「G-STAR 2022」でNEOWIZがプレスカンファレンスを開催

ピノッキオの採用は運命、ソウルライク作品「Lies of P」誕生秘話

2022年11月18日 18時30分更新

文● 八尋編集●ASCII

「G-STAR 2022」でNEOWIZがプレスカンファレンスを開催。アートディレクターのChangkyu Noh氏が登壇し、Lies of Pの誕生秘話などを語った

　ソウルライクなゲーム性と、「ピノッキオ」を掛け合わせ、成人残虐劇として再構築されたダーク系童話アクションゲーム『Lies of P』。「gamescom 2022」では、韓国のゲームメーカーとしては初の3タイトルを獲得。ソウルライクなゲーム性や世界観、キャラクター、独自のシステムといった要素に、世界が注目している作品だ。

Lies of P

　11月17日から20日まで開催中の「G-STAR 2022」では、NEOWIZがプレスカンファレンスを開催。アートディレクターのChangkyu Noh氏が登壇し、Lies of Pの誕生秘話や背景設定、世界観のこだわりなどについて語った。

アートディレクターとプロデューサーがシンクロ
運命的に決まったピノッキオの採用

　Changkyu氏によると、Lies of Pの構想が始まったのは2019年。ソウルライクというジャンルだけ決まった状態でコンセプトアートを作成したが、その後なかなか進まなかったのだという。

　Changkyu氏は映画「ブレードランナー」やテレビドラマ「ウエストワールド」、アニメ映画「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」といったタイトルを挙げ、こういった作品のような“人間の本質”を扱う作品に仕上げたいと考えていたそうだ。そして、そのときにふと思ったのが「ピノッキオをダークなバージョンにしたらどうなるか」ということだった。

　そんな折、Jiwon Choi氏もなんとピノッキオのプロジェクトを持ちかけてきたことで、運命だと感じ、ピノッキオを大人向けの残酷な物語にする作品の制作が始まったそうだ。

運命的だったというピノッキオとの出会い

原作となる「ピノッキオの冒険」

Jiwon Choi氏について「熱量があってストーリー作家としても素晴らしい人」と説明したChangkyu氏

　しかし、Changkyu氏は「ピノッキオには、風刺もあるし、人間のモラルに対する問いかけというテーマもあります。面白くて偉大な作品だけあって、そこから脚色していくには勇気が必要でした」とも語った。

　そんな中、ピノッキオの再構築についてまずChangkyu氏が語ったのが、本作に登場するクリーチャーについて。クリーチャーのなかには、ピノッキオの登場人物をオマージュしたものが複数いる。うさぎをモチーフとした「BlackRabbit Brotherhood」も、その一例だ。

ピノッキオの登場人物を再構築したクリーチャーも登場する

「BlackRabbit Brotherhood」もその一例

新たに生み出したジャンル「ベルエポックパンク」

　続いて、世界観や時代背景についての紹介があった。本作の世界観には、19世紀末のベルエポック時代が採用されている。Changkyu氏は「Lies of PはもともとSFホラーとして開発を始めたのですが、『奇怪だけど、美しくならなければならない』を本作のテーマにしたとき、新たなジャンルとしてゴシックホラーとサイエンスが融合したジャンルにしようと考え、『ベルエポックパンク』と名付けました」と述べた。

美術的なジャンルとして新たなベルエポックパンクを構築

本作のテーマ

　技術革命の時代で、科学がすべてを解決するという楽観的な雰囲気を持ち合わせるベルエポック時代だが、それにダーク、ホラーな世界観を落とし込んだのが、ベルエポックパンクというわけだ。

　また、舞台はフランスのパリを採用している。本作のステージを制作するにあたって、オスマン様式、ロマネスク様式、バロック建築などを参考にしているとのこと。これをロマンチックではあるものの暗くて重い雰囲気にするために、柱や金属のアーチなどを積極的に採用して表現している。Changkyu氏は「ホラーと金属の冷たさを結合しようと努力しました」と語った。