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本記事はソラコムが提供する「SORACOM公式ブログ」に掲載された「SORACOM Discovery 2022 アーカイブ公開とお寄せいただいたご質問への回答」を再編集したものです。
目次
ライブセッション1:『IoTシステムのトータルコストを削減する SORACOMサービス』のQAライブセッション2:『今ある機器をIoT化!遠隔監視の導入から継続的な運用手法』のQA
ライブセッション3:『スマート農業の現場における、通信インフラ活用と多回線管理の手法』のQA
ライブセッション4:『遠隔設備の保守を迅速、安心、現実的に ― LTE通信を用いたリモートアクセス』のQA
おわりに
こんにちは。ソリューションアーキテクトの takuya です。
7/6・7/7 の 2 日間で開催された、IoT カンファレンス「SORACOM Discovery 2022」は、50 名以上のゲストと共にIoTの今と未来を “見つける = Discovery” イベントとしてオンラインでお送りいたしました。
セッションの動画や資料はタイムテーブルから参照できます。「あのセッション見逃した」「仕事の都合で見れなかった」という方はぜひご覧ください。
SORACOM Discovery 2022では、40 を超えるセッションをお届けしました。そのうち「ライブセッション」では QA タイムを設け、直接お答えさせていただきました。
ここではいただいたご質問について、お答えできなかった分も含めて回答をご紹介していきます。
ライブセッション1:『IoTシステムのトータルコストを削減する SORACOMサービス』のQA
Q: “Unified Endpoint” という機能のサービスの利用料はいくらでしょうか?
A: Unified Endpoint のご利用自体は無料でご利用頂けます。ただし、連携先のSORACOM Beam、 Funk、 Funnel、 Harvest といったサービスに関して有料となる場合があります。詳細は各サービスの料金ページをご覧ください。
Q: セッション中で紹介いただいた事例で、プロトタイプ開発と本番でデバイスが異なるケースはどの程度ありますか?
A: 基本的に技術検証のためには既存製品で実施いただくケースが多いです。デバイスの数量が多くなるタイミングで、新たなハードウェア/ソフトウェア構成を検討することがあります。一方、事例もご紹介させていただきましたが、既存製品をそのまま本番利用されるケースも増えています。これはデバイス/通信/クラウドそれぞれの進化による変化と捉えています。
Q: (SORACOM IoT SIM の) 回線のステータスによっては基本料が無料にできるのは魅力的です。一方で、ステータス変更時に費用が発生するケースもあるとのことでしたが、利用しない期間が何ヶ月だと費用面で有利・不利といった目安があれば教えてもらえると助かります。
A: plan01s の場合は 1 ヶ月です。プランによって月額基本料金とアクティベーション料金が異なるため、プランの料金をご確認ください。例えば、現在 plan01s の場合基本料金は 0.06 USD / 日かかりますが、「利用開始待ち/利用中断中」から「使用中/休止中」状態への変更 1 回につき、アクティベーション料金(1.8 USD) が発生します。そのため、「利用開始待ち/利用中断中」期間が 1 ヶ月(30日)を超える場合には STANBY/SUSPEND ステータスをご利用いただくことでコストを最適化できます。
Q: IMEI ロック機能の利用に際して、ロックしたい IMEI と IMSI のペアを事前に把握しておく必要がありますでしょうか?
A: IMEIロック機能のご利用にあたって、番号のペアを事前把握することは必須ではありません。最初の通信の IMEI と IMSI のペアで自動的にロックするイベントハンドラーという機能があります。詳細はイベントハンドラーの公式ドキュメントをご覧ください。なお、イベントハンドラーによる IMEI ロックは Limited Preview として提供しており、利用にあたり申請が必要となります。
Q: コンサルテーションなどはどの程度費用がかかりますか?
A: 基本的には都度ご相談となります。Professional Service として、ワークショップ型プロジェクト支援サービスを提供させて頂いております。詳細は、Professional Service のページをご覧ください。また、SORACOM Booster Pack という 2 日〜 4 日間の集中的なワークショップも提供を開始しました。ワークショップ終了後には、ソラコムがレビューしたアーキテクチャ設計や、お客さまに必要な次のアクションなど、ソラコムからの提案をまとめたレポートをご提供します。
Q: ドコモ回線の eSIM が出る予定はありませんか?
A: 現時点では予定しておりません。plan01s ですと日本国内において、3 キャリア対応(KDDI、ドコモ、ソフトバンク)で eSIM にも対応しております。
ライブセッション2:『今ある機器をIoT化!遠隔監視の導入から継続的な運用手法』のQA
Q: SORACOM Harvest や SORACOM Lagoon で可視化をされているとありましたが、普段はどういった目的でデータを閲覧されているのでしょうか?
