ARグラスの「Magic Leap 2」は、既に国外では発売されているが、未だ国内での販売は行われていない。2023年の春ごろには発売されるとのことだが、価格は未定だ。
今回、そんな「Magic Leap 2」を触る機会を得たので、どんな製品だったのかを簡単に紹介したい。
Magic Leap 2は、Magic Leap 1の後継機。Magic Leap 1はコンシューマーやエンターテインメント向けの製品で、アプリストアも用意されていた。しかし、Magic Leap 2は、従来機でのフィードバックなどを得たうえで、法人向けにシフトしたという。
デイスプレー解像度は、片眼1440×1760ドット、視野角70度、リフレッシュレート120Hz、1680万色の色彩に対応する。
同社がCopute Packと呼ぶデバイスにAMDの7nmプロセスでZen 2ベースのSoCと、バッテリー、256GBストレージを搭載。Wi-Fi 6Eの無線LANにも対応する。駆動時間は公称3.5時間。
Magic Leapは、家具の販売においてシステムキッチンを配置し、パーツやカラーを変えて確認したり、医療、工場の現場での新人教育だったりに活用されるとのこと。
実際にMagic Leap 2のデモ機を体験したが、ヘッドバンド部分が非常に柔らかい素材で、両手で簡単に広げられて、頭にかぶった後、ヘッドバンドを左右から押すことで、ピタッと頭にフィットする。
左右から頭を挟む形になるが、力加減は絶妙で、長時間利用でも頭が痛くなるようなことはないように思えた。また、構造上眼鏡を付けたまま利用できないが、提携のメーカーによる視力調整レンズをマグネットで付けることで、視力の悪い人でも快適に使えるようになる。
筆者も両目0.01くらいとかなり視力が悪く、乱視も入っているが、レンズで補正したら文字もハッキリと見え、快適に利用できた。加えて、ノーズパッドや額に当たる部分のパーツも複数用意されており、ユーザーが最もフィットし、快適に使えるようにカスタマイズできる。
ARグラスの視聴できる範囲は、従来のMagic Leap 1や、マイクロソフトのHoloLensも、かつては小窓を覗くくらいの範囲でしかなかった。そのため、正面のARが見える範囲にARで見たいオブジェクトを合わせるため、頭や体をよく動かす必要があった。
しかしながら、Magic Leap 2では、対角の視野角が広くなり、高さのあるオブジェクトを視界に収めるられるようになったため、より実用的になったと感じた。
加えて、面白い試みとして2つのディミング(遮光)機能を備えている。1つはARで表示されたウィンドウやオブジェクトといったデジタルデータ以外の光量を落とし、鮮明にする「グローバルディミング」。もう1つは、デジタルデータの周りに黒い影を作り、鮮明化する「セグメンテッドディミング」だ。
簡単に言うと「グローバルディミング」では、デジタルデータ以外の背景を全体的に暗くして視認性を高め、「セグメンテッドディミング」ではデジタルデータの周りだけに影を加えて視認性を向上させる。こうした機能により、今までのARグラスのように太陽光下のような強い光が当たる場所では、デジタルデータが非常に薄く表示され、見づらいということがなく、快適な視認性を実現している。
Magic Leap 2では、3DデータをARで表示し、片手用コントローラーで位置を動かしたり、拡大/縮小だったりが可能。また、内部まで作り込まれた3Dデータは、顔を埋めれば内部の構造も見ることができる。デモでは、3Dデータで作られたMagic Leap 2を分解し、パーツ1つ1つをコントローラーで動かし、じっくりと確認することができた。
ARやMRなどは、古くから数多くの企業がハードウェアやソフトウェアを研究開発しているが、一般的な利用には普及率の高いスマホが使われることが多い。マップを現実世界の視覚上に表示するなど、いろいろと活用方法は考えられているが、安全性による国の許可などのハードルもあり、一般利用の普及はまだ少し時間がかかりそうだ。
しかしながら、医療や工場などの現場では、Magic Leap 2のような機器が活躍する場は多そうだ。今後の動向にも注目したい。