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iPad ProはM2搭載! 無印iPadは画面大型化&USB-C採用! アップル秋の新製品第2弾 第16回

【レビュー】新iPad(第10世代)は「iPad Air」の普及バージョンだ

2022年11月13日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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iPad(第10世代)にMagic Keyboard Folioを装着

iPadの操作性を格段に向上させるMagic Keyboard Folio

 新しいiPadには、本体には含まれないオプションながら、ほかのiPadでは利用できない魅力的な製品が用意されている。それはずばり「Magic Keyboard Folio」だ。

 これまでのiPadで利用可能だった純正のキーボードオプションは「Smart Keyboard」のみだった。それと比べると、Magic Keyboard Folioは大きく2つの点で優れている。その違いは、「Smart」が「Magic」になり、後ろに「Folio」が付いた製品名に現れている。

 まず「Smart」には、特に機能や仕組みを表すような意味はないが「Magic」は違う。これは、MacBookシリーズの内蔵キーボードや、iPad ProやiPad Air用の外付けキーボードと同じ「シザー構造」を採用した、打ちごごちに優れたキーを採用したことを意味している。実際にタイプしてみると、キーの大きさからくるわずかなタッチ感の違いはあるものの、ほかのMagic Keyboardとほとんど同じ感覚でキー入力が可能となった。以前のSmart Keyboardのタッチも、それほど悪いものではなかったが、長時間のタイプでは、やはりMagic Keyboardの方が疲労が少ないと感じる。

 キーのサイズの違いについて言えば、2つの点に注意する必要がある。

Magic Keyboard Folioのキーボード

 まず1つは、通常のアルファベットキーの大きさ(ピッチ)だ。MacBookシリーズや、12.9インチiPad Pro用のMagic Keyboardのキーピッチが標準的な19mmなのに対し、Magic Keyboard Folioでは、ちょうど1mmほど狭い18mmになっていること。これについては、たぶん指摘されなければ気付かないという人もいるだろうと思えるような、微妙な違いだ。特に指の太い人でもない限り、打ちにくいと感じることは少ないだろう。

12.9インチiPad Pro用のMagic Keyboardのキーボード部分

 もう1つは、右端に近い部分の記号キーや、Return、Shiftキーなどのキーが特に小さく、ピッチも狭くなっていること。ピッチは、そのあたりだけ13mmになっている。これにはさすがに気付かない人はいないだろう。ブラインドタッチをする人は、慣れないとタイプミスをすることになる。ただし慣れれば、むしろこの方がReturnキーが近い分だけ打ちやすいと感じる人もいるだろう。右手の小指のホームポジションの「;」キーの中央からReturnキーの中央までの移動距離は、標準的なMagic Keyboardの場合、約60mmだが、それが45mmほどに15mmも短縮されるからだ。また、ピッチは短くなっているものの、配列が変更されているわけではないので、慣れるのに時間はかからない。

 名前の後ろに付いた「Folio」は、アップル純正キーボードの場合、背面カバーを意味すると考えればいい。つまり、キーボード部分と背面カバー部分で、iPad本体をサンドイッチのように挟み込むのがFolioだ。

iPad(第10世代)にMagic Keyboard Folioを装着

 旧iPad用のSmart Keyboardは、角度調整ができなかったが、新iPad用のMagic Keyboard Folioは、背面カバーから引き起こすようにして使うスタンド機能によって、無段階に画面の角度が調整できるようになった。この効果は、使い勝手にかなり大きく影響する。iPad ProやiPad Air用のSmart Keyboard Folioにしても、角度調整は2段階だったので、これも新iPadの大きな優位となっている。角度調整の方式は違うが、iPad ProやiPad Air用のMagic Keyboardに近い使い勝手を獲得したと言ってもいい。

Magic Keyboard Folioのスタンドは、ある程度任意の角度を付けることができる

 ただし、Magic Keyboard Folioには欠点もある。その1つは、厚みがかなりあるということ。背面カバー部分だけで、実測の厚みは約4.5mmある。これはMagic Keyboardの背面カバー部分の厚みの約3.5mmより1mmも大きい。その理由は、背面カバー部分が、カバーとスタンドの2重構造になっているためだ。キーボード部分、iPad本体、背面カバー部分を合わせると、厚みは実測で約17mmとなってしまう。これは、MacBookシリーズのどのモデルよりも厚い。たとえばMacBook Proの16インチモデルでも16.8mmなのだ。

 それでも救いはある。Magic Keyboard Folioは、キーボード部分と背面カバーを分離できるのだ。背面カバーを外して、キーボード部分だけを装着した状態でも、キーボードは機能する。キーボードは単独でも、iPadの側面にあるコネクターに強い磁力で吸着されるので、そうした使い方でも不安はない。iPadを使用する場所の背後に壁や窓枠があれば、そこに立て掛けて使えばいい。背面カバーを外せば5mm近くも薄くなるのはありがたい。

 逆に、キーボード部分だけを取り外して、背面カバーだけをスタンドとして利用する使い方もある。iPadの前に紙の資料や本、ノートなどを置いて使いたいことは、特に学習の補助として利用する場合にはよくあるだろう。その際にはキーボードがじゃまに感じられるもので、MacBookシリーズに対してiPadのほうが自由度が高いと感じられる場面の1つだ。Magic Keyboard Folioは、そうした組み合わせの自由を確保できる唯一の純正キーボードオプションなのだ。

 もう1つの欠点は、やはり価格だ。旧iPad用のSmart Keyboardの価格が2万4800円なのに対し、Magic Keyboard Folioは3万8800円で、価格差は1万4000円もある。これで、純正キーボードオプションを含めた新旧iPadの価格差は、さらに大きくなってしまう。救いは、11インチiPad ProやiPad Air用のMagic Keyboardの4万4800円と比較すれば6000円も安価なことだろう。

 いずれにせよ、今のところMagic Keyboard Folioは新iPad(第10世代)専用のもの。この点だけも数あるiPadの中から新iPadを選択する意義があると感じる人がいても不思議ではない。新iPadの魅力は、そこまで含めて評価すべきだろう。

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