A: 予期せぬ故障があった際に、いつその故障が発生したのかを分析するために SORACOM Harvest に蓄積されたデータを参照しています。例えば、雷といった天候が原因で設備が故障したと考えられる際には、蓄積された過去データをもとに当日の気象情報とも照らし合わせて原因を断定したりといった使い方をしています。
Q: フィールド試験するときに、列車の運行に悪影響を及ぼさないように細心の注意を払われたと思いますが、具体的に、どのような注意や苦労をされましたでしょうか。話せる範囲でお願いします。
A: 線路に近接した場所で作業をする場合、線路を閉鎖する手続きをとったり、専属の保安従事員に協力いただき、列車ダイヤを見ながら列車がくるタイミングにあわせて安全に退避できる体制を整えて実施しています。
Q: 全国の JR の駅に設置するとなるとどのくらいの数になる想定なのですか?
A: 担当している支社の範囲で 500 箇所ほどあります。優先度の高い箇所から順次取り付けを行っていく計画です。
Q: バッテリー運用をされてるとのことですがどのくらいの期間稼働できるのでしょうか?
A: 期待寿命はおよそ 10 数年ほどです。監視対象の設備の寿命が 10 年ほどであり、それにあわせて監視端末の期待寿命を設定しています。
ライブセッション3:『スマート農業の現場における、通信インフラ活用と多回線管理の手法』のQA
Q: 基地局はソーラーパネルがはっきり写っていてわかるのですが、それ以外の設備の電源供給はどうなっているのでしょうか.また梅雨や雪などの季節の発電ができない場合の対処はどうなっているのでしょうか.加えて台風などの災害への設備の耐久性はどのくらいあるのでしょうか。
A: それ以外の電源供給も太陽光で供給しております。耐久性はおよそ5~7年となっております。
Q: 月額使用料なしで、永年使い続けられて、採算は経年を重ねても問題ないのでしょうか?
A: はい、問題ございません。
Q: 巷では多くのセンサーメーカがありますが、farmo社の一番の強みはなんですか?
A: 現場ニーズにフィットした使いやすさです。
Q: 通信無料ということですが、個人の農家でもやってみたいと思いましたがLoRaゲートウェイ利用料金を調べると月額料金は、結構します。使用ユーザーが共有なので無料にできるのですか?
A: はい、その通りです。またLoRaゲートウェイも自社開発しているため、お客様への無料提供を可能にしています。
Q: ため池の水位監視のスマホ画面で、ため池の画像が表示されていましたが、LoRaで画像送信をされているのでしょうか。
A: いいえ、画像はスマホからアップロードしているものです。お客様の目印としてアイキャッチ用に表示しています。
Q: 私の実家は農家ですが、スマート農業をはじめたいときは行政や地域からの補助なども受けられるのでしょうか? また farmo 様やパートナー様からもご支援を受けられるのでしょうか?
A: 行政や自治体からの補助制度も数多くございます。詳細については、ぜひお住いの地域の自治体農政部、あるいは農協様にお問合せください。
Q: シーズンオフの積雪時など、撤去するのでしょうか?
A: はい、通信機は積雪のある地域では撤去していただいております。
Q: 各機器の電源は太陽光パネルと聞きましたが、装置に乗っている10センチ四方くらいの天板にくっついているものがそうですか?
A: はい、その通りです。
Q: 水管理をする、水門の開け閉めも、太陽電池で駆動しているのでしょうか。1日、何回くらい開閉ができる仕様でしょうか。
A: 1日10回程度開閉しても問題ございません
Q: LoRaを採用しているとのお話でしたが、プライベート(独自)LoRaでしょうか、LoRaWANでしょうか。また、その選択の理由を教えてください。
A: プライベートLoRaです。理由は外部からの影響リスクを減らすためです。
Q: 現地の映像も欲しいとなるとLoRaでは難しそうですが、どうなさっていますか?
A: LoRaは利用せず別の方法を検討しています。
Q: メンバー募集ということについて、近隣大学の工学部の学生や大学院生にバイトの募集などは出されないのでしょうか?
A: ありがとうございます。検討してまいります。
Q: 水位センサの校正は、毎年、必要でしょうか?
A: いいえ、必要ございません。
Q: 近年、農業ロボットの活用などがございますが これら農業ロボットとの連携といった事例、又は今後の展望などあるのでしょうか?
