LOMBY、スズキと共同開発契約を締結。自動配送ロボットの量産に向けて
自動配送ロボットの開発や販売を行っているLOMBY株式会社は2023年3月16日、公道走行向け屋外自動配送ロボットの量産を見据え、スズキ株式会社との共同開発契約の締結を発表した。
LOMBYは独自の自動積載機能を有した国産配送ロボットの開発を進めており、スズキは電動車椅子とシニアカーの開発や販売を行ってきた実績がある。配送ロボットと電動車椅子の機体部品を共通化して製造することで、普及に向けた課題の一つである製造コストの問題を解決し、国内外で競争力のある製品開発を目指すという。
Lomby代表取締役の内山智晴氏は、「シニアカーや電動車椅子といった福祉の分野と自動配送ロボットという業務上つながりのない異分野同士のものだが、“足回り”の部分を統一することによって、同じ部品を使うことができる。双方の製品が売れることで価格の低減につながり、相乗効果のメリットが出てくる。自動配送ロボットの普及という観点でもポイントになる」と話す。
両社は2022年から共同開発の検討を開始しており、スズキの電動車椅子の駆動部品をベースに開発された試作初号機「LM-R1」は屋内では自律走行、屋外では遠隔操作が可能な機体となっている。「LM-R1」は、LOMBYが開発を進める低遅延遠隔操作システムと、複数の遠隔操作者が任意のロボットを適宜スイッチングして操作できる機能を備えており、これまで現場に人がいなければならなかった配送業務をリモートワークで行えるとしている。
内山氏は「ハードウェア系のスタートアップは日本でも世界でもそれほど多くない。それでも、自動配送ロボットのような新しい分野で、スタートアップと既存のメーカーが持つノウハウを組み合わせたり、パートナーシップを組んだりすることで、日本発の、世界で戦えるハードテックベンチャー、ハードウェア系スタートアップがもっと出てくる可能性があると思う。今回のような共同開発などを通じて、用途が異なる他分野の製品でも、作り方や求められるスペックなど共通するところを合わせることで、スタートアップでもコストを抑えて製品をつくれる体制を整えられるのではないか。日本はそうしたことがやりやすい環境にあると思っている」と本誌に語った。
LOMBYでは24時間運航に向けた自立走行型ロボット「LM-A1」も開発中で、2023年度中のサービス導入を目指している。また今後について、2023年夏に広島市内で複数台、機体を走らせることを計画しているという。