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【レビュー】新iPad(第10世代)は「iPad Air」の普及バージョンだ

2022年11月13日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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パフォーマンスとバッテリー持続時間の絶妙のバランス

 新しいiPadの基本的なパフォーマンスは、いつもと同様のベンチマークテストで評価する。あまり多くの機種を比較すると、かえって分かりづらいので、旧iPad(第9世代)、今年の春に発売されたiPad Air(第5世代)と、新iPad(第10世代)の3モデルで比べることにした。搭載するチップはすべて異なり、旧iPadがA13 Bionic、iPad AirがM1、新iPadがA14 Bionicとなっている。

 実施したテストは、Geekbench 5、Geekbench ML、Antutuの各ベンチマーク専用アプリと、Safari上で動作するJetStream 2、そしてiMovieによるビデオエンコード時間の大きく5種類だ。それとは別に、ビデオの連続再生時におけるバッテリーの持続時間も計測した。それぞれのテスト結果を示しつつ考察する。

・Geekbench 5
 Geekbenchは、なるべく純粋なCPU性能とGPU性能を計測するテスト。CPU性能では、1つのコアだけを使用したシングルコアと、搭載するすべてのコアを使用したマルチコアの性能を別々にしめしてくれる。ここでのGPU性能(Compute)は、グラフィック性能ではなく、GPUを数値計算に利用した際の性能の評価となる。まず全結果を表で示す。

 これをグラフ化すると、各モデルの性能の違いの特徴がよく分かる。まずはCPU性能を見てみよう。

 概して、シングルCPUの性能はさほど変わらないが、マルチCPUの性能は大きく異なっている。もちろんM1チップを搭載するiPad Airが有利だが、新旧iPadのCPUコア数が6(高性能2+高効率4)なのに対し、iPad AirのM1は8コア(高性能4+高効率4)となっているのも大きい。高性能コアの数が2倍なのだ。iPad Airは、旧iPadの2倍以上、新iPadの2倍近い性能が出ているのもうなずける。

 次にGPU性能をグラフで比較しよう。

 新iPadは、旧iPadから大きく向上しているものの、やはりM1を搭載するiPad Airには遠く及ばない。これには新旧iPadのGPUコア数が4なのに対し、iPad Airは8コアとなっているのが大きく影響している。

・Geekbench ML
 Geekbench MLは、機械学習に関する処理を、CPU、GPU、そしてCore MLを使って実行した場合の性能を別々に評価する。結果の数値を示す表と、それをグラフ化したものを続けて示そう。

 CPU性能では、Geekbenchの結果に比べて差が詰まっている。これは、なるべく純粋なCPU性能を評価しようとするGeekbenchに対して、同MLは応用的な処理になるためだろう。つまり、CPU性能の違いが一般的なアプリの処理速度に及ぼす程度は、こちらの結果に近いものだとも予想できる。

 GPU性能は、やはりGPUをグラフィック処理ではなく、演算処理に使うため、GeekbenchのComputeの結果に近い傾向を示した。

 それに対してCore MLの結果は、旧iPadが遅く、新iPadはiPad Airに迫るものとなっている。Core MLの処理は、アップル製チップが内蔵するNeural Engineを使うはずだ。旧iPadのA13 Bionicは8コア、新iPadのA14 BionicとiPad AirのM1は倍の16コアのNeural Engineを採用している。その違いがはっきりと現れたと考えられる。

・Antutu
 Antutuは、主にAndroid搭載のスマートフォンの性能評価に使われるベンチマークテスト専用アプリだが、iPadOSで動作するバージョンもApp Storeで入手できる。通常、総合得点だけが注目されるが、それはCPU、GPU、MEM(メモリ)、UX(ユーザーエクスペリエンス)の各性能値を合計したもの。それぞれの結果と合計値を数値とグラフで示そう。

 この結果を見ると、新旧iPadの性能差は、それほど大きくないが、iPad Airの性能は、それらを大きくリードしている。特に差が大きいのはGPU性能だ。やはりここでもGPUコア数の差が大きく結果に影響しているものと考えられる。Antutuのテストは、アップル製のチップの特徴を活かしたものではないため、Neural Engineを使うようなテストは含まない。新旧iPadの差が開かないのも、新iPadとiPad Airの差が大きいのも、そのためだろう。

・JetStream 2
 JetStream 2は、Browser Benchmarksのサイト(https://browserbench.org)が提供するベンチマークテストアプリで、ウェブブラウザー上で実行するもの。ブラウザー内蔵のJavaScriptとWebAssemblyを使った実行速度を評価する。ここではもちろんSafari上で実行した。結果の数字とグラフを確認しよう。

 このプログラムの実行は、主にCPUを使ったものとなるため、結果はこれまで見てきたCPUテストのものに近い。やはり実際のアプリを使った動作だけに、各iPad間の性能差は比較的小さくなっている。実際にブラウザーを使った際の体感速度の差も、これに近いものとなるはずだ。

・iMovie
 iMovieを使ったテストは、ファイルサイズが約125MB、再生時間が約50秒の4Kビデオを、540pで再エンコードして出力する時間を計測する。もちろん時間が短いほど高速ということになる。このテストは、CPU以外にもストレージなど、様々な要素が絡む総合的なものだが、それだけに説明しにくい結果となることもある。結果の数字とグラフを示そう。

 結果には、ほとんど差が見られないが、しいて言えば、新iPadが最も速い。実際のiMovieの動作では、編集時の操作に対するレスポンスも、編集結果の出力時間も、ほとんど変わらないということになる。

・バッテリー
 バッテリー持続時間のテストは、Wi-Fi経由でインターネットに接続し、YouTubeのプレイリストとして編集したApple Eventのビデオを連続再生可能な時間を計測した。iPadの場合、設定などの条件は定量的に示しにくいが、音量は消音状態から1段階上げ、画面の明るさはスライダー全体の1/4程度の位置とした。

 このテストに関しては、過去データの蓄積がないため、新iPadの結果だけを示す。満充電状態から電源アダプターを外して再生を開始し、バッテリー残量が尽きて強制的にスリープ状態になるまでの時間は19時間17分だった。これは、アップルが仕様として公開している「Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生:最大10時間」の2倍近い数字だ。厳密な測定条件は不明だが、アップルのバッテリー持続時間の仕様は、MacBookシリーズなどでも、かなりの過小評価となっている。新iPadの場合、実際には仕様の2倍近くは連続で使えることになる。

 また、強制スリープになった状態から、電源アダプターを接続して、100%まで充電されるのにかかる時間は約2時間29分だった。新iPadの場合には、95%あたりを超えてから急に充電が遅くなる印象がある。ちなみに50%までは約1時間、75%までは約1時間半で充電できた。これも実用的に十分短時間と言えるだろう。

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