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オンプレミスPBX比でトータルコストを30~40%削減、通話品質の高さや各国キャリア提携なども

ZVC JAPAN、クラウドPBX「Zoom Phone」の特徴を詳しく解説

2023年06月29日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ZVC JAPANは2023年6月28日、クラウドPBXサービス「Zoom Phone」に関する記者勉強会を開催した。旧来のオンプレミスPBXと比較してトータルコスト(TCO)を平均30~40%削減できること、通話品質の高さやデータセンターのグローバル分散展開による可用性の高さ、各国キャリア(クラウドピア接続パートナー)との提携といった、サービスの特徴を紹介した。

クラウドPBXサービス「Zoom Phone」の特徴を紹介

ZVC JAPAN 代表取締役会長 兼 社長の下垣典弘氏、同社 UCaaS戦略担当 担当部長の吉田馨一氏

「まだ知られていない」Zoomとは

 冒頭のあいさつを行ったZVC JAPAN 代表取締役会長 兼 社長の下垣典弘氏は、ZVC日本法人も5年目を迎え、「Zoom」のブランド名は日本でもよく知られるようになった一方で、「たくさんの『知られていないこと』もある。今日はそれを知っていただきたい」と切り出した。

 Zoomと言えば、Web会議サービスの「Zoom Meeting」のイメージが強いが、現在は個人の生産性向上からオフィス会議室やコンタクトセンターのデジタル化までをカバーする、包括的なユニファイドコミュニケーション(UC)プラットフォームとしての位置づけを打ち出している。

 そうした「知られていない」Zoomの一つが、今回紹介されたZoom Phoneだ。ただし5月に開催されたイベント「Zoom Experience Day Tokyo」では、「現在のZoomが最も注力し、売上を伸ばしているサービス」と紹介されていた。

 ZVCによると、Zoom Phoneは世界47カ国でサービスインしており、2023年2月時点で550万以上のユーザー(ライセンス数)を数える。

包括的なUCプラットフォームとしてのZoom。Zoom Phoneはこのプラットフォームに統合されたクラウドPBXサービスだ

 下垣氏は、現在ビジネスフォンの世界で起きていることが、5年ほど前のクラウドの世界の動きと似ていると指摘する。当時はまだパブリッククラウドに対して懐疑的な見方が強く、自社運営するプライベートクラウドに大規模な投資を行う企業も多かった。しかし現在では、パブリッククラウドが圧倒的な主流となっている。

 「電話の領域でも同じ事が起きている。日本ではまだ多くのお客様が、オンプレミス設置型の電話交換機、PBXを入れている。欧米ではもうすでにオンプレのPBXはどんどん減っているが、日本は少し前のプライベートクラウドのように、業界からすると少し古いかたちが続いている。こうした設備投資が、日本のトランスフォーメーションの足かせになっていると思う」(下垣氏)

Zoom Phoneは「『電話』と『会議』を一つの世界に統合する」

 続いて同社 UCaaS戦略担当 担当部長の吉田馨一氏が、Zoom Phoneの具体的な特徴や強みを紹介した。

 Zoom Phoneが目指すものとは何か。吉田氏は「これまで別々に発展してきた『電話(ビジネスフォン)』と『カンファレンス(ビデオ会議、Web会議)』を一つの世界に統合して、いろいろなデバイスから使えるようにする」というコンセプトだと説明する。Zoomの統合プラットフォームをベースとしたサービスであり、そのプラットフォームにつながるデバイスであれば何でもZoom Phoneが使える、というかたちだ。

 クラウドPBXサービスとして、旧来のオンプレミスPBXが抱えていた「複雑で高いコスト」「運用保守の手間」「柔軟さの欠如」といった課題も解消する。PBXのサーバーハードウェアは不要であり、エンドユーザーはPCやスマートフォン、あるいはSIP対応電話機などのデバイスさえあればすぐに使える。

 そのほかにも、クラウドサービスとして常に最新の機能が利用できる点、Zoomプラットフォーム上で他のサービス(Zoom Meetingsなど)と一元的に管理ができる点、グローバルに分散するデータセンターや高度なQoS制御、エンドトゥエンドの暗号化(ベータ版)などが実現する安全性/信頼性、PC(ソフトフォン)や携帯電話から専用電話機まで幅広いハードウェアの選択肢、といった特徴を挙げる。

