アリババから変わり種のクラウドノートPC「無影筆記本(Wuying Cloudbook、無影クラウドブック)」が発表された。アリババと言えば、日本ではECサイトのイメージだが、クラウドにも中国企業の中では早い段階で力を入れている。
そんな同社のクラウド事業のカンファレンス「雲栖大会」で無影筆記本は発表された。日本では未発売だが、クラウド側で対応していることから(後述)、入手できれば使用は可能だろう。
Chrome OS/Chromebookのようなものではなく、
クラウド上で動作する仮想PCを操作できるシンクライアント
さて、無影筆記本はシンクライアント端末だ。Chromebook的なモノの中国版を期待した読者には残念だが、クラウド側でWindowsなどが快適に動作する。つまりWindows 365に似たサービスだ。発表内容からわかる範囲でのスペックは、Wi-Fi 6と4G LTEに対応し、バッテリーで20時間動作可能。製品写真を見る限りフルサイズのUSB端子×2が外部インターフェースとして確認できる。ディスプレーはタッチ対応の14型で、本体の厚さは13.9mm。CPUやメモリー、ストレージはクラウド側で処理されることから特にオープンになっていない。
この無影筆記本だが、クラウド上でのサービス自体は以前から発表しており、2年前には同じ雲栖大会でポケットサイズの小型シンクライアントを発表済。こちらのインターフェースはUSB×1とHDMIのみとシンプルで、USBハブを介してキーボードやマウスなどを繋いで利用する。値段は900元(1万8000円、1元=約20円)。
この小型PCが登場したときは、無影筆記本よりも話題になった。アリババは「新しいPCが登場した。これでどこでも端末を持ち運べてハイスペックでセキュアなPCを利用できる!」「PCをそんなに使わない今、本体やパーツを買い替えることなくクラウドでスペックを調整して利用できる新しいスタイルだ」などとアピールしていた。「新しいパソコン登場で伝統的なPCが淘汰される!」なんていう大げさとも思える記事も掲載された。
ニュースリリースによると、無影筆記本はクラウド側で処理することから「ユーザーが場所や時間に問わず、組織のリソースにアクセスできることが特長」であり、「必要に応じてコンピューティングパワーやストレージなどのリソースを調整できる」としている。必要に応じてCPUのコア数やメモリサイズを変更することができるわけだ。
また無影筆記本からは「Windows、Linux、Androidなどの複数のOSの実行が可能」であり、そのソフトウェアについても「クラウド上で展開し実行されるため、ローカルにソフトウェアをインストールする必要がなく、ストレージ容量やバッテリーの消費も最小限に抑える」としている。また、データをクラウドで保存することからセキュリティーは非常に強固だとしている。中国企業でクラウドでデータを扱うとなると、情報漏洩が心配になるが、アリババクラウドの日本人担当者が「多くの人がまず心配されますが、絶対に大丈夫です」と話していたことを補足しておく。
無影筆記本に先立って、スマートディスプレーのMAXHUBが無影に対応した製品を発表した。つまりスマートディスプレーそのものがシンクライアントになり、クラウド上のWindowsなどを操作でいるようになる。端末としてのスペックはクアッドコアCPU、メモリー2GBまでは公開されている。27型モデル(2700元)と34型モデル(3400元)があり、それぞれ40時間分無料で利用できるライセンスがついてくる。
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