げたい』という思いから、この形状や性能を選択しています」

島田「お客様によっては、カメラに小型の三脚やグリップを付けて撮るスタイルがVlogカメラ、という印象の方もいるかもしれませんね」

阿部「実はヒアリングしてみると、通常のカメラタイプでは三脚が必要で、レストランやカフェなどで『‟撮ってる感‟がすごく出てイヤだ』という声も多かったんです。このV10は、コンパクトなので、さりげなく撮れてあまり目立たないんですよ」

――カメラ単体で自立、撮影できるのは使い勝手がいい

島田「今回の開発の検討を進めるに当たってアンケートを取ったところ、カメラを使われている方の不満点の1位が『アクセサリーを別に持たなきゃいけない』ことだったんです。その点、V10はほかに何も要らずに撮影できて非常にコンパクト。カメラに限らずスマホでも、立たせるには三脚が必要ですから」

内蔵スタンドのおかげで、三脚などアクセサリーを持ち歩く必要なし

――前後にも自由に動く、このスタンドの発想は秀逸です

島田「これはゼロベースから生まれた形です。新たなコンセプトを作る上で、デザイナーからも数十の案を出してもらいました。その中で、動画やVlogを気軽に撮るならどの形が最適なのか、と考えて行き着いた形なんですよ。

 実はV10ほど自由に動きませんが、内蔵スタンド付きということでは、2014年にリリースした小型ビデオカメラ『iVIS mini X(アイビス ミニ エックス)』がありました。生産は終了していますが、未だに話題になったり、中古市場での取引も活発なようです」

「iViS mini X」(2014年10月発売)※現在は販売終了

――時代を少々先取りしすぎたのかも

阿部「難しいのは、時代の流れと合っているかどうかなんですよね。販売終了して何年も経っていますが、今でも根強いファンや復活を望む方々がいらっしゃったりします」

――それらを経て、Vlog時代到来にピッタリなV10が誕生。便利すぎる内蔵スタンドもあるなら、三脚はもういらない?

阿部「それが、アーリーアダプターな方々の中には使いたい方もいるだろうと考えて、三脚付きのキットを準備していたのですが、意外な反響がありました。さまざまな使用方法を想定して、商品ラインナップを幅広く用意していてよかったと思います」

――大ヒットした「IXY」、「PowerShot N」もそうでしたが、使う目的によってデザインや機能を特化する。そこがキヤノンは思い切りがいいですよね

阿部「V10は、もともとまったく新しいカメラを、というよりは、Vlogを始めとしたビデオコミュニケーションを一番楽しめて、使いやすいデバイスを作る目的で生まれたものです。一眼カメラの『EOS』など、さまざまなラインアップを展開しているからこそ、挑戦もできるのだと思っています」

――チャレンジャー・ラインでしょうか

阿部「これまでカメラに触れたことのない新しいお客様にも、カメラを手に取っていただきたいという思いがあるからこそ、自由な発想で物事を考えよう、という開発やデザインの根本思想があります」

――そういう思想と経験が連綿とつながっています。そういえば、キヤノンは特許をたくさんお持ちですね。アメリカでの特許も、日本の会社では一番ぐらいに取っているのがすごい

島田「新たな顧客価値を創造し、新しい形や技術を生み出していこうという弊社の文化が、特許や意匠にもつながっていると思います」

――国際的なデザイン賞を受賞した「PowerShot ZOOM」(以下、ZOOM)も素晴らしいアイデアでした

島田「これも、望遠を気軽に使ってもらうには、どんな形がいいのだろうかと、試作モックをたくさん作りました。商品化決定前のコンセプト段階でしたが、まだコロナ前でしたので展示会に出して実際に触ってもらい、フィードバックをいただくこともできました。そのフィードバックをもとに議論も重ねて、最終的に‵‵撮れる望遠鏡‵‵、つまり見ながら撮れて楽しめる、この形になったんです」

「PowerShot ZOOM」は100ミリ/400ミリ/800ミリ(※)を、ワンタッチ操作で切り替え可能。決定的瞬間も逃さない
(※)35ミリ判換算。100ミリと400ミリ時は光学ズームによる切り替え。800ミリ時はデジタルズームのため、画質が低下します

――カメラっぽくないデザインは、女性にも親しみやすそう

井沼「シンプルなデザインでコンパクト。いつもバッグに入れておきやすいんです。スポーツ観戦やバードウォッチング、子どもの運動会などには、望遠撮影のできるカメラや双眼鏡を持って行きますよね。

 ZOOMは、ボタンひとつでズームが3段階から選べ、観ながらすぐ撮れるから最高の一瞬を逃しません。しかもスマホでは撮影が難しい、離れた場所からの写真や動画も撮れます。2020年発売の商品ですが、今年3月のWBC開催時には、野球観戦用途で人気が再燃しました」

「PowerShot V10」をいち早く試した ユーザーからの反響は?

