東急と事業共創グランプリはクラダシ 5万品以上のフードロス削減
「東急アライアンスプラットフォーム 2022 Demo Day」レポート
行動認識AIを活用し、警備システム改善に取り組む株式会社アジラが渋谷賞(準グランプリ)を受賞
渋谷賞(準グランプリ)を受賞したのは、アジラと東急セキュリティによる行動認識AIを用いた警備システム改善の取り組みだ。
東急セキュリティの佐藤達志氏は「アジラの警備システムと東急セキュリティの施設警備オペレーションを組み合わせ、警備員の人手不足や事件、事故リスクの早期発見を実現したい」と述べた。
アジラは世界トップクラスの行動認識AIを用いてソリューションを提供し、国内外で11件の特許を所有しているスタートアップだ。
日本は2022年1年間の刑法犯認知件数が60万1389件と、20年ぶりの増加を記録した。アジラは行動認識AIを用いて事件や事故を未然に防ぎ、安全で快適な世界の実現を目指す。
AI警備システム「アジラ」は、設置済の防犯カメラの映像をリアルタイムでAIが解析。不審行動や異常行動を検知し、管理画面の表示やメールなどで通知する。喧嘩や暴力行為、ふらつきや転倒、長時間滞留などの検知が可能だ。
また特許を取得しているのが「違和感行動」の検知だ。設置された防犯カメラの画角における通常行動をAIが自動学習し、通常行動から逸脱した行動を「違和感行動」として検知できる。挙動不審な仕草や落書きなどの迷惑行為など、事件事故の発生を未然に防ぐ。
「アジラ」から届く通知には、いつどこでどのような事象が発生したのかを記録した録画映像とリアルタイム映像の両方が通知されるため、現場から離れていても適切な対応を検討しやすい特徴もある。
2022年7月には東急セキュリティ協力のもと、渋谷駅で実証実験が行われた。共創を進める中で、万引きの予兆検知機能や、白杖と車椅子の利用者の検知、迷子検索などの機能も追加することで防犯性能や施設利用者の満足度の向上を図る。
また、マーケティング機能として施設来場者の人数カウントはもちろん、年齢や性別、施設内での動線分析なども実装することで、東急グループ全体のサービス向上を目指す。
DaaS活用により高度でインタラクティブなデータ分析サービスを開発するノウンズ株式会社が二子玉川賞を受賞
二子玉川賞を受賞したのは、ノウンズと東急エージェンシーによるDaaS(Data as a Service)を活用した高度なデータ分析、ブランディングサービスを開発する取り組みだ。
東急エージェンシーの大倉新也氏は「東急エージェンシーは顧客の事業成長のために並走してブランド育成するうえで、データ収集のコストや分析結果をわかりやすく共有することにハードルを感じていた。ノウンズと共創することで事業成長に必要なヒントがスピーディーに共有できるようになると感じている」と述べた。
ノウンズは消費者のデータ分析が誰でも簡単にできるDaaS「Knowns Biz」を提供している。「Knowns Biz」はマーケティングの現場における消費者データの獲得コストが高いことや、データ分析ができる人材不足などの課題を解決する。
「Knowns Biz」は従来の「欲しいデータを取得する」サービスと異なり、2万個以上のキーワードのデータが分析可能な状態で格納されているデータプラットフォームサービスであることが強みだ。欲しいデータがない場合は、定額料金内で調査リクエストも可能だ。分析も直感的な操作で行えるため、分析結果を共有する資料作成が大幅に効率化できる。
共創の背景として、IoT技術の普及などによりデータ量が増大し続け、データをどのように扱うかがより重要になっている昨今の状況が挙げられる。ブランディングエクイティのフレームワークによる分析が可能な東急エージェンシーとDaaSを組み合わせることで、より高度でインタラクティブなデータ分析サービスの開発を目指す。
2022年12月からPoC(概念実証)を開始し、現在は実証実験の最中だ。2023年5~6月に東急エージェンシー独自のフレームが「Knowns Biz」に実装され、社内での利用が可能になる。また、2024年には東急エージェンシーのクライアントが活用できる新サービスのリリースも目指す。
さらにノウンズは自社で保有する大量の情報を「0 Party化技術」や「非個人情報を利用したデータフュージョン」などの手法で、外部のデータと融合する技術を研究している。ノウンズの大量のデータと東急グループが保有する小売や交通、住生活、リゾートなどのデータを組み合わせることで利用客の施設利用時以外の行動分析など、より多面的にデータを分析できるようにすることを目指す。