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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第794回

キヤノン「EOS R6 Mark II」は“自動被写体検出AF”を備えた猫撮影におすすめのフルサイズ機

2022年12月14日 12時00分更新

文● 荻窪 圭/猫写真家 編集●ASCII

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ほんのりと入った外光と、暗い一角のコントラストをねらったのだけど、その階調がきれいに出て、さすがのフルサイズセンサー機なのだった。2022年12月 キヤノン EOS R6 Mark II

 2022年、秋の新製品デジタル一眼シリーズのラストを飾るのは、キヤノンの「EOS R6 Mark II」だ。X-T5(富士フイルム)、α7R V(ソニー)、OM-5(OMデジタルソリューションズ)と来たのだから、ここでEOS R5 Mark IIだったりすると全部「5」が入ってて面白かったのだけど、そんなこと言われてもキヤノンも困るわな。EOS Rシリーズの中核をなす主力モデルが、R6なのだから。

85mm F2 MACROレンズを装着したEOS R6 Mark II。写りも性能も文句ない、フルサイズミラーレス一眼の主力モデルだ。

 このEOS R6 Mark IIなのだけど、すごいのである。“究極のAF”というのがあるとすれば、それは、カメラが撮りたい被写体を自動的に見つけて、そこにフォーカスを合わせるという「全自動AF」といっていいと思うのだけど、EOS R6 Mark IIはそこへの第一歩を踏み出したのである。被写体検出の種類が増えたうえに、「自動」モードが付いたのだ。

 私は、人より猫を撮ることのほうが多いせいで、たまに人を撮ろうとすると「あれ? 瞳AFが効かない」……「あ、動物AFになってた」ってことがよくあるから、検出対象をあらかじめ指定しなくてもいい“自動被写体検出”はたいへんありがたいのだ。しかも、猫検出もパワーアップして、顔が見えてなくても身体や後ろ頭でも見つけてくれるようになった。こんなふうに、向こうを向いててもOKである。

窓の外を見てる猫の後ろ頭を検出してるの図。これはありがたい。

 このあとシャッターを切ろうと思ったら、こっち向いちゃったので、結果はいつもの猫写真なんだけど、それはそれとして。

窓際の逆光でもOK(プラスの露出補正はしたけど)。2022年12月 キヤノン EOS R6 Mark II

 すべてが自動でうまくいくかというと、さすがにそんなことはないので頼り切ってはいけないのだが、ちょっと未来を感じさせてくれる機能で楽しい。

 さて、この窓際の猫を撮ったのは、「RF85mm F2 MACRO IS STM」というマクロレンズ。明るくて、被写体に近づいても撮れるので、猫をかっこよく撮るのにいいのだ。しかも、ぐぐぐっと近寄ってF2.0で撮ると、ピントの合う範囲がものすごく狭くなる。ほんのちょっとズレるだけでAFが合わなくなるので難しいけど、ぴしっと決まると気持ちいい。次の写真は、ほぼ正面から撮ってる顔のアップだ。

左目にピントが来てて、右目はボケてるというシビアさを楽しんだ1枚。2022年12月 キヤノン EOS R6 Mark II

 冒頭写真も、そのレンズ。窓からほんのり入る光が、いい感じのコントラストを作ってくれたのでねらってみた。

 さて今回は、なかなか天候に恵まれなかったこともあって、「保護猫シェルター QUEUE」の猫オンリーである。天気悪いし、早く日が沈むし、しかも室内となると、開放F値が暗い標準ズームレンズって使いづらいのだけど、EOS R6 Mark IIは高感度時の画質がなかなかいいので、たいへん助かった。ありがたい。

 そんな標準ズームレンズで撮った写真を2枚。1枚目は、首をちょっとかしげたのがかわいくて撮ったハチワレ。実はけっこう暗くて、かなりISO感度が上がってるけど、それを感じさせない画質で、さすがなのである。

猫が首をちょっとかしげるのって、ずるいと思う。2022年12月 キヤノン EOS R6 Mark II

 そして、冬は寒い。当たり前だけど寒い。寒いと猫はどうするか。集まるのである。小さな布団の上に固まってる姿があまりにかわいいので、バリアングルモニタを開いて角度をつけ、腕を伸ばして真上から撮らせてもらった。4匹集まってるのだけど、そのうち3匹が白黒で、真ん中の2匹なんか、どの顔がどの胴体につながってるのだかわかんないくらいで、なんともたまらんのである。

小さな布団の上に、ぎゅーっと集まった4匹。ちなみに、最初からいたのは真ん中の子猫。いつのまにか大人たちに囲まれたのだ。2022年12月 キヤノン EOS R6 Mark II

 さらに日が暮れて、もっと寒くなると、猫たちはまた別のところに集まり始めるのである。

 ここからの2枚は、超広角ズームレンズの写真。1枚目はひしゃげた猫ハウス。猫が寝てるのに、その上に乗っかっちゃうから、つぶれた家に取り残された猫みたいになってて面白い。

猫ハウスの上に1匹乗ってひしゃげてる。さっきまで中にいた猫はどうしたんだ? と思ったら、中でつぶれてました。。。2022年12月 キヤノン EOS R6 Mark II

 なぜそうなったのか。実はここ、エアコンの送風口のすぐ近くで、温風が出てるから暖かいのである。かくして、私が帰るころには、こんなふうにエアコンの下に集まってきてるのだった。

いくら温風が暖かいからって、みんな集まりすぎ。実は、写真に写ってない猫も2匹いたのだ。2022年12月 キヤノン EOS R6 Mark II

 冬ですなあ。猫は自由自在に動き回って、夏は涼しい場所、冬は暖かい場所、寝たいときはじゃまされない場所、とうまく見つけるから、こちらも見てて飽きない。うちの猫もそうだけど、猫の居場所で季節がわかる、みたいなもんだ。

 さて、話は戻って、キヤノンのEOS R6 Mark II。EOS R6は、もともとバランスが取れたいいカメラだったのだけど、Mark IIになって、さらにツボを押さえた強化がなされてて、さらに魅力的に……このクラスとしては欠点がなくて、面白みがないくらいになったのである。前モデルよりちょっと高価(ボディのみで40万円弱)にはなったけど、猫用フルサイズミラーレス一眼入門機として、一番のおすすめかも。

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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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