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いよいよアニメツーリズム本領発揮に 「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」の2023年版発表

2022年12月18日 19時30分更新

文● MOVIEW 清水、編集●ASCII

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 アニメと地域をつなぎ、世界から選ばれるアニメ聖地を選出する「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」。その選出作品は毎年登場する新作や、地域の盛り上がりを反映するために更新されている。今年も新たな投票結果をもとに2023年版が選定され、発表会が開催された。

新たに認定されたアニメ聖地は
「リコリコ」の墨田区や「サマータイムレンダ」の和歌山など

 2023年版のアニメ聖地88は、今年6月1日から9月30日まで実施された世界中からのウェブ投票と、2022年版のアニメ聖地やアニメ関連スポットに設置した投票箱への投票をもとに選定されている。新たに認定されたアニメ聖地は下記の通りだ(すでに認定されていた作品に新たな地域が追加認定されたものも含む)。

「バクテン!!」(宮城県岩沼市)
「女子高生の無駄づかい」(東京都東村山市、埼玉県所沢市)
「リコリス・リコイル」(東京都墨田区)
「スローループ」(神奈川県横須賀市)
「ゆるキャン△」(山梨県山梨市、愛知県名古屋市)
「シキザクラ」(愛知県名古屋市、豊田市)
「であいもん」(京都府京都市)
「サマータイムレンダ」(和歌山県和歌山市)
「推しが武道館いってくれたら死ぬ」(岡山県岡山市)
「蒼の彼方のフォーリズム」(長崎県五島市)

 また施設・イベントとして、東京都豊島区の「アニメイト池袋本店」と大分県日田市の「進撃の巨人 in HITA ミュージアム」も追加された。

投票はウェブだけでなく、160ヵ所のアニメスポットに設置された投票箱でも実施された

海外からの投票数はアメリカがトップに

 アニメ聖地88 2023年版の選定のために実施された投票は過去最多の11万票越えとなった。これは2022年版選定時の投票数の281%で、国内からが約7割、海外からが約3割となっている。新型コロナウイルス感染症の流行前は海外が6~7割という比率であったが、昨年・今年と国内外の比率が反転した形だ。

 しかし海外票数自体はこれまで最多だった2019年版のときよりも多くなっており、アニメツーリズム協会 理事長の石川和子氏は日本のアニメへの関心の高さと、ウィズコロナ時代はアニメを通じた地域振興でその魅力を生み出していくことがいままでよりもっと重要になると語った。

投票数は過去最多の11万2438票

国内外の投票比率はコロナ禍以降海外と国内が逆転

 また、2023年版のトピックとしては、これまでは中国を始めとしたアジア圏からの投票が多かったのに対し、今年海外投票者数がもっとも多かった国がアメリカとなったことが挙げられる。アニメツーリズム協会 副理事長の井上伸一郎氏は、この3年の間に映像配信を通じた日本のアニメの海外への発信力が強まったことを要因として挙げ、アジア圏だけでなく世界中で日本のアニメが観られるようになったという実感があるとコメントした。

投票国はアメリカが初めてトップになったほか、ベスト10内にヨーロッパの国が入ってきている

新たに認定された地域の紹介や施策を披露

 発表会では2023年版で新たにアニメ聖地に認定された地域に対し、アニメツーリズム協会 会長の富野由悠季氏から認定証を授与した。登壇した地域代表らはそれぞれ地域の紹介や、アニメツーリズムにおける施策などを紹介した。

 「女子高生の無駄遣い」の東京都東村山市ではアニメに登場する東村山中央公園や商店街などをめぐるスタンプラリーを実施し、1ヵ月で3700枚の台紙を発行。すべてのスタンプを押した人には原作者であるビーノ氏オリジナルイラストのキーホルダーを配布した。

東村山市市長 渡部 尚氏が手にしているのがオリジナルキーホルダー

 「リコリス・リコイル」の東京都墨田区では市場バスでのツアーやスタンディの設置を行ない、「シキザクラ」の愛知県豊田市はヒロイン明神逢花を演じた声優・茉白実歩さんと登場キャラクターのイバラをWE LOVE とよたスペシャルサポーターに任命し、地域の魅力を発信する試みを行なっている。

作品を通じてWE LOVE とよたスペシャルサポーターに任命された声優・茉白実歩さんとイバラ

 「サマータイムレンダ」の和歌山県和歌山市や「バクテン!!」の宮城県岩沼市では登場キャラクターが登場する地域紹介映像を作成。また、「サマータイムレンダ」の主人公・網代慎平が作るのを得意とするカレーライスのレシピを作成し、市内の飲食店で提供する形で作品と実社会を紐付けた。

 また施設として認定された「進撃の巨人 in HITA ミュージアム」では大山ダムの壁を作品に登場する外壁に見立て、登場人物の銅像を設置。製作費用はクラウドファンディングで募り、約3000万円を集めたという。また巨人の実物大ARによって、作品内の世界をリアルに再現するという施策も実施中だ。

 アニメツーリズム協会 副理事長 井上伸一郎氏は、コロナ禍における3年間、観光に携わった方々が大変な苦労をしたことを労いながら、世界的に旅行する人が増えてきて、日本の土台も整ったことを示し、来年以降、いよいよアニメツーリズムが本領を発揮すると考えているとする。アニメツーリズム協会では地域の方々の力になれるよう努力していくと語り、発表会は終了した。

いよいよアニメツーリズムの本領発揮と話す井上氏

 なお「訪れてみたい日本のアニメ聖地88 2023年版」の全作品一覧はアニメツーリズム協会公式サイト内で見ることができる(https://animetourism88.com/application/files/9616/7115/9911/anime-spot88_2023.pdf)。


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