Zoom Phoneの主な特徴

 「面白い機能としては、Zoom Phoneで会話をしていて、ちょっと画面で資料を共有したいとなったら、そのまま電話からWeb会議(Zoom Meetings)に“昇格”させることができる。また、通話の録音機能も標準で提供しており、全通話を録音しておいてコンプライアンス的な目的で通話内容を確認することもできる。通話のモニタリングやウィスパリング、着信時に部署の全員の電話を鳴らすグループ着信、自動応答の設定などもできる」(吉田氏)

 また、新しい形のZoom Phone対応端末として、固定電話機に画面とカメラも搭載し、Zoom Meetingsにも使える「Zoom Phoneアプライアンス」が登場していることも紹介した。「オフィスの1人、2人入れるような小部屋にこの端末を置けば、電話もできるしミーティングもできる」(吉田氏)。

Zoom Phoneが提供する機能(一部)と、“固定電話+画面”のZoom Phoneアプライアンス

音声品質や可用性、他社SaaSツールとの統合など数々の特徴

 クラウドPBXサービスは数多くあるが、その中でのZoom Phoneの特徴は何か。

 吉田氏はまず「音声品質の高さ」を挙げた。吉田氏の示した第三者機関の検証結果では、ネットワークの通信状態が悪い(パケットロスの多い)環境でも、Zoom Phoneは「Microsoft Teams」や「Cisco Webex」といった他社UC/電話サービスよりも高い音声品質を維持できていた。

 また、データセンターのグローバル分散による信頼性の高さもアピールする。日本国内の場合、東京と大阪にZoom Phone専用のデータセンターを設置しており、仮にどちらかがダウンしてももう一方で補完し、長時間のダウンが発生しにくいネットワーク設計となっている。仮に両方がダウンした場合でも、海外データセンターを使ってサービスを維持することが可能だ。

 「設計上のサービスアップタイムの目標値は99.999%としており、直近1年間の(実際の)アップタイムは99.965%だった。返金を伴うSLAは設けていないが、(要望に応じて)社内申請プロセスを経てSLAを提示させていただくことはある」(吉田氏)

 提携キャリアの豊富さも特徴だ。Zoom Phoneでは、公衆回線網(PSTN)への接続オプションが3タイプ用意されており、46カ国でZoom自身が公衆回線網接続を提供する「Zoomネイティブ接続」では、050番号や0AB番号を短期間で発行できる。その一方で、提携キャリアの公衆回線網へクラウド上のピアリングを通じて接続する「クラウドピア接続」を選ぶことも可能だ。

 日本のキャリアとしては、KDDIがクラウドピア接続パートナーとなっており、Zoom Phone+KDDI公衆回線網によるサービス「KDDI Cloud Calling for Zoom Phone」を提供している。このサービスでは「番号ポータビリティが可能」「KDDIのIP電話宛て通話は無料」という大きなメリットもある。

 また「Provider Exchange」という機能を使えば、“アプリ追加”のようなかたちで簡単に各国のクラウドピア接続パートナーとの接続ができることも紹介した。

「KDDI Cloud Calling for Zoom Phone」の主な特徴

 Zoomプラットフォームを通じて、Zoom PhoneとさまざまなSaaSとのインテグレーションが図れることも紹介された。Teams、Salesforce、ServiceNow、Google Workspaceなど、幅広い業務SaaSにZoom Phoneを組み込み、業務作業を効率化することができる。

さまざまなアプリと統合して業務効率化が図れる

 最後に吉田氏は、Zoom Phoneの提供プランを紹介した。クラウドPBXサービス単体ライセンスの「Zoom Phone Pro」のほか、提供する番号や通話料金従量制/無制限などの違いで複数のプランが用意されている。企業によっては、通話無制限プランを利用することで通話料金が大幅に削減できるケースもあると説明した。

Zoom Phoneのプラン。ただし従量制/無制限などさらに細かなプランが用意されている

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