納期の確認や調整に頭を悩ませていた現場が作った「超見える化」の軌跡
購買部門の担当以外は読まないで 味の素ファインテクノのkintoneとkrew活用すごい
2026年03月27日 09時00分更新
今回紹介する味の素ファインテクノのkintone事例は、購買部門の業務が対象なので、多くの読者を置いてけぼりにするはずだ。でも、納期の確認や調整に頭を抱えている購買担当者にとってみれば、「ここまでできるの?」と目から鱗なはず。味の素ファインテクノの購買担当者と、サイボウズの製造業スペシャリストが、ひたすら現場目線で購買部門の課題とkintone活用を掘り下げる。
納期回答の課題を解消したkintoneアプリに製造業のプロが驚く
味の素ファインテクノは、食品メーカーとして知られる味の素グループのファインケミカル事業の中心を担っている。おもに「味の素ビルドアップフィルム®」(ABF®)という絶縁材料を開発・製造を行なっており、パソコンやサーバーの高速化を担う高性能半導体(CPU)の絶縁材料として100%に近い高いシェアを誇る。フィルム形状のABF®は、それまではインク形式であった絶縁材料をフィルム化し、パッケージ基板の製造現場を大きく変革した素材と言える。
今回取材した味の素ファインテクノの大野隆之氏は購買部門に所属しており、このABF®を中心とする絶縁材料の製造や研究開発で必要な原料の調達、サプライヤーの管理を行なっている。「入社して20年経ちますが、製造から始まり、工場の立ち上げ、プロセス開発、生産管理などを経て、今の購買部門に行き着いています。だから製造ラインを一通り把握して、生産企画部 購買グループで購買業務を担当しているという立場です」と大野氏は語る。業務改善のためにkintoneをいち早く利用し、社内に広めた経緯は、kintone hive 東京でも披露されている(関連記事:シェア100%の重圧を跳ね除けろ 味の素ファインテクノの業務改善は、kintoneで加速した)。
もう1人のゲストであるサイボウズの南崎健太郎氏は、エンタープライズ企業向けの営業部隊の中で製造業企業に特化して活動している。前職が日本の大手製造業で、営業でありながらプロジェクトマネージャーとして工場でのトラブルシューティングを行なっていた経験を持つ。「工場のほぼ全部門と関わっていたので、製造業の現場の課題を知ることができました。その経験を元に現場QCD改善スペシャリストという肩書で製造業のお客さまのkintone導入を支援しています」(南崎氏)とのことだ。
今回の対談のきっかけは、kintone hiveの記事を見て、購買部門の課題を解決できるkintoneの使い方に南崎氏が感動したところから始まった。「これは大野さんの会社だけでなく、世のすべての購買部門で役立つ使い方だとSNSに投稿したら、大野さんからリプライをいただき、kintone環境を見せてもらいました」と南崎氏は振り返る。
実際に大野氏のkintoneの使い方を見せてもらった南崎氏は、さらに感動を深める。「使い込み方と完成度が半端なかったんです。同時に、この使い方を多くの購買部門に知ってもらいたいという使命感を感じ、メシウスさんに情報共有したところ、今回の取材の打診をいただいたのが経緯です」と語る。
大野氏も「kintone hiveは20分間でエッセンスをお伝えする感じだったので、正直活用方法がみなさんの参考になったのかわからなかった。でも、南崎さんの『すごいですね!』を聞いているうちに、もっと共有した方がよいのかもと思うようになったんです」とコメント。まずはkintone導入の背景にあった購買部門の課題からお話しいただこう。
指サックを付けて紙の発注簿を探していた日々
kintone導入前は、Excelと紙による情報管理が課題だった。味の素グループも長らく「オペレーショナルエクセレンス(OE)」という業務改善活動が浸透していたが、手持ちのツールの利活用が前提だったため、必要な情報を探したり、集計する作業が大きな課題だった。そんな中、使い勝手が悪かった既存のワークフロー製品の代替として、情報システム部から提案されたのが、kintoneだ。
今まで現場部門発のシステム開発は、やりたいことを開発会社にお願いし、完成イメージに合わせてフィードバックを行なっていた。しかし、業務を理解していない開発会社とのやりとりは難航することが多く、普通に3ヶ月から半年かかってしまう。「こちらとしては難しいお願いをしているわけではないのですが、どうしてもギャップが生まれていた。自分たちの業務改善活動のスピード感に合わなかったんです」と大野氏は振り返る。
こうしてOE活動を推進する4人からkintoneの試用を開始した。大野氏が実際に使ったところ、要諦を押さえれば、自らの手で業務課題を解消できるアプリを作れることがわかった。「触った瞬間、今までやってきた業務改善や情報管理の課題解決にkintoneは役立つはずと直感したんです」と大野氏は振り返る。
まず手を付けたのは、発注簿の管理だ。大野氏が購買部門に配属された当時、この発注簿は本当に紙だった。「2つの穴開けパンチに日付と商品などを書いた注文書を登録し、インデックスを作ってファイリングする。サプライヤーから希望と異なる納期になる旨の連絡が来たら、指サックを付けて、ひたすら発注簿を探し、納期を修正します。これを毎日のようにやるんです(笑)」と大野氏は振り返る。
実は作業はこれで終わりではなく、基幹システムに手入力で納期を登録し直さなければならない。サプライヤー、型番、納期、連絡先、担当者など、とにかく調べて、探しての連続が納期確認の業務。さらに手作業での基幹システムの登録も漏らすわけにはいかない。「本当は一連の動作をスムーズにやりたいのに、1つ1つが分断されているので、とにかく大変」と大野氏はコメントする。
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