このページの本文へ

最新パーツ性能チェック 第403回

3D V-Cache搭載「Ryzen 9 7950X3D」はゲーミングCPUの最高峰に輝くのか?【前編】

2023年02月27日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラハッチ/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

正しく運用するためのセットアップ手順

 これからRyzen 9 7950X3DやRyzen 9 7900X3Dを使おうという人のために、パフォーマンスを最大減に引き出すためのガイドを紹介ししよう。これはRyzen 9 7950X3Dのレビュアーズガイドに書かれていた内容をベースにしている。レビュアー向けとあってかなり手動操作に頼った部分があるが、将来的にはもう少しエレガントになることを期待したい。

【Ryzen 9 7950X3D/ 7900X3Dセットアップ手順】

① AGESA 1.0.0.5c(以降)のBIOSに更新したマザーにRyzen 9 7950X3D/7900X3Dを組み込む

② Windows 10 1903以降、もしくはWindows 11 21H2以降を導入後、必要なドライバーもセットアップ

③ コア分離(VBS)を有効化(Windows 11のみ)

「Windowsセキュリティー」を起動、「デバイスセキュリティー」→「コア分離の詳細」で「メモリ整合性」をオンにする。インテル環境だとデフォルトでオンだが、Ryzen環境ではオフになっている。この設定がオフでも普通に動作するが、セキュリティーが強化されるので入れておきたい

コア分離について、AMD様の回答を追記(2023年3月1日16:10)

 コア分離(メモリ整合性)をオンにしなくてもRyzen 9 7950X3DのCCD振り分けは機能する点について、AMDに問い合わせたところ、次のような回答を得た。

・Hyper-V(コア分離を使うための前提機能)はなくてもCCD振り分けは正しく機能する

・コア分離に関してはインテルとの比較を対等にするためのものである

・Windows 10環境でHyper-Vが有効になっていると、L3キャッシュの情報が正しく拾えないが、これも動作には問題ない

 ということなので、この手順③は「必須」ではない。ただ初出時に記述した通り、メモリ整合性はセキュリティーを強固にするため入れておきたい。だがゲームのアンチチートツール等が不具合を起こすなどの理由があるなら話は別だ。

④ Windowsゲームモードが有効か確認

「設定」→「ゲーム」→「ゲームモード」が有効になっていなければ、3D V-Cache搭載の意義は完全に消失する。ただこの項目はデフォルトでオンになっているはずだ

⑤ MicrosoftストアでXbox Game Barを最新版にアップデート

Xbox Game BarはWindows 11 22H2導入直後のバージョンでは古いので、最新版にアップデートが必要

⑥ AMDのチップセットドライバー5.01.03.005以降)をインストールして再起動

デバイスマネージャーの「システムデバイス」を展開し、赤線で示した2つのデバイスがあるかを確認。タスクマネージャーやサービスで3D V-Cache Performance Optimizer DriverやProvisioning File Driver(前述)が存在しているかも確認しておこう

⑦ システムのメンテナンスタスクを実行させる。アイドル状態で15分程度放置するか、管理者権限で起動したコマンドプロンプトもしくはターミナルを開き、以下のコマンドを実行する

Cmd.exe /c start /wait Rundll32.exe advapi32.dll,ProcessIdleTasks

コマンドプロンプトまたはターミナルは管理者権限で実行したら、そのまま何も操作せず放置しよう。特に何のメッセージも出ないが、10〜15分程度放置すれば終わる。次のステップを通過するための儀式のようなものだ

⑧ Xbox Game Barを起動、ギアアイコン→「フィードバック」→「その他の診断情報を表示」で「KGL Version Loaded」と「KGL Service Version」の数値が揃っていることを確認

前述のコマンドを実行することで、KGLの新バージョンがダウンロードされ、結果として数値が揃う(赤枠部分)。ここが揃っていなければ手順⑦をやり直そう

 手順⑦のコマンド入力が一番手強そうに見えるかもしれないが、アイドル状態で15分程度放置するという手段でも通過できる。前述のコマンドは内容的にはシステムを強制的にアイドル状態に遷移させ、Windowsのアイドル時にのみ実行されるメンテナンスタスクを促し、ゲームモードのコアになるファイルを更新する、という儀式にすぎない。

 この儀式を行えば何が起こっていてもシステムは即座にアイドル状態となり、確実にメンテナンスタスクが実行される。確実性を重視する人にオススメしたい。また、この手順はOSセットアップ後に1回実行すれば済む。

検証環境は?