A: 特にございませんが連携できるものは協業していきたい方針です。
Q: 最近は猛暑傾向ですが、高温環境での装置への影響はないでしょうか? また悪戯等で装置に支障が出る可能性が想定されますが対策はどのようにされているでしょうか。
A: 仰る通り高温環境の装置への影響はございます。特に電源周りで改良を加え対策をしています。悪戯については盗難災害補償のサポートで対応しております。
ライブセッション4:『遠隔設備の保守を迅速、安心、現実的に ― LTE通信を用いたリモートアクセス』のQA
Q: ソニーコンピュータサイエンス研究所様の事例について、お客様のネットワーク環境を借りた場合「なかなか通信用のポートを開けてもらえない」といったご説明がありましたが、ソラコムさんの仕組みを利用したことによってどのように解決できたのか、ソラコムだからこそ得られたメリットは何か、についてもう少し詳しく教えて下さい。
A: 既存のネットワークに対して外部からのリモートアクセスに対する通信用ポートを空けるような変更はネットワークポリシー上、許可できなかったり、できたとしても設定までに時間がかかることがありました。ソラコムを使えば、 SIM とルータを設置するのみでネットワークを構築することができるので、既存のネットワークに影響を与えることなく、リモートアクセス可能な独自のネットワークを手軽に迅速に構築することができました。
Q: ソニーコンピュータサイエンス研究所様の事例について、VPG ではリモートアクセスできないのでしょうか?データのアップロードとリモートアクセスで 2 つのサービスが必要になる理由を教えてください。
A: VPG を使用しているのは弊社のネットワークポリシーの都合です。リモートネットワークから弊社サーバーへのデータアップロードの際に IP を制限しており、グローバル IP を固定できる VPG を使用しています。また、プロジェクトの協力会社を SAM ユーザとして登録して SORACOM Napter による接続をしているため、監査ログの機能があることで安心して使用することができています。
Q: ソニーコンピュータサイエンス研究所様の事例ついて、実証実験の中で使用電力が発電電力を上回り、既存系統からのバックアップを受けた事例はあるか。事例があれば、どれくらいの回数とトータル時間バックアップを受けたかを教えて下さい。
A: 実証実験では、発電電力が電力需要に対して小さいため、系統からのバックアップを受けることが多いです。施設内の複数の蓄電池間で電力をおすそ分けすることで、逆潮流なしでも太陽光発電の自家消費を増やすことが特長の、既存系統と融合した電力システムになります。
Q: ENEOS様の事例について、AWS IoT Greengrass をご利用されていますが、SORACOM Napter があってよかったというのはどういったときになりますか?
A: コードのデプロイは AWS IoT Greengrass で行うことができるため、SORACOM Napter を用いるのは①キッティング時と、②障害時が中心です。
①キッティング時: AWS IoT Greengrass の証明書をデバイスにインストールする必要がありますが、この操作は SORACOM Napter のおかげで遠隔で実行することができます。
②障害時: デバイス側でエラーが生じた場合、詳細な原因は AWS IoT Greengrass す。経由ではほとんどわかりません。SORACOM Napter により OS レベルでコマンドを実行したりログを確認したりすることで、障害の切り分けに役立つ多くの情報を得ることができます。たとえば、制御対象機器との通信が失われていることを確認した場合、対象機器の状態を確認するなど、適切なアクションを取ることができます。
Q: ENEOS 様の事例について、端末からの ping 監視のご紹介がありましたが、エラーが起きたときに、どのようにエラーを検知してリブートの判断をしたり、どのようなエラーのときに SORACOM Napter を用いて調査するなど切り分けられていますか。
A: 最初のエラー検知は、入ってくるデータをクラウド側で監視し、欠損や異常値の検出によりチャットアプリにアラートを飛ばす仕組みを実装しています。エラー検知時は、障害を次の 2 つに分類したときに、それぞれ異なる対策が必要となります。
①通信は可能だが制御プログラムが正常に動作しなくなるような障害(制御対象機器側のエラーや、制御プログラムのバグなどにより発生します): SORACOM Napter によりゲートウェイに ssh 接続し、障害の原因を探ることができます(前の質問の回答の通り、たとえば、制御対象機器との通信に障害があることを確認した場合は、対象機器の状態を確認するなど、適切なアクションを取ることができます)。
②そもそもエッジ端末との通信が不可能になるような障害(ハードウェアトラブル、電波状況、OS レベルの障害などによって発生します):SORACOM Napter も使用不可となるため、エッジ側での対策が必要です。ping pong.soracom.io による電波検知や、python プロセスの監視を常時行い、不具合発生を検知した場合、OS のリブートにより復旧を試みます。
おわりに
ソラコムは、皆様の現場のデジタル化を IoT で支援しています。その一環として、SORACOM Discovery をはじめとして様々なイベントをご用意しています。今後のイベント・セミナー情報はソラコムのホームページをご覧ください。
また、具体的なお問い合わせはオンラインでご相談いただける「SORACOM IoT 導入相談会」や、メールで連絡いただける「お問い合わせフォーム」をご利用ください。迅速に対応いたします。
― ソラコム takuya @okeee0315
投稿 SORACOM Discovery 2022 アーカイブ公開とお寄せいただいたご質問への回答 は SORACOM公式ブログ に最初に表示されました。
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