中国のサイバースペース管理局は4月11日(現地時間)、生成AI技術の健全な開発を促進するために「生成AIサービス管理条例」の草案を発表した。5月10日までコメントとフィードバックを受け付け、その後正式に発布されると思われる。
草案の内容
草案によると生成AIを用いたサービスを提供する際には、あらかじめ規則に従ったセキュリティ評価を国家ネットワーク情報部門に提出する必要がある。
AIによって生成されるコンテンツは「社会主義の中核的価値を反映」する必要があり、国家権力の転覆、社会主義制度の転覆、国を分割する扇動、国家の団結の弱体化、テロリズムの促進、過激主義、民族的憎悪および民族差別、暴力、わいせつおよびわいせつな情報、虚偽の情報、および経済的および社会的秩序を乱す可能性のあるコンテンツは禁じられる。
また、知的財産権と企業倫理を尊重し、アルゴリズム、データ、プラットフォームなどの利点を利用して不正競争を行わないことも求められる。
さらに、トレーニングデータのソースの正当性について責任を負うことも要件のひとつだ。具体的には肖像権、名誉権、プライバシー、知的財産権などを侵害する行為。個人情報、プライバシー、営業秘密の不正な取得、開示、使用などが禁止されている。
なお、生成AIの利用者にも「ネットワークセキュリティ法」の規定に従い、実際の身元情報の提供が義務付けられる。
もし、プロバイダが本措置の規定に違反した場合、行政処罰や罰金が課せられるほか、利用者は規制に違反したAIサービスを通報することができるようになっている。
生成系AIの発表が相次ぐ中国テックに警戒か
この発表は、中国の大手アリババが最新の大規模言語モデル「通義千問(Tongyi Qianwen)」を発表した直後に行なわれた。
また、4月10日にはセンスタイムが、3月16日には百度(バイドゥ)が、相次いで生成AI関連の発表を行なっている。
発表のタイミングに意味があるかは不明だが、驚異的なスピードで進む生成AI開発競争を巡る展開に規制当局は危機感を募らせていることが伺える。