アプリの「感想戦」で知見やノウハウを共有する星野リゾート
4社の紹介が終わった後は、星野リゾートと日清食品HDがkintoneにまつわる取り組みを説明。まずは磯野氏が星野リゾートでの取り組みを説明した。
今回、星野リゾートで参加しているのは、情報システムグループの「ユーザーサポート」のチームで、社内システムの問い合わせ、ガバナンスの整理、ノーコードを用いた業務改善を実施している。「社内全体から業務改善の相談依頼を受けるようにしています。ノーコードを活用して、悩みを抱えている方といっしょに業務改善に取り組んでいます」(磯野氏)。
目的はkintoneの操作を覚えることではなく、ITを使った業務改善を情シスと現場でいっしょに推進すること。「こんなことできたらいいな」という夢物語から、全国旅行支援のような急ぎ案件まで施設で働くスタッフの声をリスト化し、Google Meetなどで直接やりとりしながら、ツールを選定して、アプリ化していくという。もちろん、星野リゾートの価値観にあわなかったり、コストや技術面で現実的でない場合もあるので、情報システムグループで精査する。
チーム内で行なっているのは、2週間に1回開催されるノーコード開発の「感想戦」だ。知見やノウハウの共有を主な目的としており、アプリの概要や案件を進める上で困ったことや工夫したことなどを共有している。「感想戦」はもちろん将棋から来ており、「結果にかかわらず実施する」というところは両者とも同じ。
また、kintone SIGNPOSTの読み合わせもやっている。もちろん単に読み合わせるだけではなく、「こういう理解でいいのか?」「過去の案件でこんなことあったけど、あてはまるのか?」「星野リゾートの言葉に置き換えられる?」などを確認し、ホワイトボードツールの「Miro」で共有している。「よりよい業務改善を施設のスタッフが自分たちで考えて進められるようにするにはどうすればいいかを日々話し合っています」と磯野氏は語る。
チームのユーザーが迷わないポータルをkintoneで
続いて登壇した星野リゾート ユーザーサポートチームの後藤香織氏は、ポータルを作った経緯について説明する。後藤氏は、いわば社内ヘルプデスクの担当で、異動や組織変更の処理、パスワード忘れ対応、PCキッティング、ワークフローの権限付与など幅広く業務を手がけている。
後藤氏らユーザーサポートチームで困っていたのは、毎日利用するシステムの数が多かったこと。Googleドライブのブックマークも多く、kintoneのアプリだけでも1日数十を使うことがある。「見る場所が多すぎて、毎日探している状態でした」(後藤氏)とのこと。このままでは人員が増えても、探すのが大変という状態になってしまう。そこで後藤氏が考えたのがユーザーサポートチームの社内ポータルだ。
ポータルにアクセスすれば、毎朝実施するスプレッドシートでの健康チェック、今日のタスクを通知する朝メール、そしてkintoneアプリの「今日の気分」に即座にアクセスできるようになっている。こだわったのは色鮮やかなデザインと見やすいアイコンだという。「みんなが使うモノ、使用頻度が高いモノは、ポータルという1つの画面で完結できるモノが便利だと思います。新規のメンバーが入ったときも、いろいろ探す時間が減るので業務効率を上げられます」と後藤氏はアピールした。