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あの講演から半年 ジョイゾーで見つけた新しいキャリアとは?

kintoneおばちゃん、65歳の転職について語る

2023年06月01日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元、ジョイゾー

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自分もkintoneでなんかできると思ってしまった

大谷:次に現在に戻って、昨年10月のCybozu Daysが終わってからこの半年の話を聞かせてください(関連記事:kintone AWARD 2022開催 効果が数字に出た後藤組とkintoneおばちゃんが登壇)。なぜジョイゾーに入ったのかという経緯ですね。

根崎:Cybozu Daysに登壇した時点で、再雇用期間は半年を切っていました。でも、講演では「77歳でまたこのステージに立つ」とか言ってしまったので、新しくなにかやらなければと思っていました。じゃあなにをやるか。ずっとうらやましいと思っていたのは、琴絵さんが手がけていた釧路での地域おこしの活動です。

大谷:確かにkintoneはチーム応援ライセンスがあるので、地域おこしでもよく活用されていますね。

根崎:私は娘家族が住んでいる長野県の白馬村に執着があるので、同じようなことができるのではないかと思ったんです。白馬村は、コロナ禍で外国人観光客も来なくなっていたので、とにかく観光が厳しい。琴絵さんみたいな地域おこしをやって、若い人にワーケーションでもやってもらえないかなあと思ったんです。

思い入れの深い長野県白馬村

Cybozu Daysが終わった頃は、いろいろな方からもお声がけをいただき、ちょっとちやほやされて、自分もkintoneでなんかできるんじゃないかと思ってしまったんですよね。今から考えれば、これが勘違いでした。

結局、再雇用期間の終了を待たず、年末に思い切って退職して、有休消化の1ヶ月+1ヶ月で、地元やサイボウズの方々にお会いし、いろんな課題をいただきました。

大谷:さっそくkintoneで課題解決を進めたわけですね。

根崎:はい。でも、なにから手を付けてよいかわかりませんでした。結局、私は会社員人生が長すぎて、与えられた仕事だけをやっていたので、名刺作って、屋号を考えるくらいで止まってしまったんです。白馬村の方々から、せっかくお話をいただき、いっしょにがんばりましょうと言われたのに、1人だとなにか起こすというのが難しかった。

年齢も年齢なので、あのときは焦っていて、kintone hive以来だった琴絵さんに改めて相談させてもらったんです。

大谷:なるほど。kintone hiveきっかけと言うより、琴絵さんがやっていた釧路の地域おこし活動みたいな方が接点だったのかもしれないですね。

四宮:根崎さんが興味を持ったのはそっちかもしれません。白馬村の地域おこしにも携わっているんだけど、会社で与えられたことしかやってこなかったので、イチから始めるのが難しいといった話でした。あと、会社も辞めてしまったので、kintoneを触る機会がない。「だったら、うち来ませんか?」とお答えしました。だって、ジョイゾーだったら、当たり前のように最新のkintoneが使い放題なので。

大谷:kintone SIerなので、そりゃそうですよね(笑)。根崎さんはそんなラブコールに応えたわけですね。

根崎:すごくありがたかったです。kintoneでなにかやりたくて会社まで辞めたのに、なにもしないで終わったらどうしようと思っていたので、本当に一筋の光でした。

四宮:根崎さんとは距離感が合っているんですよ。kintone hive以来、Facebook Messengerを介したやりとりは続いていたのですが、どんな真夜中にメッセージ送っても、必ず戻ってくるんですよ。こりゃ、いいなと(笑)。

大谷:確かにいい思いつきって夜ですよね。

四宮:私も、たぶん根崎さんも、思い立ったら言いたい人なんです。しかもコミュニティ活動って、やっぱり業務時間外になるので、どうしてもやりとりが夜中になってしまう。そこらへんの感覚があっていたという感じでした。

「私は琴絵さんに嫉妬してます!」みたいなメッセージが根崎さんから来るんですよ(笑)。「やりたいことがあるのに、琴絵さんみたいにいろいろ全部できちゃう人に嫉妬してしまう」みたいな感じで。でも、こうして懐に入ってきてくれるのって、すごくありがたいことですよね。

地方は特にそうなんですけど、お年寄りというだけで、面倒くさがられることも多い。歳がいってるだけで、偉ぶっている人もいるからそうなるんですけど、根崎さんと話していると、長く関係を続けていきたいなと思うんです。そういうところは学びたいですね。

根崎さんのジョイゾー入りは思った以上に大きなインパクト

大谷:では、わりとジョイゾー入りはスムーズだったんですね。

四宮:根崎さん自体は白馬村を盛り上げたいというやりたいことがはっきりしていたし、定年を過ぎているということもあるので、「やるなら、どんな感じで働きますか?」というのは、こちらから聞いた感じです(note:年齢ではなく成長する仲間としての採用)。

大谷:で、いま根崎さんはどんな役割を持っているのですか?

四宮:今おねがいしているのは、社内のkintone環境の整備です。確かにうちはkintoneで商売をしているのですが、社内のkintone環境ってエンジニアが片手間で運営している感じなので、ユーザーの声を聞いて使いやすくなっているわけではない。無駄や改善ポイントがあるかもしれないけど、本業をやっていると全然手が回らない(笑)。そういうところを使いながら改善してもらいたいと思っています。kintoneばりばり使えるわけだから、根崎さんにとってもいいのかなあと。

私の秘書的なところもお願いしています。最近ノーコード推進協議会の地方推進部会部会長とかになったのですが、本業が忙しくてなかなか回らない。そこで根崎さんに日程調整ややりとりを任せています。フルタイムではないので、来られる範囲で来てもらって、いろいろ手伝ってもらっています。

大谷:根崎さんはnoteも書かれていますよね(note:すべては、kintone hive東京からはじまった・・・)。

四宮:最初は社内でのインタビューにしようという話だったのですが、根崎さん自体に発信してもらうことが重要だと思ったので、書いてもらいました。あまりにも長いので二部作になったのですが(笑)。

とにかく根崎さんがジョイゾーに入ってくれたという反響は大きくて、改めて広報力って強いなあと。この広報力に加え、私がやりたかった、本来はクリエイティブな仕事をやっている事務員の地位向上にもつながると思っています。

「エンジニア=コードを書ける人」ではなくなっているし、自ら考える力、問いを作れる力を持っている人は会社でもいっぱいいると思うんです。そういった人がリスキリングによって、ノーコードを使いこなしていけば、事務員だってエンジニアになれる時代が来ています。

大谷:琴絵さんの場合は、出産後のタイミングでのリスキリングだけど、根崎さんの場合は定年後のタイミングでのリスキリング。そのロールモデルということですね。

四宮:もちろん、本人はそこまで思ってないかもしれない(笑)。私も「根崎さんが会社にいたら、うちの若いメンバーにいい影響与えられるかも」と思ったくらいなんだけど、世の中的にはけっこう大きなインパクトがあるということがわかったんです。

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