日本政府はAIに積極的、G7でも注目テーマに
日本の国会でもChatGPTを中心に生成AIに対する政策をどのようにすべきかという議論が始まっています。自民党の山田太郎参議院議員が3日の参議院決算委員会で、生成AIを中心とする著作権問題に焦点を合わせた質問をしました。
現状は、政府として議論が不足しているという現状を認めさせ、今後の国内での必要性を答弁から引き出していました。
生成AIに対して、国がどのように動くのかという方針は今から議論されていくことが始まってきそうです。実際に予算が動くとしたら早くても来年以降の話になってしまうと思いますが、それでも政府の中で議論される流れができたことは大きいと考えます。
その後、10日にOpenAIのサム・アルトマンCEOが電撃来日し、岸田首相と面会したり、自民党のAIの進化と実装に関するPTに出席してスピーチしたのにはさすがに驚きました。
欧州ではAIに対する規制が取り沙汰されている一方で、推進を政策的に進めようとしている日本にアピールしようという狙いがあったのではないかとも言われています。日本でも急激に、生成AIは自分たちに直接関連する技術として広がろうとしています。
山田議員がYouTubeで指摘していたことですが、5月のG7では、それに伴い4月29~30日に、デジタル大臣会合が予定されており、そこでもAIの話は確実に出るだろうと予想されています。ここで、日本政府も一定の立場を示すことが求められるとしていました。アルトマンCEOも、議長国である日本を意識して来日したのではないかという意見も出ています。
日本では、私の知る限り、欧米圏と同じような論調で、AIによって世界が滅ぼされるということを真剣に主張している研究者はほぼいないように思えます。これは「鉄腕アトム」や「ドラえもん」といった、AIを搭載したロボットと友人のような関係性を築く物語が好まれてきたような文化的な土壌もあるのではないかと考えられています。実際に、私自身もChatGPTと話している程度では、この技術の延長線上で、世界が滅びるとはなかなか感じにくいのです。そういう欧米圏と少し違った文化背景が、うまく政策へと生かされることを願ってやみません。
筆者紹介:新清士(しんきよし)
1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。
イメージ:Jonathan Kemper | Unsplash
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