糖尿病患者の健康をサポートするチョコレート「Medicalate」を開発するセディカルが最優秀賞
HIROSHIMA UNICORN 10 STARTUP ACCELERATION 成果発表会
ここからは他の登壇企業9社を紹介する。まずはDeep Tech領域で登壇した1社だ。
船舶に付着したフジツボを除去する無線型ドローンを開発している株式会社シーテックヒロシマ
シーテックヒロシマは海の共通の課題であるフジツボを取り除く技術を開発するDeep Tech企業だ。フジツボが付着した船舶は1.8ノットの速度分の燃料を消費しても、1.6ノットほどまで燃費が落ちてしまう。CO2に換算すると年間4000トンが無駄に排出される計算だ。
船舶でなされているフジツボ対策は主に2つある。ダイバーが手作業で除去する非効率な方法か、環境に有害な影響を与える塗料で付着を防ぐ方法だ。シーテックヒロシマは前者の手作業で除去する方法を、ロボット掃除機のような無線型ドローンを開発することで効率化する。現在、藻類の除去には成功しているが、フジツボの除去には至っていないため、今後も研究開発を進める。
ここからはヘルスケア、ウェルネス領域として登壇した3社を紹介する。
基礎体温の向上と酸化ストレスの低減をするおしゃぶり器具「キュアマウス」を開発した合同会社 なぎさ会
なぎさ会は基礎体温の向上と蓄積した酸化ストレスの低減により、生活習慣病を改善する大人向けのおしゃぶり器具「キュアマウス」を開発した。
高血圧や糖尿病、心筋梗塞などの生活習慣病は、体温を上げることにより改善が期待される。酸化ストレスは飲酒や添加物入りの食事だけでなく、呼吸や水道水による入浴でも進行するため防ぐことが難しい。
「キュアマウス」はシリコン製のおしゃぶり器具で、唾液を飲み込み続けることで体温上昇を促し、素材に配合した100%植物抽出発酵機能性素材(万生)が酸化を還元する。元Jリーガーをアンバサダーにしたスポーツ業界での普及やマウスピースの試作なども進めている。
訪問看護とIoT技術を掛け合わせ、高齢者向けウェルビーイングサービス「会いにくるナース」を提供するNurse and Craft合同会社
Nurse and Craftは瀬戸内海の大崎下島を拠点として、高齢者が独りでも安心して暮らせるウェルビーイングサービス「会いにくるナース」を提供している。70歳以上の高齢者の約4割が定期健康診断を受けていないことにより、社会保障費が増加している課題の解決を目指す。
「会いにくるナース」は訪問看護とIoTを駆使した疾病の重篤化検知技術、尿をかけたリトマス試験紙をスマホで撮影するだけで栄養状態を可視化する技術などを複合的に用いることで、自宅でも病気の予防が可能になる。また、持病があっても自宅で生活できるよう病気の管理にも取り組む。
特定保健指導DXサービス「Tena life」で40歳から60歳の健康をサポートする株式会社福山臨床検査センター
株式会社福山臨床検査センターは臨床検査事業に55年携わり、新規事業として特定保健指導DXサービス「Tena life」を提供する。社会保障費の増大を防ぐために40歳以上の方を対象に特定健診、特定保健指導が行われている。健康リスクに応じて1人当たり約1万3500円から3万3000円の費用が健康保険組合から支払われている。
「Tena life」は健康管理の必要性を感じているものの自身で取り組めない40歳から60歳に対して、血液検査数値改善のための行動変容を促す3か月のプログラムを提供している。具体的には法人の中でグループを作って専門家の面談、習慣化プログラムを組み込んだアプリの登録と毎週のメールコーチングなどで、行動変容を促す。
今後は治験データベースを整備してAIによるコーチングを導入したうえで、海外展開を目指す。制度が高まりつつある疾病の予測や関連する情報を医師や専門家のみが扱うのではなく、一般人向けに行動変容を促すために活用する。