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iPad ProはM2搭載! 無印iPadは画面大型化&USB-C採用! アップル秋の新製品第2弾 第15回

「初めて買うiPad」ならコレと言い切れる製品になったiPad(第10世代)

2022年11月09日 12時00分更新

文● 本田雅一 編集●飯島恵里子/ASCII

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iPad(第10世代)。価格6万8800円から

 iPad(第10世代)を一足先に使い始め、すでに1週間ぐらいか経過しようとしている。こうして記事を書いているのも、実はiPad(第10世代)とMagic Keyboard Folioの組み合わせだ。iPadOSがここ数年で大幅にアップデートされ、また日本市場特有の事情で言えば日本語入力の改善幅が大きかったこともあり、iPad ProやiPad Airを使っての執筆作業やコミュニケーションには、まったく困らなくなっていたが、第9世代iPadを同じ目的で使おうとは思ってこなかった。

 Apple Pencilに対応し、パフォーマンスが強化されても、「無印」のiPadを毎日の取材に持ち歩くパートナーとしては持ち歩く気にはなれない。自分ならiPad Air以上と感じていたし、誰かに相談されても、そう答えただろう。

 しかしiPad(第10世代)が登場した現在、イラスト制作や動画編集、写真現像など、何かしらのクリエイティブな作業をしたいという目標が定まっていないのなら、初めて使うiPadとして最初に検討すべきはiPad(第10世代)だ。

受け身の端末から「クリエイティブツール」に

 すでに登場から12年以上が経過しているが、最初のiPadはプロが使うクリエイティブツールでもなければ、メールの返信など基本的なコミュニケーションの領域でも、文字入力などの効率が高いとは、お世辞にも言えない製品だった。

 意識的に悪意を持って紹介するなら、iPhoneの画面を大きくした上で、その大画面を活用するアプリを準備しただけといった製品だったとも言える。基本ソフトもiPhoneのものをほぼそのまま使って、画面拡大に合わせて調整した程度だから、あながち厳しすぎる批判というわけではない。

 画面の大きさと応答性の良さ、軽量さ、バッテリ持続時間などから、これをノートPCの代わりにしようと試みた人を何人も知っているが、ことごとく断念していたのを思い出す。とはいえ、そもそも現在とは時代背景が異なり、iPadは別の側面から個人向けコンピュータ端末の常識を変えたのだ。

 当時はスマートフォン黎明期で普及と並行してクラウドにアプリケーションの価値が流れ込んでいた。今では当たり前だが、パソコン向けにソフトウェアを開発するのではなく、モバイル向け開発が優先され始める切替の時期だった。

 高価なフル機能のパソコンではなく、性能や機能には制約はあるものの安価でコンパクトなノート型端末「Netbook」が流行。その実態はというと、見栄えばかりで将来性が低い安普請なノートPC以外の何者でもなかった。そんな中、iPhoneの画面を大きくし、大画面に最適化したアプリを動かす新しいタイプの端末として登場したのがiPadというわけだ。全体的な処理能力は限られていたが、応答性がよく、タッチパネルを使って誰でもネットサービスを快適に利用することができた。

 モバイルPCをダウングレードしてネット社会に適合させるのではなく、スマートフォンの閲覧性や操作性をアップグレードしてネット社会に新しい価値を提案したというわけだ。

 このようにiPadを進化させてきた到達点が、ここ数年の無印iPadだったと言えるだろう。この間、性能が向上するとともにApple Pencilへの対応、キーボードへの対応もあり、教育向け、あるいは業務用端末として費用対効果の高いタブレット端末となった。

 一方でアップルは、より付加価値の高い端末としてiPadを改良しようとしてきた。

 ネットサービスを利用するための最適端末という「受け身の情報端末」から、タッチパネルとスタイラスペン、それにキーボード、昨今はトラックパッドなども組み合わせ、ビジネス、音楽、アート、写真、動画などのジャンルでクリエイティブな作業をするために使うノートPCと同等以上にパワフルで、なおかつシンプルに使いこなせる端末としての進化だ。

 その流れが異なる製品シリーズへと分化したのがiPad Proだったが、今回のiPad(第10世代)はそんなクリエイティブ志向へと枝分かれしたiPadの系譜の中で、ベーシックな、つまり最も基本的な価値と機能を提供するモデルに仕上げられている。

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