 今回の検証は、Ryzen 9 7950X3DとRyzen 9 7950Xの対決を主軸に、ライバルであるCore i9-13900K、さらにRyzen 7 5800X3Dとの比較を試みる。Ryzen 9 7950X3Dと7950Xはコア数は同じだが、TDPやクロックの違いからRyzen 9 7950X3Dは7950Xよりも一般的なベンチマークでのパフォーマンスは劣るはずである。

 しかしその一方で、3D V-Cacheの効くゲームでは7950Xを上回ることが予想される。そしてRyzen 7 5800X3Dに対してはコア数がより多く、アーキテクチャーでアドバンテージのあるRyzen 9 7950X3Dは常に優勢であることも十分想像がつく。

 また今回の検証環境でも、コア分離(VBS)やSecure Boot、Resizable BAR、HDR(Windows HD Color)といった設定は全て有効としている。メモリークロックは各CPUにおける定格最大値とした。AM5マザーのBIOSとチップセットドライバーはレビュー用に配布されたもの、GPUドライバーはRadeon Softwareの23.2.1を使用している。CPUのパワーリミット系設定はデフォルト(インテル系はMTP無制限)とした。

【検証環境:AM5】
CPU AMD「Ryzen 9 7950X3D」
(16コア/32スレッド、最大5.7GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN II 360」
(AIO水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASRock「X670E Taichi」
(AMD X670E、ATX、BIOS 1.15)
メモリー G.Skill「F5-6000J3636F16GX2-TZ5NR」
(16GB×2、DDR5-5200運用)
ビデオカード AMD「Radeon RX 7900 XTX リファレンスカード」(24GB GDDR6)
ストレージ Corsair「CSSD-F1000GBMP600」
(1TB M.2 SSD、PCIe 4.0、システムドライブ)
+Silicon Power「SP002TBP34A80M28」
(2TB M.2 SSD、PCIe 3.0、データドライブ)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」
(1000W、80PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(22H2)
【検証環境:AM4】
CPU AMD「Ryzen 7 5800X3D」
(8コア/16スレッド、最大4.5GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN II 360」
(AIO水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASRock「X570 Taichi Razer Edition」
(AMD X570、ATX、BIOS 1.90)
メモリー G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」
(16GB×2、DDR4-3200)
ビデオカード AMD「Radeon RX 7900 XTX リファレンスカード」(24GB GDDR6)
ストレージ Corsair「CSSD-F1000GBMP600」
(1TB M.2 SSD、PCIe 4.0、システムドライブ)
+Silicon Power「SP002TBP34A80M28」
(2TB M.2 SSD、PCIe 3.0、データドライブ)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」
(1000W、80PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(22H2)
【検証環境:インテル】
CPU インテル「Core i9-13900K」
(24コア/32スレッド、最大5.7GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN II 360」
(AIO水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASUS「ROG MAXIMUS Z790 HERO」
(Intel Z790、BIOS 0813)
メモリー G.Skill「F5-6000J3636F16GX2-TZ5NR」
(16GB×2、DDR5-5200運用)
ビデオカード AMD「Radeon RX 7900 XTX リファレンスカード」(24GB GDDR6)
ストレージ Corsair「CSSD-F1000GBMP600」
(1TB M.2 SSD、PCIe 4.0、システムドライブ)
+Silicon Power「SP002TBP34A80M28」
(2TB M.2 SSD、PCIe 3.0、データドライブ)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」
(1000W、80PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(22H2)

カテゴリートップへ

この連載の記事