ターゲットの拡張プランを想定し
PCIeバージョンやレイアウトにも違いが出てくる
また、マザーボードを選ぶうえでは拡張性も重要だ。拡張性というのは、まず想像しやすいのがPCIe拡張スロットとM.2スロットの規格や本数ということになるだろう。
現在のPCでは、拡張スロット、M.2スロットともPCIe接続が用いられている。最新AMDプラットフォームでは、第5世代のPCIe 5.0に対応を果たした。
ただし、最新のPCIe 5.0に対応させるコストは高い。モデルによっては1世代前のPCIe 4.0対応にとどめてコストを抑えたものもある。マザーボード製品サイトのスペック欄から、「Expansion Slots」、「Storage」といった項目をチェックしたい。今回の3製品については以下のとおりだ。
製品名 | 拡張スロット(x16) | M.2スロット |
---|---|---|
ROG STRIX B650E-F GAMING WIFI | PCIe 5.0 | PCIe 5.0、4.0×2 |
TUF GAMING B650-PLUS WIFI | PCIe 4.0 | PCIe 5.0、4.0×2 |
PRIME B650-PLUS-CSM | PCIe 4.0 | PCIe 5.0、4.0 |
ビデオカードに関しては、AMDの最新GPUであるRadeon 7000シリーズもNVIDIAのRTX 40シリーズも、まだPCIe 4.0対応のため、拡張スロットのアップデートを急ぐ必要はない。ただ、マザーボードなどの構成を大きく変えずにビデオカードのみを新しくしていきたいといった人は、次世代に備えてPCIe 5.0を選んでおく意味はある。
一方、M.2 SSDはPCIe 5.0対応製品が発表済みだ。M.2側の5.0対応を充実させているのはこのためだろう。今回の3製品はいずれもPCIe 5.0対応M.2スロットを1基備えているが、AMD B650マザーボード全体を見渡せば4.0対応にとどまるものもある。スペックは必ず確認しておきたい。
なお、M.2スロットの本数もマザーボードによって異なる。スロットが多いほど拡張性が高いと思われがちだが、実はCPUとチップセットの組み合わせによって、利用できるPCIeレーン数は限られており、一定数を超えたものは帯域をシェアすることになる。
この場合、M.2スロットを利用するとPCIe拡張スロットが利用できないといった排他利用の関係になる。ユーザーがM.2と拡張カードのどちらを優先するか選べるわけだが、排他利用であることを失念してしまうと、思い描く拡張プランが崩壊することにもなる。ここはよく注意したい。
また、ハイエンドビデオカードを搭載する予定の人は、そのビデオカードの厚みによって物理的に蓋をされてしまう部分のスロット本数(多くはx1スロットなど)も把握しておきたい。M.2スロットも、ビデオカードに隠れる部分のスロットは、SSDを交換する際にビデオカードを取り外す必要がある。
PCIeのほか、拡張性で注目されるのはUSBだろう。昨今、拡張スロットや拡張カードのニーズは減少傾向にあるが、そこをUSBで補う傾向にある。サウンド(DAC)やキャプチャーボードなどが代表格だ。
特に、USB接続の外付けSSDやUSBキャプチャーを利用する場合、高速なUSB規格をサポートしているかが鍵になる。3つのマザーボードそれぞれの最速USBをリア、フロントに分けて表にしてみた。
製品名 | リア | フロント |
---|---|---|
ROG STRIX B650E-F GAMING WIFI | USB 3.2 Gen 2x2 Type-C | USB 3.2 Gen 2 Type-C |
TUF GAMING B650-PLUS WIFI | USB 3.2 Gen 2x2 Type-C | USB 3.2 Gen 1 Type-C |
PRIME B650-PLUS-CSM | USB 3.2 Gen 2 Type-C | USB 3.2 Gen 1 Type-C |
また、ニーズ自体は減少傾向にあるが、大量のHDDを内蔵したい人や、2.5インチSSDをHDDの代わりとしたい人などはSerial ATA 3.0のポート数もチェックしたい。AMD B650チップセットがサポートするのは4ポートだ。
今回の3モデルはすべて4ポート備える。中にはチップセットがサポートする以上のSerial ATAポート数を実装しているものもあるが、そうした製品は追加チップを搭載することで実現している。拡張カードの追加なしに利用できるならそれはメリットとなるが、マザーボード上の拡張スロットやM.2スロットとシェア(排他)利用となる場合もある。