前回記事「登場したてのミラーレス一眼、富士フイルム「X-T5」は最強の猫撮りカメラかもしれない」に続いて、富士フイルムの新製品「X-T5」の話。実はその記事では、猫撮りに向いてるよ、といいつつ、猫を撮ってて楽しいカメラの条件について書いたのだった。
今回は、そのX-T5で室内猫に迫ってみた。X-T5と一緒に発表された「XF30mmF2.8 R LM WR Macro」(要するに30mmのマクロレンズ)が室内猫との相性がいいのだ。見てのとおり、細くてコンパクトなので、猫に威圧感も与えないしね。
マクロレンズなので、ぐぐっと寄った写真を撮れるのもいいし、カメラに興味を持って鼻を近づけてきた猫にも対応できる。ぐぐぐっと近寄って、わざと明るすぎるレベルまで補正して鼻のピンク感を強調してみた。
X-T5は、同社の主力機、X-T4の後継機なのだけど、中身は4000万画素のフラッグシップ機、X-H2とほぼ同じ。連写枚数とか動画性能に差はあるけど、基本性能は変わらないので高画質なのだ。デザインはX-T4を踏襲しているのだけど、実はX-T4よりちょっと小さく軽くなり、しかも背面モニタが、バリアングルから3方向チルト式に戻ったのである。
それの何がいいのか、というと、もう簡単な話、猫と同じ目の高さで撮影できるのだ。冒頭写真がそう。黒い子猫と同じ高さで撮ったら猫気分の写真になるし、猫とお友達感も出る。普通に撮ると、どうしても「上から目線」になっちゃうからね。
で、この黒い子猫、目の前にあるものは何でも興味ある年頃なので、椅子にコートをかけておいたら、その中に入って遊ぶし。
猫ハンモックに乗ったと思ったら、吊ってる紐をガシガシかじってるし(何でも嚙みたい年頃なのだ)。
そしてなんと、実はこの黒子猫は2匹の兄弟なのだった。名前はビスコとコロン。どっちがどっちかは……まあさておき、2匹がいい感じに見つめ合ってる写真を撮れたのでぜひ。
モニタがチルトする話をもうちょっとだけ。モニタを上に向け、カメラを低い位置で構えようと思うと、「シャッターをどの指で押すか問題」が発生する。いつものように人差し指で押そうとすると、手首をぐにっと曲げねばならず、関節的にそれは困難だ。
そんなときはグリップの握り方を変え、親指で押すようにすると具合がいい。最近のデジタル一眼は、シャッターボタンが斜めに付いている機種が多くて(ファインダーを覗いて撮るときはそのほうが指が自然な位置にくるからだ)親指シャッターはしづらいのだが、X-T5はクラシックなデザインなので、シャッターボタンが真上についているから問題ないのである。
モニタを逆にチルトさせると真上からの写真も撮りやすい。猫がじゃれ合ってるときや、おもしろいポーズをしてるときなど、真上から撮りたくなることある。モニタがチルトしてくれれば、そっとカメラだけを真上に持っていって撮れる。
まあ、どっちもカメラの教科書的には褒められた撮り方じゃないけど、今どきのカメラは手ブレ補正もしっかりしてるから、型にとらわれず「猫ファースト」な撮り方をしちゃえばいいのだと思う。
にしても、子猫はおもしろいですな。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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