日本眼科学会と国立情報学研究所(NII)の共同研究チームは1月10日、ディープラーニング(深層学習)をもちいて眼底画像から個人の年齢を推定する人工知能(AI)システムを開発、無償公開を開始した。
年齢や性別だけではなく、喫煙状況や血糖値までわかる
近年、医療画像を用いたAIの開発が急速に進んでおり、眼内の光を感じる部分である網膜を撮影した眼底写真からは、年令や性別、喫煙状況、血糖の状態などをAIで推定できることが明らかになっている。
しかし、これまで報告された研究では、実験に使用されたAIモデルが公開されてこなかったため他の研究に利用することができなかった。今回のプロジェクトでは開発したAIモデルを広く研究者が利用できるよう無償公開することになった。
正解との誤差平均は2.39歳
実験は日本医療研究開発機構(AMED)の支援により構築された学会主導データベース「Japan Ocular Imaging Registry: JOIR」で収集された、1万2734人(右眼7375枚、左眼5359枚)の眼底画像データを匿名化してNIIのクラウド基盤へ送ることによってクラウド上で行なわれた。
その結果、眼底画像から推定した年齢と正解の誤差の平均は2.39歳となり、ある程度の相関があると評価されたためAIモデルの無償提供が決定された。
この結果に医学的価値があるかは現時点では不明だが、研究を進めることで病気のなりやすさに関係する新らしいバイオマーカーが発見される可能性が期待されている。