このページの本文へ

ChatGPT/生成AIのトレンドに乗り遅れるな!

第4次AIブーム到来で『AI白書2023』が前年比180%の大ヒット

2023年06月25日 09時01分更新

文● ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 生成AI(ジェネレーティブAI)が連日メディアを賑わせている。Googleニュースで「生成AI」を検索したところ、5月1日~31日までの1か月間で77,800件のニュースがヒット。生成AIに関連したイベントや動画も数多い。AI戦略会議が開催されるなど、政府も開発やルール作りに積極的な姿勢を見せている。

企業も生成AIを開発・導入

 ベネッセホールディングスやパナソニックホールディングスは社員にChatGPTを利用できる環境を提供し始めた。サイバーエージェントは独自の日本語大規模言語モデル(LLM)を開発した。生成AIはDXの決め手になる可能性が指摘されており、国民の関心も高い。生成AIを導入する日本企業は今後も増えていくだろう。

 現在、AIに関する情報はあふれている。しかし、多くは個人向けで、企業向けに整理された情報は少ない。そこでAI導入の指針として役立つのが、『AI白書2023』(発行:角川アスキー総合研究所、発売:KADOKAWA)だ。『AI白書』はAIの国内外の動向を1冊にまとめることを目的に2017年に刊行された。その後、ほぼ1年ごとに改訂して、これまで累計3万部以上を売り上げてきた。自社のAI戦略に悩む担当者や経営者にとって羅針盤的な本となっていることが特に支持されている。

 

 最新版の『AI白書2023』には、国内外の制度政策はもちろんのこと、AIをどのように事業に使うかという視点で、ユーザー企業の事例が数多く掲載されている。

 例えばサッポロビール株式会社は新商品の開発にAIを活用する取り組みを始めている。「N-Wing★(ニュー・ウィング・スター)」と呼ばれるAIシステムで、同社の約170商品で検討した配合(約1,200種)や原料情報(約700種)を含むレシピが学習されている。生成AIは今後、画像やテキスト以外にも広がると予想されているが、その先取り的な動きだ。

 『AI白書2023』には、生成AIの要素技術であるTransformerや拡散モデルの解説、さらにG7でも議論されたAIガバナンスの最新動向にもページを割いている。5月10日の発売後の売れ行きも上々で、前年比180%の大ヒットとなっている。

ChatGPTに似たサービスの導入を表明した京東集団(JDドットコム)。『AI白書2023』では中国企業における開発・利用動向も解説。

生成AIは今後どうなる?

 生成AIに関連する企業の担当者や研究者からは「スピード感がすさまじい」、「毎日、新しい発表があり、フォローしていくのが大変だ」という声を聞く。

 最近、Googleを退社したジェフリー・ヒントン氏、モントリオール大学教授のヨシュア・ベンジオ氏(https://www.youtube.com/watch?v=HGY1vf5H1z4)、ニューヨーク大学教授でMeta AI主任科学者のヤン・ルカン氏(https://www.youtube.com/watch?v=BY9KV8uCtj4)らトップ級の研究者の間でも、AI規制やAGI(汎用人工知能)について意見がわかれており、今後のAIがどうなるか、予測は難しいというのが現実だ。  

 だからこそ、今わかっていることをしっかり学ぶ必要がある。『AI白書2023』には、AIの歴史や生成AI、ゲームやメタバース、スマートシティ、ロボティクスにおけるAIの広がりなど、幅広いトピックスにページを割いている。ぜひ手にとっていただきたい。

『AI白書2023』

編:AI白書編集委員会
発行:株式会社角川アスキー総合研究所
発売:株式会社KADOKAWA
定価:5,500円(税込)
ISBN:978-4-04-911142-2
サイズ:A4判416ページ、2色刷(第1章のみカラー)
詳細はKADOKAWAサイト

【目次】
第1章 生成AI、AI原則と利用

「国内のAIベンダー企業 AI開発実態調査」サマリー
対談「AIとともによく生きる 日本型介護・AI社会に向けて」/宇井吉美(株式会社aba代表取締役CEO)、中島秀之(AI白書編集委員長、札幌市立大学学長)
座談会「AI原則を実践へ GPAIが果たす役割と可能性」/市川 類(一橋大学イノベーション研究センター教授)、実積寿也(中央大学総合政策学部教授)、羽深宏樹(京都大学大学院法学研究科特任教授)、原山優子(東北大学名誉教授)、江間有沙(AI白書編集委員、東京大学未来ビジョン研究センター准教授)
生成AIと大規模言語モデルの革命
インタビュー①「脳活動からの画像生成、3Dやタンパク質の構造生成など、データとして表現できるものはAIで生成できる」/Jerry Chi(Stability AI Japan代表)
OpenAIのCEOが語る 「DALL-E 2」から学んだこと、これからのこと
GPT-4へ試行錯誤続くOpenAI 「ChatGPT」でも残る課題
「予想外のヒットに驚いた」 ChatGPT開発者が語る「革命」の舞台裏
インタビュー②「画像をつくったのは誰なのか? AI生成画像を販売するには? アドビにおけるAI・機械学習の考え方」/吉原 淳(アドビ株式会社)

第2章 技術動向
2.1 総論
2.2 AIの基本技術(AIの歴史、深層学習の代表的な応用分野、統計的機械学習、ニューラルネットワーク/深層学習、近年の深層学習)
2.3 開発・運用の基盤、手順、MLOps
2.4 大規模言語モデルと画像モデル(Transformerの登場によるネットワークの発展、大規模言語モデルの登場、大規模モデルの画像への応用、言語モデルと画像モデルの組み合わせ、様々なマルチモーダルな応用)
2.5 倫理、品質、標準化

第3章 利用動向
3.1 総論
3.2 国内企業における開発・利用動向(デジタルツイン、責任あるAI、健康・医療・介護、農業・漁業、インフラ・防災・防犯、交通インフラ・物流、ものづくり、材料科学等、文化産業等)
3.3 中国企業における開発・利用動向
インタビュー「全世界4000万ユーザーを誇るメタバースゲーム The Sandboxに聞く メタバース・NFT・AIの今後」
3.4 国内のAIベンダー企業 AI開発実態調査
参考資料:国内のAIベンダー企業一覧

第4章 制度政策動向
4.1 総論
4.2 AIに関する原則・ガイドライン等
4.3 制度改革(モビリティ、データの管理・流通、知的財産:画像生成AIをめぐる著作権問題、海外のAI知的財産関連動向)
4.4 国内の政策動向
4.5 海外の政策動向(米国、EU、英国、ドイツ、フランス、中国)

第5章 人材育成、AI開発と契約
5.1 総論
5.2 人材育成
5.3 AI開発と契約(品質:性能保証、検収、契約不適合、知的財産権、責任)
5.4 法とアジャイル・ガバナンス

コラム
ロボットにTransformerを用いた新しい試み:Robotics Transformer(RT-1)/浅田 稔
ロボットとAIの現在の課題と最新技術/石井 信
空間知能、メタバース、スマートシティによる新しい社会の仕組み/三宅陽一郎
人とAIの協調がビジネスをトランスフォームさせる/岡田陽介 
生成AIの衝撃/松尾 豊

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