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業務を変えるkintoneユーザー事例 第167回

kintone hiveの地区代表が登壇するkintone AWARD 2022も中盤

嫌いだったkintoneでガッツリ時短したアイホン 抱腹絶倒のミヨシテック劇場再び

2023年01月18日 09時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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プラグインをケチらず、情報の集約から手を付けてkintoneにつなぐ

 4番目は関西地区代表のミヨシテックから、藤原かほり氏と永谷顕氏がコンビで登壇した。テーマは「kintoneで繋がるみんなの心と、全てのシステム ブルドーザー社長がぶっ壊したもの」。二人の軽快な掛け合いで、寸劇のように楽しくプレゼンした。

 ミヨシテックは昭和47年に創業し、大阪に本社を置くガス・水道・電気などの設備工事会社だ。現在の従業員数は約111名で、経営計画書を経営の道具とし、健康経営にも取り組みつつ、応接室に手書きのグラフを張り出すようなデジタルとアナログのいいとこ取りをしているという。

「僕が入社した頃は10時、11時、12時(まで働くのが)当たり前。うちの会社は不夜城って言われてるぐらいの超ブラックな会社やったよ」と永谷氏。そんな永谷氏が2008年に代表に就任し、IT化を進めることとなった。

ミヨシテック 藤原かほり氏と永谷顕氏

 2019年6月、サーバーの更新により、顧客管理システムが使えなくなったので、基幹システムを入れ替えようとしたものの、失敗。便利なツールは色々あるものの、使いこなせず、みんなが疲弊してしまったという。そんな時、藤原氏はkintoneに出会うこととなった。

 早速、「お客様台帳」を中心に「問い合わせ管理」「工事情報」「機器情報」「従業員情報」など9個のアプリを作り、顧客管理システムを構築した。ミッションクリア、と喜んだのもつかの間、ユーザーがカンカンに怒ってクレームの嵐となった。

「アプリができたら終わりだと思ってたのに、もういやだ。頑張って作ったのにマニュアルがないとか、あんたの説明じゃわからへんとか、使いづらいとか、 どうせ消えてなくなるアプリなので今使わなくてもいいとか、みんな文句ばっかり」(藤原氏)

kintoneで顧客管理システムを作ったもののクレームの嵐となった

 藤原氏は永谷氏から、うまくkintoneを活用している事例を真似すればいいとアドバイス。早速、情報収集をしたり、セミナーに参加したりする中で、大きな気付きを得たそう。

「1つ目は業務の洗い出しと現状把握。業務を一覧にして、利用ツールでまとめると、現状の問題点がよくわかります。これを全社全部署で行ないました」(藤原氏)

 2つ目の気付きは情報を1つにまとめることだった。IT化を進めるというと、すぐに効率化を求める人が多いが、まず大切なのは情報の収集と集約、分類、管理で、成果が出て、その後にやっと効率化が生まれてくる。そのため、まず情報の収集、集約をしなければならないという。

成果を出すためのIT化のステップ

 情報集約のためには、馴染み、連携、習慣化が重要だった。まず改善したのが電話受付業務。従来は電話を受けたら、紙にメモして、社内で使っているビジネスチャット「Chatwork」に入力していたが、入力ミスや入力忘れが発生していた。

 そこで、「カイクラ」(シンカ)を導入し、通話時に会社名や連絡先が自動で伝言メモに入るようにした。その情報はChatworkに飛び、すぐに確認できるようになった。そのおかげで、電話がかかってこないという顧客からのクレームが大幅に減った。

 永谷氏の号令の下、さらなるkintoneの活用のために、様々なプラグインやAPI連携サービスを導入していく。しかし、その際、JavaScriptでのカスタマイズはNGにした。JavaScriptでカスタマイズすると、属人化が起きてしまうためだ。

電話受付業務も紙からkintoneへ移行した

 次に作ったのは「お問合せ登録」アプリ。従来はkintoneに手入力していたが、メールからの問い合わせは「メールワイズ」(サイボウズ)を使い、ウェブからの問い合わせは「フォームブリッジ」(トヨクモ)を使ってkintoneに自動登録するようにした。

「お問合せ登録に受注の進捗も入れるようにお願いしたのですが、kintoneを1レコードずつ開けたり締めたり、だるいわーと言われたので、「krewSheet」を使って登録できるようにしました。kintoneに情報が集まったので、見積もりもkintoneでできるようになりました。営業の大幅効率アップです」(藤原氏)

 次は、人材の育成にチャレンジした。社内から8名がITイノベーションアカデミーに参加し、kintoneの考え方を共有できるようになった。

「ケチるな、集める、育てる! あらゆる壁をぶっ飛ばしてスピードアップだ!」と永谷氏。さらに、kintoneの活用を推進し、プラグインだけでは繋がらないところまですべて繋げることに決めたのだ。

 RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールの「Robo-Pat」を導入し、様々なツールとkintoneを繋いだことで、見積から受注、仕入、売上、請求、入金などすべての実績情報が集約できるようになった。

プラグインをケチらず導入しまくり、データを集め、人を育てることが重要

 最終的に、なんと400種類ものアプリを開発した。驚くべきアプリ数だが、スペースを活用し、アイコンを見やすく並べて、混乱させないような工夫をしているという。

「アプリを作成する人も大事だけど、もっと考え方を共有する人を増やしたいと思っています。kintoneを活用して、7月にDX認定が取れました。kintoneの成功事例を、大阪から発信~!」(藤原氏)

 これにてミヨシテック劇場、おしまい、おしまい。

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