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産総研と筑波大、コーヒー由来成分で有機半導体の性能を向上

2022年12月14日 06時42分更新

文● MIT Technology Review Japan

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産業技術総合研究所(産総研)と筑波大学の研究グループは、コーヒーから得られる成分である「カフェ酸」の薄膜層を電極表面に形成することで、有機半導体に流れる電流量が最大で100倍程度まで増大することを発見した。

産業技術総合研究所(産総研)と筑波大学の研究グループは、コーヒーから得られる成分である「カフェ酸」の薄膜層を電極表面に形成することで、有機半導体に流れる電流量が最大で100倍程度まで増大することを発見した。 有機半導体デバイスは、電極層の上に有機半導体層を重ねた構造になっている。電極層から有機半導体層に流れる電流を大きくするには、有機半導体への電荷の注入効率(仕事関数)を高める必要がある。大きな永久双極子モーメントを持つ分子で電極表面を修飾すると、仕事関数が変化する。研究グループは大きな永久双極子モーメントを持つ分子として、植物由来の「フェニルプロパノイド」と呼ぶ物質に注目した。 カフェ酸は、フェニルプロパノイドの一種。研究グループは真空蒸着法で金の電極にカフェ酸の薄膜層を形成し、その上に有機半導体層を形成した。ケルビンプローブ法で仕事関数を測定したところ、カフェ酸の薄膜層がない場合に比べて仕事関数が0.5eVほど増加していた。 研究グループは、クロロベンゼンに溶かした有機半導体をカフェ酸層で被覆したITO基盤にスピンコートし、アルミニウムの上部電極を配置した有機半導体デバイスを作成。カフェ酸層を挿入することで、有機半導体に流れる電流は、カフェ酸層がない場合に比べて最大で100倍に達し、有機半導体デバイスの性能を大きく高められることが分かった。 研究成果は12月2日、アドバンスト・マテリアルズ・インターフェイシズ(Advanced Materials Interfaces)誌に掲載された。

(笹田)

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