――先行体験したユーザーからの反響はどうですか

阿部「よい反応、そうでない反応など、たくさんいただいております。ただ、なかなかすべてのご要望にお応えすることはできませんので、できるだけ最適な提案をしていきたいと思っています。もちろん、プロの方々にもヒアリングしていますし、ハイエンドなユーザーの要望も、ある程度満たせるスペックも兼ね備えていますが、我々の立つ土俵は、スペックを競うことではないのです。

 今回のV10は、新機能よりもUIやユーザビリティ、使用性、操作性を重視しています。さまざまなシーンでまんべんなく使えて、とりあえずVlogでも始めてみようかな、と思う方々向けの機種なので、そのあたりはユーザーとのコミュニケーションで、しっかり補完していきたいと考えています」

――まずは、このV10が受け入れられてから

阿部「最近は、さまざまな価格帯の製品がたくさん出ているので、差別化するためには高付加価値の方に行きがちです。ただ、そうすると対象のお客様が絞られてしまいますし、お客様の裾野を拡げることにつながりません。V10は、なるべくお求めやすい価格帯にして、こういったカメラを使ったことのない方にも手に取っていただきたいですね」

――ユーザーのニーズもそれぞれだから、必ずしもスペックの合計点だけでは評価できないですね

VSスマホよりWithスマホ! 共存するからこそ可能性が広がる

――Vlogはスマホでもできる。ならば、スマホよりVlog専用カメラで撮るメリットを考えると、まずスマホのインナーカメラはアウターより画質が劣るし、V10なら美肌動画も撮れる。配信するなら断然、専用機の方がいいですね

島田「インナーカムの画質は、アウトカムほどには届かないこともあるし、画角もアウトカムの方がだいぶ広角になっています。V10の美肌効果は、ワンタッチで5段階から選べます」

「PowerShot V10」は、35ミリ判換算で焦点距離19ミリと広角(静止画では18ミリ)

阿部「USB Type-C対応なのでパソコンとつなげば、ワンランク上のWebカメラとしても使えます。CtoCのコミュニケーションだけでなく、BtoBの配信などのニーズにも対応できたりと、専用機の受け皿はいろいろありますね」

――スマホは容量が圧迫されるのが気になったり、バッテリーの持ちも心配

阿部「そうですね。撮影中でも電話が掛かってきたり、アプリを使用したりすることも多いですよね。そういったことから、別の専用デバイスで撮りたいという要望にマッチする商品だと思っていますし、まさに私たちが使っていただきたいお客様は普段、Vlogをスマホで撮影している方や、これからVlogを始めたいと思っている方です。V10は、いわばエントリー機種となります」

――あえて専門的な機能は搭載しない、と

阿部「我々のミッションは、カメラ市場の領域を広げていくことです。カメラを持っていないお客様に対して、初めてのカメラとして手に取っていただけるようなデバイスを作るのが目的なので、V10のターゲットは、まさにスマホユーザーです。

 実際にライブ配信する時には、スマホを使ってネットにつなぎますから、‵‵共存‵‵が欠かせません。コンセプト的にもスマホと対抗するのではなく、一緒に使っていただくのがいい商品だと考えています」

――スマホというインフラを、むしろ活用している

阿部「V10に限らず、望遠鏡型カメラのZOOMも含めて最近、我々が出している新コンセプトの商品は‵‵Withスマホ‵‵なんです。スマホはもちろん使うけど、スマホだけじゃ不便だよねということで、望遠に特化したり、動画はコレで撮ってみようと提案したり。

 スマホはライバルじゃなく、基本的には共存して、市場全体を盛り上げていきたいんですよね」

――スマホの利点はオールインワンなところだけど、新機種はハイエンドすぎて高価格化が激しいし、最近は目新しさもない。逆に、こういうアプローチの方が未来を感じます

阿部「ありがとうございます」

――これからはスマホ自体で何かするとか、今回のようなVlogカメラと一緒に使うとか、そうなっていくんじゃないかな

井沼「ライブ配信する際にも、カメラで撮影しながら、スマホでコメントを見る人もいるんです。そうすると、やっぱりスマホと両方持っていた方が便利だし、より楽しく使えるでしょうね」

――弊社(アスキー総研)でも、動画ビジネスがかなり中心になってきて、僕もYouTubeで生配信する時は、コメントをライブで見たいし拾いたいから、パソコンに向かって喋りながらスマホでコメントをチェックしますね

阿部「やっぱり、‵‵VSスマホ‵‵ではなくて‵‵Withスマホ‵‵。それがキーワードだと思います。

 結局、スマホがあるからこそ、動画のプラットフォームがこれだけ普及したのであって、だからこそ撮影の需要も増えている。カメラ市場もスマホの恩恵を受けているわけですから」

「いつもそばにカメラがある生活」

――V10は、これまでキヤノンが行ってきた、幾多のイノベーションの延長線上にあると思いますが、この先どんな製品を作っていきたいですか?

