戦艦大和でジャンプ!観光名所のVR空間でラジオ体操できるアプリが優勝。広島・呉でPLATEAUハッカソンを開催
「PLATEAU Hack Challenge 2022 in 大和ミュージアム(呉)」レポート
グランプリは「Virtual ラジオ体操」。「運動はしたいが続けられない」を解決する
2日目に行われた成果発表会では、各チーム持ち時間5分でプレゼンとデモが行なわれた。審査委員は松本慎平氏(広島工業大学情報学部知的情報システム学科准教授)、常名隆司氏(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社)、内山裕弥氏(国土交通省都市局都市政策課課長補佐)。なお、審査基準には「いかに地域に貢献できるか」が入っている。
・3D都市モデルの活用
・アイデア
・デザイン
・技術力
・地域貢献
審査の結果、Virtual Cawamotoチームの「Virtual ラジオ体操 in 呉」がグランプリを受賞した。
バーチャル空間に構築した呉の観光スポットを舞台にラジオ体操ができるというもの。総人口減少並びに高齢者人口の増加という呉市を取り巻く現状に対する1つの解決策として、一人ひとりの健康維持をサポートすることを目指している。飽きさせずに、高齢者でも楽しく取り組める健康システムとして考えたのが「Virtual ラジオ体操」だ。
チーム「Virtual Cawamoto」-Virtual ラジオ体操 in 呉
グランプリ受賞の決め手となったのは、技術的なフィジビリティーの高さとそれに対する実装の近さ、アイデアのおもしろさ、今後の展開も期待できるというポテンシャルの高さだ。
バーチャル空間もかなり精密に作り込まれており、マイコンモジュールのM5StickCと組み合わせて空間内の移動も可能だ。M5StickCを装着して羽ばたきの動作をすると、M5StickC内の角加速度センサー(MPU6886)が動きを検知し、その動きを羽ばたきの回数に換算して移動の距離を決定する仕組み。
当初はリアルな身体の動きをトラッキングしてバーチャル空間を移動する仕掛けを考えていたが、短時間での開発は難しい。そこで、羽ばたきで飛び上がるというミニマムな体験にまとめたとのこと。
メンターの石井氏は「アイデアのレベルではVRコンテンツを作りたくても、実際に作り上げるには開発環境を整えるだけでも1日かかってしまう」と説明。ハッカソンでは短い期間で動くものを作ることが目標となる。時間の制約や技術的制約を受けて絞った結果、「羽ばたきで飛び上がる」という仕組みが今回のコンテンツにも合っていたことが評価された。
今後の展望としては、呉市の美しい自然と軍艦といった観光資源の魅力を伝えるアンバサダーとしての機能も強化していきたいとのこと。
発表後の質疑において、審査員の内山氏は「体験としてシンプルだがおもしろい」と高評価。松本氏からは「PLATEAUならではの特性を今後どう活かすのか」という指摘があった。それに対して「PLATEAUの3D都市モデルデータのリッチさを活かし、擬似的に外に出ている感じを今後もっと出せるようにしたい」と回答。また常名氏は「PLATEAUのデータが公開されている自治体に広げられるのではないか」と期待した。