業務を変えるkintoneユーザー事例 第315回
「銭形さんってなんの会社?」
kintoneイベントで総務部長が覚醒! 京都の銭形は業務時間の削減だけじゃなく、売上も笑顔もUPした
2026年06月30日 09時00分更新
「もうアプリのアイデアは頭の中にあります。任せてください!」。社長の丸投げに答えてkintoneアプリを作ってきた総務部長は、kintoneイベントに参加して覚醒。アプリが全社で使われるきっかけを作る。
kintone hive 2026 osakaのラスト登壇は、京都府の介護事業者である銭形。二人三脚で業務効率化を進めてきた社長と総務部長がkintone現場浸透への道を披露。運用の末、見えたのは業務時間の削減だけではなかった。
「銭形さんってなんの会社?」
「銭形さんってなんの会社?」。初めて出会った人に必ず聞かれる質問がこれだという。想像に難くないが、もちろん時代劇で有名な銭形平次に由来する。30年以上前の創業時に「義理と人情のある、人の助けられる会社になろう」ということで付けられた社名だ。
そんな銭形グループは、銭形企画と銭形という2つの会社から構成されており、京都市下京区を拠点に在宅介護事業を展開している。訪問介護を中心に、訪問看護、デイサービス、ケアマネジメント、放課後等デイサービスなど在宅介護8事業を抱えており、社員は150名になるという。
そんな銭形の代表取締役である上野眞司さんはヘルパー歴9年、社長歴7年で、便利なツールを探してくるのが得意。もう1人の登壇者の佐々木和貴さんは総務部長とホームへルパーを兼務。上野社長が業務効率化の構想とツール導入を担当し、佐々木さんが現場で使えるように広めるという役割だ。
4000件のシフトをA3用紙24枚の模造紙で管理 Excel移行に3年
ことの始まりは、上野さんが訪問介護事業所の所長だった10年前にさかのぼる。「ヘルパーさんが来ていない」という問い合わせを調べたところ、シフトを変更した時にとなりにあった予定を消してしまった出来事を佐々木さんが寸劇風に披露。そう、シフトはすべて紙への手書きで行なっていたのだ。
「4000件のシフトを手書きするのは、もう限界です!みんな疲れ果ててます!」と佐々木さんの叫び。「この地獄、もう終わりにしよう」という上野さんの決断。「みんな、笑顔で働きたい!」という2人の強い願いから、セッションのイントロが終了。銭形による「目的は効率より、みんなの笑顔。A3用紙24枚から始まった介護DX物語」の本編がいよいよスタートする。
介護業界は今でも電話、FAX、紙が当たり前。書類の多さに加え、人手不足、低賃金の三重苦にあえいできたという。先ほど話していた10年前、銭形はA3用紙24枚をつなぎあわせた巨大な紙でシフト表を作っていた。シフト表に手書きされていたのは、1ヶ月分のシフト4000件。「こんなことやってられない!」ということで、紙からまずはExcelにシフトしたという(シフト表なだけに)。
しかし、一部の社員が「やり方を変えたくない」と猛反発。Excelに移行するだけで、なんと3年も費やしてしまったという。その後は、クラウド型の介護ソフトを導入し、シフト管理は容易になったが、職員数が100名を超えたあたりからいろいろな課題が噴出してきたという。
上野さんが1年間に渡ってシステムを探し続け、見つけたのがサイボウズのkintoneだ。メインバンクの京都信用金庫から紹介された京信システムサービスから「kintoneなら課題をすべて解決できますよ」と提案され、導入を即決したという。
Excelと書類管理の限界をkintoneで超える
1つ目の課題はせっかく移行したExcelの管理の限界だ。まずは事業によって請求・入金管理のためのフォーマットがバラバラ。また、650名分の請求データを複数人で手入力していたため、データの破損や入力ミスが多発していた。さらには属人化の懸念もあったという。
この課題を解決すべくパートナーとkintoneの構築したのが、「利用者請求統合管理システム」になる。これは8事業で使っていたカイポケ、ほのぼのなど他システムの請求CSVデータをマージし、kintoneに取り込んで一元管理するもの。国保連合会やユーザーからの入金データも取り込み、アプリで請求入金履歴や入金調整も確認できるという。
各システムから直接CSVファイルを取り込むことで、データ入力もゼロ。正確なデータ入力も実現し、入金・未入金も色分けですぐ確認できるようになった。今まで100時間かかっていた入力時間はなんと5時間になった。「ここで社員の笑顔が少し増えました」と上野さんは振り返る。ポイントはアプリの開発会議に総務部長の佐々木さんが参加すること。「会議に参加するごとに、kintoneの使い方を習得していったのです」と上野さん。
2つ目の課題は、書類管理の崩壊だ。もともと銭形では、利用者400名分の4帳票を紙で管理していた。これらは10名の担当者が作成し、それらを2名の管理者が確認していた。1600枚の帳票のチェックは100時間かかり、しかも期日厳守だ。
この負荷を軽減するために作られたのが、利用者書類管理システムになる。フェイスシート、アセスメント、計画書、モニタリングという4帳票をアプリ化し、それらを利用者書類管理アプリから見るというシステムだ。書類を作成すると自動的に期日が反映され、期限が近づくとお知らせされる。
もちろん、担当ごとで絞り込むことも可能。4事業のフォーマットも統一され、必要に応じてExcelで出力できるという。そして、今まで100時間かかっていたチェック作業が、たったの1時間で済むようになった。圧倒的な業務改善効果だ。
今回はアプリ開発会議に佐々木さんとともに現場のスタッフが参加し、現場の意見を反映した。「その結果、現場の意見が反映される喜びと、便利さを体感したことで、主任以上の職員がkintoneを日常的に使うようになりました」と上野さんは振り返る。
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