足つきアバターはただのイメージだった
一方、基調講演で見せたアバターにも疑いがありました。
まず、今後のアップデートの目玉として見せられた新型アバターについてのプレゼン自体がHorizon Worldsでやっているわけではないのでは? ということですね。それらしく見せていますが、明らかに手前と観客が座っている奥が絵の雰囲気が違うので合成なのではないかと疑っています。
何よりもがっかりだったのは足ですね。
全身像のアバターとして登場したザッカーバーグ氏がジャンプをする場面があり、「おおすごい、Quest 2 のセンサーでここまでできるのか」と感心したんです。Redditでも「どうなっているんだ」という議論が起きました。
そこでUploadVRという米メディアがメタに問い合わせたところ「将来をイメージしたモーションキャプチャーです」と返事があったというんですね。つまりこのシーンは将来実現する予定のイメージ映像だったわけです。
ザッカーバーグ氏は「足がつきます!」と言って新しいアバターをアピールしていましたが、よく聞くとさらりと「来年には」と言っています。要するに「これが実現できる可能性がある」という話なわけですが、「いや、それってインチキでは?」と感じてしまいました。確かに、来年のいつかまでには一定の範囲で実現できる目処はすでに立っているのかもしれませんが、それにしてもです。
おまけに言うなら、今回のアバターが以前に比べ、ザッカーバーグ氏本人に似ているかと言われると微妙でした。画質が上がっているとは言え、このクオリティのアバターが欲しいかと言われると疑問です。少なくとも日常生活で自分を代表するアバターとして、メタアバターの新バージョンであっても、使いたいとは思える魅力を感じませんでした。
もう独自アバターの開発を続けるのではなく、いっそユーザーの一定の支持を集めているRecRoomかVRChatを買収したほうが早いんじゃないかと冗談を言われているくらいです。
この連載の記事
-
第85回
AI
3DモデリングにAI革命の兆し 1枚のイラストから3Dデータが完成 -
第85回
AI
誰でもVTuber時代へ フェイシャルAI技術、続々登場 -
第84回
AI
画像生成AI「Stable Diffusion 3.5」性能はものたりないが、自由度が高いのは魅力 -
第83回
AI
リアルすぎてキモい 動画AIの進化が止まらない -
第82回
AI
もはや実写と間違えるレベル 動画生成AI「Runway」の進化がすごい -
第81回
AI
AIイラスト、こうしてゲームに使っています -
第80回
AI
ゲーム開発はAI活用が当たり前になりつつあるが、面白さを作り出すのは人間の仕事 -
第79回
AI
AIが考える“アイドル”がリアルすぎた グーグル「Imagen 3」なぜ高品質? -
第78回
AI
話題の画像生成AI「FLUX.1」 人気サービス「Midjourney」との違いは -
第77回
AI
画像生成AI「FLUX.1」が相当ヤバい LoRAで画風の再現も簡単に -
第76回
AI
「Stable Diffusion」の失敗に学び、画像生成AIの勢力図を塗り変える「FLUX.1」 - この連載の一覧へ