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iPad ProはM2搭載! 無印iPadは画面大型化&USB-C採用! アップル秋の新製品第2弾 第17回

M2チップを搭載しMacBook Proに肉薄する12.9インチモデル

【レビュー】M2搭載iPad ProはMacBook Proとも競える性能をベンチマークテストで実測

2022年11月20日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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M2搭載13インチMacBook Proは2022年7月15日に発売した

最大のライバルはMacBook Pro

 ベンチマークテストの結果からも分かるように、M2を搭載した新しいiPad Proは、同じM2を搭載したMacBook Proと比べても、ほとんど同等の性能を発揮できるようになった。現在のタブレットやノートブックは、コアとなるチップ(SoC)によって、性能がほとんど決まってしまうようなアーキテクチャとなっているため、これは当然の結果だろう。

 特に12.9インチのiPad Proの場合、画面サイズもほぼ同じで、Magic Keyboardを装着すれば、ほとんどノートブックとして使える。MacBook Proの13インチモデルと用途として被る領域も自然と多くなる。これだけの高性能を備えたタブレットは、ほかにほとんど例がないため、MacBook Proが直接的なライバルと考えたくなる。

 12.9インチモデルの重量は682gで、Magic Keyboardは実測で約680gだった。合計すると1362gとなり、奇しくもMacBook Pro 13インチモデルの1.4kgと、ほとんど同じとなる。つまり保護カバーとしての役割も果たすMagic Keyboardとともに持ち運ぶ場合、大きさも重さも、MacBook Proとほとんど変わらないのだ。

 iPad Proは、価格的にも同じM2を採用するMacBook Proと同じ領域に入ってきた。いずれもストレージ容量によって大きく価格は異なるので、同じストレージ容量を選んだ場合の価格を比べてみよう。なお、iPad Proの実装メモリは、16GBと推測されるため、MacBook Proもメモリが16GBの価格と比べている。

 ストレージ容量が512GB以下では、MacBook ProよりもiPad Proの方が安いが、1TB以上では逆転し、iPad Proの方が高くなる。しかもストレージ容量が大きいほど価格差は広がっていく。もし同じような用途で使うとして、iPad ProにMagic Keybaordを加えると、5万3800円の追加となって、すべてのストレージ容量でiPad Proのほうが高くなる。iPad Proをノートブック代わりとしてだけ使うのは、得策ではないかもしれない。

 もちろん、iPad Proは、映画撮影にも使えるようなカメラを装備し、用途によっては不可欠で、ほかに代えがたい使い勝手のApple Pencilに対応したディスプレイを装備している。その点を考慮すれば、むしろiPad Proの方が安いと感じる人もいるだろう。iPad Proは、MacBook Proではカバーできない領域に対応しつつ、MacBook Proと同等のパフォーマンスを備えている。その両方に価値を見出すユーザーにとって、新しいiPad Proは買いだ。

 一方で、MacBook Proと同等のパフォーマンスを持ち、機能的にも上回っているのなら、MacBook Proの用途も、すべてiPad Proでカバーしたいという希望をいだきたくなるのも当然だ。ただし、使用可能なアプリの違いによって無理が出てくることもある。アップル純正アプリを見れば、KeynoteやPages、Numbers、あるいはiMovieやGarage Bandといった一般ユーザー向けのアプリについては、確かに両OS用のものが揃っている。

 しかし、それだけでは、M2のパフォーマンスを有効に活用できない。そうできるためには、プロ向けのiPadOSアプリの充実が不可欠だ。サードパーティ製のアプリについては、プロの使用に耐えるものも徐々に増えてきているとはいえ、広い用途を考えれば、まだまだmacOS用の方が充実しているのが現状だろう。

 現にアップル純正のLogic ProやFinal Cut Proは、今のところiPadOS用は登場していない。そのあたりが揃ってくれば、iPad Proの用途はさらに拡大するはずだ。アップルには、自ら率先してプロ用のiPadOSアプリ充実させてほしい。

 

筆者紹介――柴田文彦
 自称エンジニアリングライター。大学時代にApple IIに感化され、パソコンに目覚める。在学中から月刊ASCII誌などに自作プログラムの解説記事を書き始める。就職後は、カラーレーザープリンターなどの研究、技術開発に従事。退社後は、Macを中心としたパソコンの技術解説記事や書籍を執筆するライターとして活動。近著に『6502とApple II システムROMの秘密』(ラトルズ)などがある。時折、テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士として、コンピューターや電子機器関連品の鑑定、解説を担当している。

 

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