【前編】『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2放送直前! プロデューサー岡本拓也氏インタビュー
今描くべきガンダムとして「呪い」をテーマに据えた理由――『水星の魔女』岡本拓也P
2023年04月09日 15時00分更新
学園ものは監督のアイデア
―― 一旦立ち止まったあと、そこから今私たちが観ている『水星の魔女』ができるまでに、どのような軌道修正があったのでしょうか?
岡本 そのタイミングで出てきたアイデアが学園ものでした。小林さんから「学園を舞台にするのはどうですか?」と。
そのあとのシナリオ会議では、「学園ものに入るとうれしい要素ってなんだろう?」「少女マンガ的な要素を入れてみたらどうだろう?」などとスタッフからさまざまアイデアが出てきました。
―― 第1話でスレッタがミオリネのためにグエルとモビルスーツで決闘するシーンも、傍目には「1人の女の子を取り合う」という、まるで少女マンガや乙女ゲームのようなシチュエーションにも見えました。
岡本 今回の『水星の魔女』チームには、作品の方向性を決めるような中核の場に若いスタッフや女性スタッフがいるので、「こういうシチュエーションは、自分たちが若いときは楽しかったりうれしかったりしたけれど、今の人たちにとってはどうかな?」「このセリフのうれしさは、世代を超えて共通しているのかな?」「こういうシチュエーションやセリフって、女性から見てどうですか?」などと意見を聞いたりもしていますね。
―― じつは私の周りには「『水星の魔女』で初めてガンダムを観た」という若い人や女性が多いんです。支持された理由には、「少女マンガ風にする」だけではなくて、1つ1つの要素を「今の時代に合っているか?」まで細かく検討したところにもありそうです。
岡本 そうだったらよいなと思います。しかし、今作の『水星の魔女』にとってのゴールは、どの世代の方にも楽しんでもらえるよう「幅広く」と考えています。若い世代への広がりは意識しつつも、核にあるのは「(送り手の)私たちが面白いと思っているもの」をしっかり届けることだと思っています。
“若い人に向ける”といってもなかなか難しいですよね。若い人とひとくくりにすることも難しいですし、特定の世代にターゲッティングしていくことで作品を狭めることにもつながってしまうとも思っていて、それならばどの世代にも届くものを目指そうという気持ちですね。
「魔女/呪い」というキーワードから物語は生まれた
―― では次に、『水星の魔女』のコンセプトと物語はどのようにできあがったのか教えてください。
岡本 先程もお話した通り、モリオン航空さんにいただいた企画案のタイトルが「水星の魔女」で、結果的に内容はその企画案とは異なる物語になりましたが、小林さんが「魔女」という単語からインスピレーションを得て出てきたのが「呪い」や「呪縛」といったキーワードでした。
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