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iPad ProはM2搭載! 無印iPadは画面大型化&USB-C採用! アップル秋の新製品第2弾 第17回

M2チップを搭載しMacBook Proに肉薄する12.9インチモデル

【レビュー】M2搭載iPad ProはMacBook Proとも競える性能をベンチマークテストで実測

2022年11月20日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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MacBook Proとも競える性能をベンチマーク

 新しいiPad Pro 12.9インチモデルのパフォーマンスは、いつもと同様のベンチマークテストで評価する。基本的には、昨年5月に登場した前世代(第5世代)のiPad Pro 12.9インチモデル、今年の3月に登場したiPad Air(第5世代)を含めた3モデルで比較する。搭載チップは、前の2つがM1、そして今回のiPad ProがM2だ。

 また、ほぼ同じ土俵で比較が可能だと思われるテストについては、今年6月に登場したM2チップ搭載のMacBook Pro 13インチモデルも加えて比較する。M1とM2チップの比較という点でも、それぞれ異なる機種に搭載されているため、興味深い結果が期待できるだろう。

 実施したテストは、Geekbench 5、Geekbench ML、Antutuの各ベンチマーク専用アプリと、Safari上で動作するJetStream 2、そしてiMovieによるビデオエンコード時間の大きく5種類だ。このうち、MacBook Proを含めた比較は、Geekbench 5、JetStream 2、iMovieによる3種のテストとなる。さらに今回のiPad Proについては、ビデオの連続再生時におけるバッテリーの持続時間も計測した。それぞれのテスト結果について考察していこう。

・Geekbench 5
 Geekbenchは、CPU性能とGPU性能を計測する。CPU性能では、1つのコアだけを使用したシングルコアと、チップ内蔵のすべてのコアを使用したマルチコアの性能を別々に評価できる。一方のGPU性能は、GPU本来のグラフィック性能ではなく、GPUを数値計算に利用するテストで、「Compute」と呼ばれる。このアプリには、iPadOS版とmacOS版があるので、MacBook Proを含めたテスト結果を表で示そう。

 まず、シングルコア、マルチコアの両CPU性能をグラフで確認する。

 シングルコアのCPU性能は、M1とM2で大きくは変わらないが、マルチCPUの性能はM1とM2で、それなりの差が確認できる。コア数は8で同じだが、マルチコアの実行効率はM2の方が高いと考えられる。同じM2でも、iPad ProよりMacBook Proの方が、シングル、マルチいずれもじゃっかん速いが、大きな差ではない。

 次にGPU性能を表すComputeの結果をグラフで比較しよう。

 M1を採用する旧iPad ProやAirと比べて、M2を採用する新iPad ProやMacBook Proが4割以上速いという結果になった。これはGPUのコア数がM1の8に対してM2は10であることから予想される性能差よりもかなり大きい。

・Geekbench ML
 Geekbench MLは、機械学習に関する性能を評価する。テストには、CPU、GPU、そしてiPadOSのAPIの1つ、Core MLを使う別々の処理が含まれている。

 CPU性能とGPU性能については、Geekbenchのそれぞれのテストと同じような傾向となった。ただし、GPUのM1とM2の差は、Geekbenchよりは詰まっている。Core MLによるテストは、M1およびM2が内蔵するNeural Engineによる処理と考えられるが、コア数はいずれも16で同じ。それでもM1とM2で、はっきりした差が付いていて、M2の優位性が感じられる。

・Antutu
 Antutuは、Android搭載のスマートフォンの性能評価で有名なベンチマークテスト専用アプリ。総合得点だけで優劣を付けることが多いが、CPU、GPU、MEM(メモリ)、UX(ユーザーエクスペリエンス)の4種の性能を別々に計測して合計したものが総合得点となっている。

 この結果でも、やはりM1とM2の性能差がはっきりと表れている。特にGPU性能とメモリアクセスの性能が大きいように見える。GPUのコア数の違いについてはすでに述べたが、最初の比較表にも示したように、M1は推定68.25GB/s、M2は100GB/sというメモリ帯域幅の違いが出ているものと考えられる。

・JetStream 2
 JetStream 2(https://browserbench.org/JetStream/)は、Browser Benchmarksのサイトが提供するウェブブラウザー上で動作するベンチマークテストアプリ。ブラウザー上でJavaScriptとWebAssemblyを使ったプログラムを実行して評価する。これはアップル純正ブラウザー、Safari上でテストしたので、MacBook Proも含めて評価する。

 実際のアプリを使った動作だけに、M1とM2で傾向がはっきり分かれるわけでもなく、機種間の違いとして性能差が表れている。ただし、旧iPad Proは約1年半前、iPad Airも半年以上前のテスト結果なので、Safariのバージョンも、それなりに古い。その違いが表れている可能性もある。

・iMovie
 ファイルサイズが約125MB、再生時間が約50秒の4Kビデオを、iMovieのプロジェクトに取り込み、540pで再エンコードして出力する時間を計測するテスト。時間が短いほど高速であることを示す。もちろんiMovieにはmacOS版もあるので、MacBook Proを含めた結果をします。

 このテストでは、以前からmacOS上よりもiPadOS上の方が速いという結果が出ることが多い。OSも異なり、アプリの作りも異なる部分があるため、画面表示のタイミングも異なって、実際の処理時間を適切に測定できていない可能性もある。iPad同士の比較では、メディアエンジンの違いによるものか、M2を搭載した新iPad Proが、M1搭載機の2倍以上の速さを示した。

・バッテリー
 バッテリー持続時間は、YouTubeのプレイリストとして編集したApple Eventのビデオを、Wi-Fi経由でインターネットに接続して連続再生し、バッテリーを使い切って強制スリープ状態になるまでの時間を計測した。音量は消音状態から1段階上げ、画面の明るさはスライダー全体の1/4程度の位置に固定して計測した。

 アップルの公式な「電源とバッテリー」の仕様では、「Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生:最大10時間」となっているが、実際の計測では19時間8分と、仕様の2倍近い時間の連続再生が可能だった。

 強制スリープ状態から、付属の20Wの電源アダプターを接続して、100%まで充電するのにかかった時間は約3時間24分だった。その際には、iPad Proの画面表示をオンにしたままで、特にアプリは動かしていない。途中経過は、25%までが約50分、50%までは約1時間37分、75%までは約2時間25分となっていて、最初から最後まで、時間の経過とともに、ほぼリニアに充電量が増えていることがわかる。

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