途上国の貧困問題解決に挑む高校生のビジネスプランがグランプリ!
第10回「高校生ビジネスプラン・グランリプリ」最終審査会&表彰式レポート
特別講演・意見交換会と並行して行われていた最終審査会も終了し、残るは表彰式だ。
各賞の発表の前に、これまで10回にわたって応募を継続してきた9校について、「継続応募賞」の表彰が行われた。9校を代表し、宮崎県立延岡商業高等学校の校長である堀切康博氏に、プレゼンテンターを務める日本政策金融公庫 田中総裁から表彰状が贈呈された。
堀切氏は、「生徒と職員が10年間続けてきた頑張りをこのような形で表彰いただけたのは光栄。起業家精神を養い、地域に貢献できる人材を育成する気持ちで続けてきた。今日の素晴らしい発表を生徒に話し、将来の日本を変える人材を育成したい」と語った。
グランプリは、東京都立晴海総合高等学校の本嶋向日葵さんに決定!
そして、いよいよ最終審査結果の発表に。まず、プレゼンを行った10組があらためて紹介され、「ファイナリスト」として1組ずつ壇上で表彰が行われた。
その後、結果発表となり、会場は緊張で包まれた。審査員特別賞3組に続き、準グランプリが発表され、最後にグランプリの発表となった。
【審査員特別賞】
おかやま山陽高等学校 チーム名(個人名):進学コース地域探究班
プラン名:マコモの飼料化による持続可能な地域社会の実現
洗足学園高等学校 チーム名(個人名):ハイドレンジャー
プラン名:傘による発電システムの開発,提供「あんぶらいと」
沖縄県立北部農林高等学校 チーム名(個人名):ムジっ娘
プラン名:身体も地域も元気にイエ~イ。~事業を繋ぐ18パンの思い~
各組の代表者たちは壇上に上がり、プレゼンターの日本政策金融公庫 田中総裁から表彰状とトロフィーを受け取り、笑顔を見せた。
【準グランプリ】
青森県立三本木農業恵拓高等学校 チーム名(個人名):COW飼う‘S
プラン名:エコフィードを活用した機能性鶏卵「キャロットエッグ」
「COW飼う‘S」のメンバーたちにコメントをうかがったところ、「緊張して不安もあったけれど、嬉しい」「発表したことで、他の方々にも認知していただけたことが良かった」「他の発表も素晴らしく、自分たちの研究にもいかせる、身になる経験になった」「毎日の練習が報われた」「学んだことを次のステージに生かしていきたい」と、受賞した喜びや参加した中で得た気付きなどを語ってくれた。
【グランプリ】
東京都立晴海総合高等学校 チーム名(個人名):本嶋 向日葵
プラン名:途上国の貧困を日本の知恵で救え 冷蔵庫プロジェクトJAPAN
受賞のスピーチで、「自分の思いや、やっていきたいことを、この舞台で発表できたことが何よりもうれしい」と話した本嶋さん。さらに、「思いが強かったから続けてこられた。今後も思いを大事にし、もっと発信していきたい。いつか、ビジネスで社会を変えられる大人になって、この壇上でスピーチをしたい」と語った。
終了後に本嶋さんに話をうかがったところ、「幼い時からフィリピンで貧困を身近で見てきたこともあり、サリサリストアを参考に、自分も試しに始めてみようと思ったのがきっかけ。最初の運営資金はお年玉を使ったけれど、これまでで一番よい使い方をしたと思う」と話してくれた。また、「他のファイナリストたちはプレゼンで日本の課題を明確に示してくれ、すごく学びが多かった」と、大会の感想を伝えた。
表彰式の最後に、審査員長を務める髙橋徳行氏から講評が行われた。
髙橋氏は「記念すべき第10回大会にふさわしいプレゼン」だったと評し、「内容も素晴らしく、年々レベルが上がって、審査員泣かせの大会になった」ことを語った。グランプリについては、「ボトムオブピラミッド(BOP)のビジネスを日本からフィリピンに働きかけ、すでに留学を見据えた次のステップも考えて行動にうつしている点などで、審査員全員一致して、グランプリに選出した」という。
さらに、健闘した他9組のファイナリストへもコメントを一つひとつ伝え、「10校はほとんど差がなく、次回に向けた力強い第一歩になった。今回のプレゼンにあたっては、さまざまな企業のサポートもあったと思うが、協力関係を構築していくことも、プランを策定していくうえで非常に重要。ぜひ、これからの学生生活に生かしてほしい」と話した。
グランプリで得た刺激と交流が、次のチャレンジへとつながる
第10回「高校生ビジネスプラン・グランプリ」実行委員長で、審査員も務めた日本政策金融公庫常務取締役の渡邉正博氏は、「自分の発想やアイデアを実現するために、考えるのみでなく実際に行動に移し、一歩先に進めているプランが多かった。みんな目を輝かせていて、どのプレゼンも素晴らしく、本当に僅差だった」と話した。
すべてのプログラムが終了した後、ファイナリストたちは壇上で記念写真を撮ったり、審査員や特別講演を行った小川氏に意見や感想を聞いたり、他のチームとお互いの感想を語り合い交流を深めたりするなど、思い思いに大会の余韻を楽しんでいた。
自分の精一杯を出し切った開放感とともに、他チームのプレゼンを聞いて新たな気付きもあったようだ。惜しくもグランプリを逃したファイナリストたちからは、「すごく悔しい。でも、勉強にもなったし、刺激にもなった」「この経験も生かして、いつか絶対に起業したい」という声もあり、早くも次の挑戦へ向けて闘志を燃やしていた。