阿部「我々の部門は新コンセプト担当なので、先ほどお話しした‵‵Withスマホ‵‵で使うものや、ユーザーのライフスタイルに寄り添うカメラですね。もっと日常的に使えるようなカメラ、毎日持っていってもらえるようなカメラというのが、ひとつポイントかもしれません」

――まさにログ(記録)ですね

阿部「だからこそ我々としては、コンパクトさを追求していきたい。V10は、日々の生活や街歩き、旅行など、本当にどこにでも持ち運びしやすいものです。

 カメラは特別な時だけに使うものじゃなく、日々の生活の中にあるのが当たり前だった時代に、もう一度なってほしい。スマホは今、いつもそばにあるのが当たり前ですけど、一時期、私がコンデジの商品企画をやっていた時は、みんな結構デジカメを持っていましたから」

――確かにみんな持っていましたね

阿部「みんなが、当たり前のようにカメラを持つ世界をもう一度つくるためには今、何をすべきか?を逆算しながら、どういうアプローチがいいのか、試行錯誤しながら探しています」

――カメラがすごく身近な時代といえば、スマホ登場よりずっと前の「写ルンです」(レンズ付きフィルム)の存在が大きかった。あれで写真を撮ることの敷居がすごく下がりました。あの「写ルンです」の現在形がV10なのでは

島田「動画撮影の敷居を下げる、という意味だと、通ずるところがあるかもしれませんね。現在もアンケートを取ると、カメラが『タンスの肥やしになってしまう』という方も多いんです。なぜそうなるかというと、操作が面倒なイメージだったり、使い方が分からなかったり。

 タンスの肥やしにならないような出番の多いものにするには何が必要か? そのために、なるべくボタンが少なくて直感的に、シンプルに操作できるものを目指しました」

――ひと昔前のカメラは、僕らみたいなおじさんが持っているイメージだったけど、女性にとってのカメラのあり方も、今や変わってきていますか

井沼「‵‵カメラ女子‵‵ブームがあってから、女性もカメラを持ちやすくなりましたし、フォトジェニック、インスタジェニックといった言葉も流行りましたよね。私個人もそこから入って高校生の時には、コンデジを持ち歩いていました。その後は、スマホのカメラアプリを通じて、いろいろな写真を撮るようになっていった感じです。

 だからコンパクトで持ち歩きに便利、いつも一緒にいられるから撮りたい時に、すぐキレイな写真や動画が撮れる、V10やZOOMのようなコンセプトのカメラを出すことは、『カメラって楽しい!』『意外と簡単に使えるね!』と感じてもらえる、大きなきっかけになると思います」

――コロナも5類に移行してインバウンドも戻ってきた。円安だから、海外市場での展開も期待できそう

阿部「V10は全世界で提供している製品ですし、Vlogカメラは、海外の市場の方が大きいんです。YouTubeなどの動画プラットフォームは、英語圏の方が再生数が多いことも海外市場が成長、拡大していく理由です。

 我々はカメラメーカーとして市場を広げなくてはいけない。世界、そして日本のユーザーと一緒に、この市場を育てていきたいですね」


 日本のカメラ文化は、時代とともに人々のライフスタイルを変え、ライフスタイルの変化が新しいカメラを生み出してきた。そして今、「PowerShot V10」の手軽さ、扱いやすさがVlogの新時代を築こうとしている。Withスマホをベースとして、Vlog専用カメラの可能性はさらに広がりそうだ。「PowerShot V10」はキヤノンが目指す‵‵いつもカメラがある暮らし‵‵復活へのトリガーになるだろう。

阿部俊介(あべ・しゅんすけ)●2003年、キヤノン販売株式会社(現キヤノンマーケティングジャパン株式会社)に入社。営業、カメラの商品企画、新規事業部門を経て、現在は新ジャンルカメラの商品企画を担当。座右の銘は「‵‵Connecting the dots‵‵(コネクティングドッツ)」。趣味は映画鑑賞。好きな映画は「紅の豚」。

島田正太(しまだ・しょうた)●2006年、キヤノン株式会社に入社。レンズ開発・商品企画、新規事業企画部門を経て、現在はキヤノンマーケティングジャパンにて、新ジャンルカメラのマーケティングを担当。座右の銘は「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」。趣味は旅行、スポーツ観戦。

井沼満里奈(いぬま・まりな)●2016年、キヤノンマーケティングジャパン株式会社に入社。営業、新規事業企画の部門を経て、現在は「PowerShot ZOOM」の商品企画を担当。座右の銘は「日進月歩」。趣味はアイドルやアーティストの推し活。

聞き手=玉置泰紀(たまき・やすのり)●1961年生まれ、大阪府出身。エリアLOVEWalker総編集長、KADOKAWA拠点ブランディング・エグゼクティブプロデューサー。ほかに日本型IRビジネスリポート編集委員など。座右の銘は「さよならだけが人生だ」。近況は「新聞記者時代からさまざまなカメラを使ってきたが、編集者になってから行き着いたのが『PowerShot N』。真四角なフォルムと手軽さが魅力で、思い切りのよさにもひかれたものだが、今回のVlogへの振り切り方も小気味いい。身体、手足の延長のような収まりがフィットする。動画の使い方も、さらに先に進んでいく予感の今日この頃だ」。

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