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内蔵ストレージ?microSDカード?外付けSSD?

Steam Deckでのロード時間をストレージごとに比較!microSDでも行けそうだ

文●飯島範久 編集●ASCII

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専用のドックを利用すれば、電源供給しながらポータブルSSDを接続できる

Steam Deck専用のドッキングステーション

 Steam Deckには、専用のドッキングステーション(ドック)が別売りで用意されている。これを利用すると、USBのポートが3つになり、キーボードやマウス、ストレージが同時に接続できる。また、有線LAN接続やディスプレーへ接続もできるので、ちょっとしたゲーミング環境が構築できる。

Steam Deckをドックにセットした状態

 今回、このドックを用いてT7 Shieldを接続し、利用できるかも検証してみた。結果から言うと、直接Steam Deckに接続するのと同様、自動的には認識されないが、Steam OSのデスクトップから同様の操作をすることで、認識できるようになった。

内蔵SSD以外からの起動でロード時間はどうなる?

 やはり、ストレージの拡張で気になるのは動作速度への影響だろう。今回検証に使っているSteam DeckはPCIe 3.0のM.2 SSD 512GB。microSDカードやUSB接続のSSDと比べて圧倒的に読み書き速度は速いはずだ。

 ただ、これまでもSwitchでも速度はほぼ変わらずPlayStation 4(PS4)やPlayStation 5(PS5)でもUSB接続のSSDから起動しても、ゲームのロード時間に影響はほとんどなかった。そのためSteam Deckでもあまり影響しないのではと期待しながら、検証してみた。

 検証に使ったタイトルは、Steam Deckで動作保証されているフロム・ソフトウェアの「エルデンリング」、PlayStation PC LLCの「ゴッド・オブ・ウォー」と「Horizon Zero Dawn」の3本だ。ちなみに「ApexLegends」は、チート対策が働いて動かず、「Assassin's Creed Valhalla」はSteam Deck非対応だった。

 検証にあたっては、ゲームを起動してタイトル画面が表示される「起動時間」までと、ゲームをロードしてプレイできるまでの「ゲームロード時間」の2つの速度を計測。いずれもストップウォッチによる手動計測で結果は3回測った平均値としている。

 なお、計測は何度かプレイしたあととしキャッシュが働いている状態で、ロード中にサーバーとの接続がある場合は、通信やサーバーの負荷によって、速度が左右される可能性がある。

 対象は内蔵SSDとmicroSD EVO Plus 512GBとT7 Shield 1TBの3つで、T7 Shieldは本体直接続とドックを利用した接続の2通り計測した。実はドックのUSBポートは3.1 Gen1で、Steam Deckは3.2 Gen2と仕様が異なるためだ。T7 ShieldはNVMe SSDを内蔵したUSB 3.2 Gen2仕様で、シーケンシャルリードで最大1050MB/秒を誇るため、ドック経由の場合はフルで性能を発揮できないので、その違いも見てみよう。

本体のUSBへ接続のほうが、性能をフル発揮できるはず

ドックにあるUSB-A端子は3.1 Gen1のため、性能をフル発揮できず

 まずは「エルデンリング」。結果は、どのストレージでプレイしてもほぼ変わらない性能を発揮した。microSD EVO Plusと直接続のT7 Shieldでは若干速いが、誤差の範囲内だろう。これなら、内蔵SSDにこだわらなくても問題ない。

「エルデンリング」の結果

 続いて「ゴッド・オブ・ウォー」。結果はご覧の通り、多少のばらつきが出ている。microSD EVO Plusではほぼ影響ないが、T7 Shieldの場合、若干遅くなる傾向にある。特にドック接続だと内蔵SSDに比べて20%近い差が出ている。頻繁にリスタートする場合は、PCとの流用でない限り内蔵SSDかmicroSD EVO Plusにしたいところだ。

「ゴッド・オブ・ウォー」の結果

 最後に「Horizon Zero Dawn」だが、いずれも影響が出る結果となった。起動時間こそわずかな差でしかないが、ゲームロード時間は大きな差が生まれている。特にドック接続のT7 Shieldだと4倍以上の差が出てしまった。USBの仕様の違いが大きく影響を受けたのだろうが、それにしても差が大きい。オープンワールドゲームなため、読み込むフアイルサイズが小さく量が多いのかもしれない。microSD EVO Plusはなんとか11秒差だったので我慢できるレベルだが、外付けストレージでのプレイは躊躇するレベルと言える。

「Horizon Zero Dawn」の結果

 ちなみに、プレイ中にセーブポイントへリロードした場合は、ここまでの時間が掛かるわけではなく、半分以下で終わる。とはいえ、この手のオープンワールドゲームでデータのロード量が多いゲームは、内蔵SSDでプレイしたほうが得策のようだ。

Steam Deckのストレージ拡張はmicroSDカードが最適

 さまざまなゲームで試したわけではないので一概には言えないが、今回の検証結果から見ると、SwitchやPS4、PS5のように、内蔵以外のストレージでもロード時間に差がないというわけではなく、ゲームコンテンツによって差異が発生することがわかった。

Steam Deckの価格表
ラインナップ 64GB eMMCモデル 256GB NVMe SSDモデル 512GB NVMe SSDモデル
Steam Deck本体 5万9800円 7万9800円 9万9800円
ドッキングステーション 1万4800円

 Steam Deckの価格は表の通り。ストレージを拡張したいならコスパが良いmicroSDカードを利用するのがベストで、USB接続による外付けSSDは持ち運んでPCなどでもプレイしたいという用途に留めておくのがいいかもしれない。

 とはいえ、外付けSSDのほうが容量が大きいモデルがあるため使わないというのももったいない。ゲームによっては内蔵SSDと遜色ない速度を発揮するので、そういったゲームを逃がすという使い方でもいいだろう。

 microSDは高速アクセスで信頼性も高い512GBでも実売8000円前後で購入できるEVO Plusをオススメしたい。

 モバイルSSDとしてT7 Shieldは、性能をフルに発揮するUSB3.2 Gen2仕様の環境で活用したいところ。1TBモデルで実売価格1万5000円前後なので、大容量モデルを購入してゲームを逃がすにはうってつけ。Steam Deckを購入する際は、最初から容量拡張も考えて同時に購入しよう。

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