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機械学習で気候予測データを詳細化する手法を開発=豊田中研など

2023年05月09日 06時56分更新

文● MIT Technology Review Japan

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豊田中央研究所と国立環境研究所の共同研究チームは、機械学習を用いて、気温や降水量などの気候予測情報を詳細化するダウンスケーリング手法を開発。地球規模の解像度の粗い予測情報から、50倍の解像度をもつ詳細情報を得ることを可能にした。

豊田中央研究所と国立環境研究所の共同研究チームは、機械学習を用いて、気温や降水量などの気候予測情報を詳細化するダウンスケーリング手法を開発。地球規模の解像度の粗い予測情報から、50倍の解像度をもつ詳細情報を得ることを可能にした。 研究チームは今回、ニューラルネットワーク技術の一つである「競争式生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Networks)」を低解像度画像の詳細化に応用した「SRGAN(Super-resolution GAN)」を気候情報のダウンスケーリングに適用した。気温・降水量の低解像度情報を、100キロメートル四方程度の1ピクセルの情報から、2キロメートル四方程度の2500ピクセルの情報に詳細化する手法を開発。気温と降水量をダウンスケーリングする際に、気候学的に相関が高いと考えられる海面校正気圧や地形といった補助情報を効果的に機械学習システムに組み込むことにより、精度を向上させた。 同チームは、「気象庁55年長期再解析データ」を低解像度情報とし、「農研機構メッシュ農業気象データ」を高解像度情報として、1980年から2000年のデータセットでネットワークを訓練。2001年から2018年のデータセットを使って性能を比較したところ、低解像度の気候予測情報から、複雑な気温と降水量の空間分布をよく再現できていることを確認した。さらに、広く用いられている統計的ダウンスケーリング手法である「累積密度関数」による結果と比較したところ、離れた地点間で生じる気候現象の時間変化の相関関係については3倍以上の精度が得られることがわかった。 今回の成果は、交通インフラや再生可能エネルギーのように、空間的に広がりを持つネットワークの構築を計画する際に役立つことが期待されるという。ゲリラ豪雨や熱波といった極端現象の再現精度を向上できれば、災害リスク低減のための施策につながる情報が得られる可能性もある。研究論文は、サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)のオンライン版に2023年4月25日付けで掲載された

(中條)

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