心電データからライダーの感情を可視化する「感情センシングアプリ」
北海道大学発ベンチャー企業の株式会社ミルウスは2023年5月11日、ヤマハ発動機株式会社および横浜国立大学の島圭介准教授と共同で、ベルトやウェアのセンサーで取得した心電データを用いて、バイクライダーの感情を可視化する「感情センシングアプリ」を開発したと発表した。
「感情センシングアプリ」は、身体に装着したベルト型センサーで心電データを計測し、感動や喜び、リラックスした状態、緊張など、ライダーの感情をリアルタイムでスマートフォンに表示する。推定された感情を地図上にプロットすることで、ツーリング先のビューポイントで得た感動や複雑な交通環境での緊張、イライラや眠気など、ライダーが行動を判断する上で参考になる心身状態を時系列でフィードバックする。
リストバンドやウェアなどに搭載した生体センサーを通じて得られるデータは、装着するユーザーの健康状態を可視化するツールとして使われているが、AIなどを活用することで、心の状態である感情の可視化も可能になりつつあるという。
この共同研究では、精度の高い感情推定を行うためにAIの学習に脳波など多様なデータを用い、実際の感情推定においてはベルトやウェアで取得可能な心電データのみでAI判定する技術を開発。ライダーのツーリング時の感動や緊張を手軽に可視化するスマホアプリとして実現した。
同社では、今回の共同開発の成果をベースに、感情データを血圧などの生体データや、睡眠、食事、運動などの生活データとともに、プライバシーを尊重してビックデータ化することで、医療や健康、マーケティング、観光など他分野への活用を目指すという。