核融合プラント開発 京都フュージョニアリングが最優秀賞獲得
「Morning Pitch Special Edition 2023」レポート
デロイト トーマツ グループは、2023年5月18日に東京国際フォーラムで、アジア最大級のイノベーションカンファレンス「Deloitte Tohmatsu Innovation Summit 2023」を開催。社会課題解決の期待を担うスタートアップや外部有識者、オピニオンリーダーを招き、各種セッションや展示会を開催した。同カンファレンス内で「Morning Pitch Special Edition2023」が開催された。
毎週木曜日の午前7時から、ベンチャー企業と大企業の事業提携を目的としたピッチイベント「Morning Pitch」を開催している。毎週5社のベンチャー企業が、大企業やベンチャーキャピタルなどのオーディエンス約300名にピッチを行うイベントで、2013年1月にスタート。2022年12月時点で、開催回数約450回、累計登壇企業2150社以上を数え、登壇後に新規上場を果たしたベンチャー企業は、約73社(上場承認も含む)に達している。
その年に登壇したベンチャー企業の中からファイナリストを選出し、最優秀賞を授与するアワードイベントも毎年開催している。今回レポートする「Morning Pitch Special Edition 2023」では、2022年に登壇した210社から選ばれた7社がピッチ登壇した。
就労困難者に特化したDXプラットフォーム「NEXT HERO」
最初に登壇したのは、VALT JAPAN株式会社 代表取締役CEOの小野貴也氏。VALT JAPANは、「就労困難者の大活躍時代をつくる。」をビジョンに、「就労困難者が仕事を通じて活躍できる、新たな社会的インフラをつくる。」をミッションに掲げ、就労困難者に特化したDXプラットフォーム「NEXT HERO」を展開している。
日本の労働人口は、約6723万人だが、5人に1人にあたる約1500万人は、就労困難者とされている。さらに、2040年には、約1100万人の労働供給力が不足すると予測されているが、障害雇用者数は約60万人しかいない。そこで、VALT JAPANが立ち上げたのが、「NEXT HERO」だ。「国は女性や外国人労働者への投資を加速させているが、就労困難者には巨大なポテンシャルがある」と小野氏は話す。
「NEXT HERO」は、登録している就労困難者の能力や特性をデータ化し、業務委託契約を受けた民間企業からの仕様設計や品質、納品管理といった受注者責任を担保する。民間企業は、人材派遣やアルバイトと異なり、一度「NEXT HERO」に指示をすれば業務が完結するため、採用教育のコストが1/10以下で済むという。業務内容も幅広く、AI教師データの生成やデータ入力、ホテル清掃など、受注実績は400種類を超える。
現在では、就労困難者が通う事業者は全国で2000カ所、就労者数は4万人に達する。また、創業当初は単発案件が中心だったが、現在は90%が継続案件に。従来時給200円程度とされていた就労困難者の平均賃金は約8倍に増加し、人生で初めて一人暮らしを初めた障がい者も数多く生まれているという。
今後は、公的セクターとともに就労困難者が戦力になる新たな共同市場を生み出して1.4兆円規模の市場へ成長させ、労働人口減少問題を解決する就労困難者の労働インフラを整備したいと小野氏は話した。